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100年生きる時代に少し寝込んだっていいんだから

経産省官僚も不安な個人、立ちすくむ国家と言っている

来年は間違いなく副業元年になると言われています。早々に副業を解禁したロート製薬をはじめ、DeNA、ソフトバンクと次々と大手企業が後に続いています。厚労省からもモデル就業規則の改正案が示され、3月までには正式な改定が行われると言われています。そうなれば、オセロのように副業を認める企業が増えるでしょう。

そうなると、副業を行えるかどうかは企業制度に寄るのではなく、個人の力量に寄るところとなってきます。これまで会社がダメと言っていたのを盾に、己の市場価値を測る機会から遠のいていた個人が副業をするしないの尺度に当てられることになるからです。

今年話題になった経産省官僚のペーパー「不安な個人 立ちすくむ国家」の中でもキャリアの複線化(人生二毛作)の重要性に触れられ、会社が個人の人生を守る時代の終焉がそれを後押しすることが如実に示されていました。

そこに対して、国家としても有効な手立てを持ってないことも同時に吐露され、多くの批判もありましたが、私はこのペーパーはある種とても画期的だと感じました。超高齢化社会である日本は世界における課題先進国であり、その時代の正解探しを国家だけでなく優秀な民間人とともに行っていきたいと語られていて、まさしくオープンイノベーションの気概を感じたからです。

つまり、各セクター毎に漠然とした不安を持っており、それはこの変革期において当たり前のことであり、であれば、それぞれのセクターが互いに手を取り合って、最適解を探していけばいい。そんなことに皆気づき始めたのではないかと思っています。


正解がない世の中でロールモデルは存在しない

大きく世の中が変わっていこうとする中で、自分にできることはないかと考え、One HRという団体を共同で立ち上げました。当初はHR企業を中心としての活動でしたが、先に触れた経産省ペーパーの影響も受け、HR企業・人事・個人そして国家の4プレイヤーのオープンイノベーションにより、組織と個人の関係の最適解を探索するコンセプトに変化していきました。

毎月、副業やミドルシニアのキャリア、エンゲージメント、女性活躍などイベントを行い、多くの登壇者や参加者に足を運んでもらいました。毎回、感じるのは登壇者によるパネルディスカッションやワークショップ後の懇親会の異様な盛り上がりです。

日々の仕事の中で感じる組織へのフラストレーションなのか、新しい働き方への羨望なのか、それぞれが思いを語り合い、積極的に登壇者にも話しかけていた。そんな中で多く聞かれるのは「ロールモデルの不在」でした。

柔軟な働き方ができているのは、その会社がベンチャー企業だから、とか、その人が環境に恵まれているから、とか、あなただから、とか、たしかに、自身の立場から変えようとしてもそれを阻害する要因は多く、出来ている人と同じようにとはいかないものです。

そもそも、副業にしても、女性管理職にしても実践者の母数が少ないなかで、それにしたってその人のバックグラウンドも多様なのだから、自分と同じ境遇の人も見つけにくいのではないかと思います。


複数の人の欲しいところだけを師匠にする

パラレルワーカーとして活躍する正能茉優さんが、よくビュッフェキャリアという言い方をしていますが、自分が目標としたり、指針とする人は複数いてもいいし、かつ、それぞれの人の欲しいところだけで良いと思います。

完璧な人なんていないし、自分も完璧は目指せないなかで、でもこの人のこの部分はパクりたいなというのが、身の丈に合わせやすし、始めやすいのではないかと思います。


部下に頭を垂れることができるか

今年は30歳という大台に乗ったこともあり、One HRや台東区の子育て団体の立ち上げ、その他フリーランス協会やNewspicksアカデミアのアンバサダーなど多くのことに触手を広げ活動をしました。

一方で本業のエッセンスの仕事においても、マネージャーに昇格し、初の部下を持ち、という経験をさせてもらいました。プレイングマネージャーとして自身とチームの数字を追う立場となり、やり方も分からぬまま、一方で本業以外の活動をするという中、どれも中途半端な状態になってしまいました。

部下からは私のマネージャーとしてのマネジメント不在状況を社長との面談で指摘され、すぐさま私にもその情報は伝わりました。

その後、すぐに部下に謝罪しました。自分の向き合い方、そして、何よりマネージャーとしての自覚が足りなかったのだと反省しました。泣きそうにながらの謝罪はきっとカッコ悪かったでしょうが、すぐに謝ることができて良かったなと心底思います。


虎の威ではなく、仲間の良いところを借りていく

謝罪してからは、なるべく時間を割いて、チームで案件の状況を把握したり、作戦を立てたり、提案書を作ったりしました。時間は取られましたが、その分、チームとして前に進んでいる感覚を得られ、仕事自体も充実していくように感じました。

これまで自分で独占するがの如く抱えていた見込み企業も渡していきました。自分でやるよりも、よりやるべきことをクリアに考えて次の施策の提案をしたり、部下の新鮮な意見で方向性を変えることで、より提案の精度が上がっていくように思えました。

どこかで自分で数字を上げて、その姿で持って部下や周りの人を納得させようとしていたのかもしれません。しかし、これからはチームの人員それぞれの得意や意見を持ちより、チームとして勝っていくことが重要。そのためには、それぞれが意見しやすい風土を作っていくことが自身に求められることを痛感しました。


失敗を正解にしていく。今日寝込んでも明日がある

10月に部下が増えて以降、チームや自分の数字を上げて、なおかつ、本業以外の活動も上手くやっていく。そんなハイパフォーマーなパラレルワーカーを目指して気張っていましたが、結果は惨憺たるものでした。

また、とにかく行動量だと寝る間を惜しんで仕事した結果、身体を壊し、肺炎にまでなってしまいました。

肺炎の診察でおじいちゃん先生に言われた一言が、とても印象的でした。

「今すぐ安静にしないと入院することになるよ。人生100年あるんだから、ちょっとくらい寝込んでもいいじゃない」

新しい時代の新しい働き方を目指し、その時代のロールモデルになりたいがために、盲目になっていた私にとってはとても有難い言葉でした。

たしかに、今やらねば他の誰かに抜かれてしまう、差が開いてしまう、先にやられてしまう。そんなことは多いですが、自身の指針を見失って、結果として仲間や身体を損ねていたのでは目もあてられません。

今年の失敗を来年の正解にしていくために、自分なりのやり方を探しながら、それぞれのやるべきことに向き合っていきたいと思います。

今年、お世話になった皆様、関わってくださった皆様に心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。

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