地方のコーヒーショップの可能性
僕は東京でコーヒー屋をやっているんですが、ふと地方にいくと、地方でコーヒー屋がもっと増えていけたり、できることや強みがたくさんあると感じます。
今日はそんな、地方のコーヒーショップの可能性について書いてみたいと思います。
地方にコーヒー屋を出すメリット
まず、何で地方が面白いのか、チャンスがあると思ったのか書いてみます。
競争が少ない
これは思っている方も多いかも知れませんが、純粋に東京などに比べたら競合となるお店は少ないはずです。東京でも、もちろんできることはたくさんありますし、いい店がもっと増えるべき街や駅もたくさんあります。でもやっぱり東京の良いお店の数や、家賃や空き物件を見つける難易度を考えても、地方の方が出店はしやすく、競争に飲まれにくいというか比べられにくいというか、自分のスタイルでお店をやりやすいと思います。もっと新しいコーヒー屋が求められている都市もたくさんあるんじゃないでしょうか。
コーヒー文化
そして次に、地方でのコーヒー文化、日本全体のコーヒー文化を考えても、もっと東京以外の場所にコーヒー屋が増えて欲しいと個人的に思います。
先日福島の郡山の酒蔵でコーヒースタンドをポップアップ出店させてもらってドリップコーヒーを提供したのですが、郡山駅前とかではなく車で20-30分くらい山の方へ行ったところの立地なのにも関わらず、オープン時間からたくさんの方がコーヒーを飲みに来てくださいました。中には仙台から車で2時間かけて来てくれた方もいて、本当に本当に嬉しい限りだったのですが、これだけ暖かく迎え入れてもらえたことにも地方出店の可能性というか温度を感じました。全国に美味しいコーヒーを楽しみたい方、楽しんでくれている方がたくさんいる。
その中で、来てくれた方の中で、大学生で進路について相談してくれた方がいました。その方はコーヒーが大好きで、スペシャルティコーヒーに関わってバリスタの仕事に就きたいと考えているそうなんですが、地元に採用してるコーヒー屋がないそうで進路を迷っていました。思い切って東京まで出て行くべきなのか、一度夢は諦めて安定した地元の違う業界の会社に行くべきか、、。
カフェチェーン店という形なら日本全国で割と働く機会はあるかも知れませんが、これからのコーヒー文化を担うような新しい発信や挑戦の多いコーヒー屋は確かに地方にはまだまだ少ないのかも知れないと、その話を聞いてハッとしました。なにより、そんな風にコーヒーにワクワクして興味を持って、働きたいとまで思ったのにも関わらず、働く場所がない、その情熱の注ぎ先がないというのは日本のコーヒー文化全体で見ても本当にもったいないことだし、人生としても興味に踏み出せない物理的制約があるのはつらいことです。コーヒー文化としても、まだ行き届いていない可能性のある地方でこそ、チャレンジする価値が大きいと思います。
色を出しやすい
地方でお店をやることで、そのブランドの色を出しやすいというのもメリットだと思います。物件を考えても東京では借りられないような広い場所だったり、古民家のような雰囲気のある物件がゴロゴロ地方にはあるはずです。例えば、長崎のカリオモンズコーヒーの焙煎所とか、郡山のオブロスコーヒーなんて、東京じゃできないようなほんとうに素晴らしい空間です。
それに加えて、食材やメニューなど、その地方だからこその体験もきっと色濃くつくれるはずです。その場所の魅力をお店の色に活かすという意味で、地方にこそパワーがあると思います。
サポートを受けやすい
これはリアルなお金の話なんですが、地方での起業、出店に関するサポートが手厚いのも素晴らしいことです。例えば自治体の新規事業サポートや融資あっせん制度、地銀などの融資など。その地域を盛り上げるという名目で、力になってくれる組織は多いのではないでしょうか。そして地域性を絡めたクラウドファンディングなどでも、より支援を集めるコンテンツがつくりやすいと感じます。メリットだらけですね。
地方でコーヒー屋で大事にしたいこと
その中で、僕が地方にお店を出すならどんなことができるだろうとか、地方でコーヒー屋をやろうと思った時に何に気をつけたら良いだろうと想像してみました。
いい空間にする
まず第一に、いい空間にする。これはコーヒー屋やカフェとしてたくさんの人に居心地がいいと感じてもらい、愛され、他の都市からもわざわざ来てもらう上で大切な要素だと思います。
コーヒーが好きでお店を作る、お菓子づくりが得意でカフェを作る、、そんな流れや職人的な気質が多いように感じますが、素材にこだわることやいいコーヒーを出すことと同じくらいかそれ以上に、いい空間にするって大事なことです。結構勢いでいいコーヒーさえあれば、というだけでシンプルな予算をとことん削ったお店を出すパターンもあるかもしれませんが、お店での体験は空間があるから成り立つはずです。モノを売るだけならオンラインでいいんです。そこに人がいて、人が集まる意味として、どんな内装、インテリア、広さ、音楽、明るさにするか、で大きくお店のパワーが変わるかもしれません。もし僕が地方にお店をつくることになったら、東京からでもわざわざ訪れたいと思ってもらえるような空間にしたいなと思っています。
コミュニティ
そして、コミュニティを生むということも、地方だからこそより大切なことだと思います。
これは例えばコーヒー屋なら、ドリップセミナーやテイスティング会のようなワークショップを開催して、地域のコーヒー好きが集まるようなイベント体験をつくったり。
先ほどちらっと紹介した郡山の酒蔵「仁井田本家」さんがこういった地域の方のためのイベントを素晴らしく運営しているので、ジャンルや大きさが違うとはいえど、コミュニティづくりのイメージとしては参考になるかもしれません。
地元のコラボ
地方でやるからこそ、その地域のお店、ブランド、会社、とコラボしていく価値がたくさんあると思います。地元のワイナリーやブリュワリーとコラボしたイベントや商品開発、牧場の牛乳を使ったラテ、地元の食材を使ったメニュー、地域のデザイナーさんのパッケージ、お店の食器も地元の焼き物を使ったり、温泉、山、海、、いろんな「その場所だからこそ」の組み合わせ、体験づくりができるはずです。
そんなこと、東京でお店をやっていたらできません。地方の個性、地方の力って本当にすごいと思いますし、コーヒー屋といった個性ありつつも地域のコミュニティのハブになるような場所だからこそ、いろんなコラボができるんだと思います。
日本で見たら、コーヒーで、カフェでできることは本当にたくさんあると思います。そして、日常の気軽な休息地として、人と会えるコミュニティとして、コーヒーの美味しさや飲食の魅力に気づき五感を大切にできる場所として、コーヒー屋の機能はより必要になってきていると感じます。
いつかコーヒー屋を、いつかカフェをつくりたいという方がいたら、地方でのチャレンジも考えてみてはいかがでしょうか。とは言ってもまだまだ東京もできることたくさんある魅力的な場所であることに変わりはないので、日本全国もりもりと、いいコーヒー文化、カフェ文化が広がっていってほしいです。
川野優馬
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