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#21「"分からん"土壌に種をまく」

さとゆみさんの連載「今日もコレカラ」を読み、感じたことを書く。引用リプじゃおさまりきらない、グルグル余韻の言語化トレーニング。

その本には「わからないことを、わかろうとしないでください」と繰返し書かれている。

中略

今日現在、私はこの言葉を、
人は、自分の理解できる範囲でしか理解ができない。だから、わからないことを無理やりわかろうとすると、矮小化して理解してしまうし、その時期の自分サイズに極小化された(もしくは自分の指向性に曲解された)理解に基づいて行動してしまう(だからうまくいかない)。

そうじゃなくて、自分がほんとうに「わかるようになる」タイミングまで、そのままにしておくのが大事だ。わかるようになったときが、それを本当に理解できるタイミングであり、その人にとって良いタイミングである。無理矢理わかったことにすると、その良いタイミングを逃す。
と、とらえている。

わからないことをわかろうとしないでください【さとゆみの今日もコレカラ/第211回】


変わり者な私には、この「分からないことを分かろうとする」感覚が分からない。

指導書やFPの勉強など、「学べば分かるもの」は例外だけれど、生き方や思想といったテーマの大きなものは、「なるほどねぇ。でも、私にはよく分からんなぁ」と受け流してきたように思う。

しかーし!

インタビュー記事は、「分からんなぁ」で済ませられない。分からないなら調べまくり、自分なりの解釈を形にして、期日までに完成させる。この解釈、主観丸出しな上に、書き手の知力・価値観・生き方がモロに反映される。こっ恥ずかしい限り。

それでも「今の」自分のもてる材料を使い、カラカラになって書き上げるしかない。

だとしたら、「自分の」幅を広げることがいい文章につながるのではないだろうか。

どう広げる?
「分からんなりに触れてみる」のがヒントかも。

✳︎

学生時代に出会った恩師は、英語の長文指導のスペシャリストだった。講座では、決められた時間で3ページほどの長文を読む。

恩師は「分からなくてもいいから、目で追いなさい」と言う。

言われたとおり、分からない頭で英語の長文を追う。それをひたすら繰り返すうち、なんとなく内容が理解できるようになったのだ。

今はようやく、単語・文法を覚えて日本語に訳す読み方が問題視されてきている。あのときは正直「んなアホな」と思ったけれど、まさにネイティブに近い方法やったんや。

この長文の読み方をマスターし、200ほどの英文(文法の例文)を1年以上毎日音読し、総まとめ系の問題集を1冊決めて最低3回は解く。結果、大学受験の英語は1問しか間違えなかった(自己採点の結果ね。私にしては上々)。

ときがきたら息子にも、やる・やらないは別にしてこの勉強法を伝えようと思う。

✳︎

最近、近藤先生の「百冊で耕す」で、似たような話に触れた。

小説でも詩でも、社会科学でも自然科学でも、「これを読んでいなければ始まらない」という基礎的な古典リストは、必ずあるものだ。定評のある「必読リスト」。そのリストに沿って読む。

偏食しない。順番に。機械的に。なにも考えず、文句をいわず。ただただ、リストを妄信して読む。



読み始めて、つまらない、分からないのであれば、いったんやめていい。しかしけっして捨てない。いつかは必ず通読する。

なぜか。

リストに載っているような古典は、ぜったいにおもしろいのである。おもしろくないのは、本のせいではない。自分のせいだ。わたしが悪いのだ。

何百年にもわたって、世界の人が読み継いできたものだ。だから、いまも残っている。プリントされている。世界が、人類が、お墨付きを与えている。

近藤康太郎先生著「百冊で耕す」


図書館でシェイクスピアやユゴー、カフカなどの名作を借りたものの、数ページ読んで「私には難しいわ」と返却した学生時代を思い出す。

「分かろうとしないでください」

私の場合、「分かろう」ともせんかったな。すぐに分かろうとする必要はないけれど、「自分には合わん」と投げ出すと視野を狭めてしまう。無意識のうちに、「分かる」タイミングを逃してきたんやなぁと反省。

でも、まだ間に合う。

✳︎

書けば書くほど、読めば読むほど、自分の未熟さが露呈する。だからこそ書き、読んで、自分の幅を広げなければならないんだ。

「自分を信じて」「自分だけが味方」

一方で、自分に固執していると、小さな世界から抜け出せない。枠を超えるために、自分を疑い、分からんくてもいいから「いいもの(トレンドではなく、長期的に評価されているものね)」には触れてみる。


まいた種が多いほど、きっと、花を咲かせる回数も増えるよね。


▼5月30日の午前7時ごろまで読めます!こちらもぜひ♪









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