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マエケンのチェンジアップの質向上について考えてみる

マエケンこと前田健太が広島カープから海を渡ってドジャースへと入団し、はや3年になります。

今季は3年連続の二桁勝利こそは逃しましたが、先発にリリーフにフル回転の活躍で、チームの2年連続でのWS進出に貢献しました。

そんなマエケンですが、MLBという世界一の舞台で揉まれていく中で、NPB時代から武器としていたスライダーだけでなく、チェンジアップという大きな武器を手にしました。

NPB時代も当然チェンジアップは投じてはいましたが、質はイマイチで、MLB挑戦が決まった段階では、チェンジアップの質向上がMLBでの成功へのキーになるとまで言われていた記憶があります。

そんなチェンジアップが今季進化を遂げ、被打率は.309から.135へと大幅良化し、空振り率も14.6%から26.0%に数字を伸ばしました。

簡単な動画のまとめを作成してみたのですが、以前よりも落差が大きく増しているような印象を受け、右打者への決め球としても普通に投じられています。

上記のような数字で見ても、実際に投じられているボールを見ても、質の向上は明らかですが、なぜここまで質を向上させることができたのでしょうか。

①サークルチェンジからスプリットチェンジへ

おそらくこの部分が、以下にて出てくる変化量等のボールの変化に大きく影響を与えており、チェンジの質向上における一番大きな要素ではないでしょうか。

上記リンクの動画内にて、昨季までは5本指で鷲掴みして親指と人差し指でOKマークを作るようなグリップのいわゆるサークルチェンジを投じていたのを、今季からは人差し指と中指で挟み込むグリップのスプリットチェンジへと握り方を変更することを述べています。(下記スクショを見ても明らかに違う握りをしていることが分かります)

上記リンクの記事にもある通り、NPB時代の2014年にスプリットに挑戦し、その時は上手くいきませんでしたが、チェンジアップをスプリット気味の握りに変更することにより、本人も落ちる球を投げる感覚やコツを掴んだのか、数値という客観的なデータでもそれを見て取ることはできます。

表①は2017年と2018年でチェンジアップとフォーシームの球質を比較したものになります。

②落ち幅の上昇

チェンジアップに関しては、Vertical(縦変化)の数値が6.7インチ→3.06インチへと大きく下がっていることが分かります。

この数値は低ければ低いほど、所謂ノビの要素が失われている証左になりますので、それだけ落差が出ているということになります。

そのような観点から見ると、マエケンのチェンジアップは昨年よりも落差が増しているということが言えるでしょう。

落差が増したことが、空振り率の大幅な上昇にも大きく寄与しているのでしょう。

③球速の高速化

それに加えて、球速の高速化という点も目を見張る点ではないでしょうか。

今季のチェンジアップの平均球速は84.4マイル(135.8㎞)で、昨年の平均球速である83.8マイル(134.8㎞)より上がっていることが分かります。

この傾向は昨季から顕著に出ており、NPB時代の2015年は132.8㎞で2016年は82.5マイル(132.7㎞)というところから、昨季と今季でおよそ2マイル(約3㎞)ほど高速化させています。

これだけ高速化させることで、よりフォーシームとの見分けがつきにくくなり、空振り率や被打率の向上という面にて数値としても現れたのではないでしょうか。

要するに、高速化に伴いピッチトンネルに入れる確率が高まったというところでしょうか。

④変化量の安定

もう一つ、マエケンがコツを掴んだのではないかという仮説の証明として、ボールの質が安定したことが挙げられます。

(http://pitchfx.texasleaguers.com/)というPITCHf/xのデータを閲覧することのできるサイトから引っ張ってきた図表ですが、上が2017年に投じられたチェンジアップの縦の変化量と横の変化量について表にまとめられたもので、下がそれの2018年のものになります。

この図表を見ると一目瞭然ですが、2017年は落差や横の動きがバラついており、プロットされた点が散在しているように見えます。

一方、2018年は比較的近いところでプロットされた点がまとまっており、より均質なボールを投じることができていたと言えましょう。

ここから、昨季までは掴み切れなかった質の良い落ちる球を安定して投げるコツを掴み、それが様々な数値の向上にも大きく繋がったのではないでしょうか。

ここまでをまとめると、
①握り方の変更(サークルチェンジ→スプリットチェンジ)
②落差の幅が大きくなった
③球速の高速化により、よりストレートに擬態できるようになった
④コツを掴んだのか、投じられるボールの変化量が安定した

という以上の4点がマエケンのチェンジアップの質が向上した要因として挙げられるのではないでしょうか。

このように、MLBへ挑戦後、投手として大きくステップアップしつつあるマエケンには、来季こそ一年間先発ローテーション入りして、三度目の正直となるワールドシリーズの制覇に貢献してもらいたいですね。

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