ドラフト候補分析~柿木蓮~
第4回目の今回は大阪桐蔭・柿木蓮投手についてです。
同じチームの藤原や根尾に比べると、少し注目度は落ちてしまいますが、エースナンバーを背負って春夏連覇への貢献度は高いものがあります。
また最後の夏にはMAX151キロを計測するなど、積んでいるエンジンの大きさを証明し、投手としての春からの成長も感じさせました。
プロ志望届を出せば、中位くらいでは消えるくらいの実力はあるでしょう。
○成績
今年の春までは、エースナンバーを背負っていましたが、何かパッとしなかった印象でしたが、最後の夏に一皮むけた姿を見せてくれました。
成績を見ると分かる通り、最後の夏は3試合に完投し、全試合に登板するなどエースとして信頼を得たところを示して見せました。
数字を見ていくと、62回で67奪三振と奪三振率はべらぼうに高いわけではありませんがそれなりの水準の数字で、四死球率も62回で15四死球の2点台ですから中々の数字です。
その中でも出色なのが被打率の低さです。
相手は高校生とはいえ.177に抑えているのは、高校レベルだと球威や変化球のキレなどが図抜けていた証でしょう。
○投球
上記リンクは3回戦の高岡商業戦のリリーフ登板時の動画です。
投球スタイルとしては、図抜けて凄い球種やコントロールがあるわけではないが総合力で抑えていくといったタイプです。
春までは先発でそれなりに試合を作るタイプのように見えましたが、夏にはリリーフ登板で150キロオーバーを記録するなど、リリーフになると出力がワンランク上がることを証明し、リリーフ適正もありそうなところを見せつけました。
そんな柿木の持ち球はストレート、スライダー、カーブ、フォークとオーソドックスな3球種を投げ分けます。
●ストレート
130キロ後半から140キロ中盤くらいの球速帯でMAXでは151キロを叩き出す出力を持っています。
球質としてはシュート回転系なので日本ではあまり好まれない球質ですね。
内外のコースは間違えないくらいのコマンド能力は持っていますが、プロレベルというところを考えると全体的な球威が今一つ足りないかなという印象です。
肉体的なキャパシティーもそこまでなさそうなので、ここをどう伸ばしていくかは見物ですね。
●スライダー
柿木の一番の武器はこのスライダーでしょう。
120キロ台前半から速いものだと後半くらいまでは計測します。
遅いのと速いのを使い分けているのかもしれません。
左打者にバックドアとしてもかなり活用していましたので、本人も相当自信を持っているはずです。
柿木のスライダーで出色な部分は、軌道がいわゆるスラッターのような縦にスッと消えていくような軌道を描くところです。
根尾もスラッターを投げ込んでいましたので、大阪桐蔭には既にスラッター取得のメソッドが存在するのかもしれませんね。
130キロ中盤を記録するくらいまで高速化できると、プロでも武器として使えるのではないでしょうか。
●カーブ
1試合でも数球くらいしか投げないボールで、カウント球として使用しています。
球速帯は100キロ台とスローカーブのようなボールで何の変哲もない普通のカーブですから、今後もカウント球にしかならなそうです。
●フォーク
落ちる系のボールとして投げているのがフォークです。
130キロ前後の球速帯で落差はまずまずのボールです。
縦スラを結構投げていて、それを落ちる系として代用している感があるので、あまり投球割合は多くありません。
ただストレート・スライダーで8~9割ほどの投球割合を占めていますが、プロで活躍するのはこのフォークをモノにする必要があるように思います。
このボールをモノにできれば投球の幅が広がり、プロでもローテにも入ってこれるのではないでしょうか。
○その他
投球以外の部分ではとりわけ目立つ所はありませんでした。
ただ上記リンクの高岡商業戦では接戦でしたが、柿木の投げる佇まいには何か余裕を感じるような投球で、数々の修羅場をくぐりメンタル面はかなり鍛えられているように感じます。
少々のピンチには動じなそうですから、この辺りはリリーフや大事な試合向きなのかもしれませんね。
○総評
現状でもかなり完成度の高い投手です。
前述の通り肉体的なキャパシティーには恵まれていないので、今から大きく出力を上げることも簡単ではないでしょうから、どれだけ創意工夫していけるかが重要になりそうです。
ただ積んでいるエンジンが小さいわけではなさそうなので、ローテ中位〜下位もしくはリリーフとして活躍するというのが現実的な所でしょうか。
将来像としては、ヤクルトの近藤一樹でしょうか。
近藤のように若い頃はローテ中位くらいで投げ、歳を重ねてリリーフへ転向するという道筋が理想なように思います。
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