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6/20は新たなカープの始まりの日

広島の今季ここまでを振り返ると、4月中旬までの4勝12敗という、前年までのリーグ3連覇チームとは到底思えないスタートから、8連勝や11連勝を積み重ね、あっという間に首位へと躍り出た5月。そして4勝10敗と再び急ブレーキとなった交流戦と、浮き沈みの非常に激しいシーズンを送っています。

そんなチームの中で、前年までのチームの3連覇に大きく貢献しながらも、今季不振に苦しんでいた選手が2名います。

言わずもがなでしょうが、その2名とは中崎翔太と田中広輔です。

中崎は、以前noteにまとめた通り、勤続疲労の影響からか球速が大きく低下し、これまでのように打者をねじ伏せることが出来なくなったことで不安定な投球を見せることが多くなり、5月の下旬よりクローザーの座をフランスアに譲り渡すこととなり、自身は一軍に身を置きつつもAチームより下の序列で調整を行うこととなりました。

田中は、開幕当初に27打席連続無安打を記録するなど、打撃不振に苦しみ、6月も下旬に差し掛かりつつある中、いまだ打率は1割台を彷徨うなど、フルイニング出場を継続することによる身体的負担や、達川光男氏がスポーツ新聞上で述べた故障の影響が相まって、非常に苦しいシーズンとなっています。

この両者の処遇をどうするかという点は、注目の的となっていましたが、その決断が下されたのが6/20でした。

まず、前日より報道があった通り、6/18の試合で4失点を喫し負け投手となった中崎が再調整との名目で二軍落ちが確定しました。

その一方で、一軍への昇格を果たしたのが、2018年ドラフトにて4球団競合の末、広島へと入団することとなった小園海斗でした。

そして、その小園が田中に代わり、1番遊撃手の位置でスタメン出場することが決定し、田中のフルイニング出場記録もこの日で途切れることとなりました。

3連覇を果たしたチームの中でコアな部分を担った守護神と1番遊撃手が、同時にフィールドから消えたこの6/20という日は、3連覇中のチームとも今季これまでのチームともまた違う、新たなカープが誕生した日と捉えても良いのではないでしょうか。

何か戦術的に大きく変えたわけでもなく、新加入した選手がいたわけでもありませんが、これまで多大な貢献をチームにもたらしてきた両者に対して、下さなければならない決断を行うことは、3連覇中にはなかった形であり、この点が新たなカープの誕生とも取れるように感じます。

また、フルイニング出場に囚われ続け、遊撃手の位置を田中に固定せざるを得なかった状況を打破できた点も非常に大きいでしょう。

これにより、広島の一軍登録選手の中にも多くいる、元々遊撃手であった選手たちを気楽に試すことができるでしょうし、起用の幅が大きく広がることが期待できます。

田中自身も、これまでと違い休養を挟みながらリフレッシュできる環境に身を置くことで、トータルで成績の向上を見込むこともできます。

要するに、野手運用により柔軟性が生まれることが期待できるわけです。

中崎の分の一軍投手の登録枠が空くことによっても、藤井皓哉や塹江敦哉といった二軍で既に結果を出し始めている投手の腕試し枠的に使えるという利点があり、中崎自身も、不振の根本原因である勤続疲労を取り除くことに集中できる環境に、身を置くことが出来るという利点もあります。

この決断は、新たなカープを生む決断であったとともに、より最適な形でチームの運用を行えるようになるという側面も持っていることが上記より分かります。

中々下せなかった判断を遂に行ったこの日の試合は、負けが込んでいるというチーム状況もあり、首脳陣側でもカンフル剤として期待し決断した部分もあるでしょうから、是が非でも勝ちたかったはずです。

それが、100球未満の投球数で無失点と好投の床田寛樹を6回で降板させ、6点差ながら勝ちパターンである一岡竜司の投入に繋がったのではないでしょうか。

結局、一岡・レグナルト・フランスアの勝ちパターンを担う3投手が全員失点を喫し、6点差を追いつかれる苦しい展開となりましたが、最後は會澤翼のサヨナラタイムリーで何とか勝利を収めることができました。

この試合全体を見ると、課題だらけの試合とも取れるでしょうが、それよりも苦しい展開の中、新たなカープとしての初戦をきっちりと勝ち切ったことを個人的には評価したいです。

遅すぎた感は否めませんが、6/20にようやく下されたこの英断が、長い目で見て今後の広島にとってプラスに働くことを祈りつつ、6月に入り低調なチームの起爆剤となることも期待したいです。

#野球 #プロ野球 #広島 #カープ #中崎翔太 #田中広輔 #小園海斗

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