同人イベントを語ってみると
ここで同人誌の即売会についてどのようなものがあるのかを具体的に説明していきたいと思います。イベント数も多いのですがどいういう棲み分けがされているかについて解説していきます。
まず同人誌の即売会には大きく分けると「オールジャンル」の即売会と、
「オンリージャンル」の即売会の二つがあります。
大きさで言えばやはり「コミックマーケット(コミケ)」が一番大きいのですが、これに近いまたは同等の大規模同人イベントはけっこう存在します。「コミックマーケット準備会(有限会社コミケット)」は有名ですが、同じ「東京ビッグサイト」で開催されるイベントも多数存在します。
特に、我々も参加経験がありますが、「赤ブーブー通信社(有限会社ケイ・
コーポレーション)」は非常に有名です。東京都・大阪市・福岡市にて正確には分かりませんが、年通算20回以上は開催されていたのではないかと思います。
「コミケ」のように三日間連続で開催されているイベントがそもそも少ない
わけで、大抵が一日だけの開催です。たんに一日だけの参加者動員数ではこの「赤ブーブー通信社」が開催する同人イベントの方が動員数は多い場合があります。「コミケ」の場合は、三日間連続というトータル日数ではというだけで、決して「コミケ」だけが大規模同人イベントではありません。
ただ「コミックマーケット」は同人ファンの意識の中では特別な存在である
ことがいやでも分かってきました。これはまた別で説明します。
「コミケ」のような大型イベントはだいたいが「オールジャンル」のイベントです。「オールジャンル」とは18禁でもオリジナルでも二次創作でもグッズでも全てのジャンルを頒布することができるイベントのことです。
即売会によっては「オリジナル」同人誌だけとか、「二次創作」だけとか、「18禁」作品だけとかの「オンリージャンル」と言われるイベントがあり
ます。
この「オンリージャンル」はさらに細分化されていて、二次創作の場合は人気アニメのタイトル一つだけに絞ったイベントなどがあります。例えば「黒子のバスケット」オンリーとか「セーラームーン」オンリー即売会という風に特定のアニメだけの同人誌を集めたイベントです。またオールジャンルではないですが複数のジャンルの合同イベントなどがあります。
これだけで人が沢山集まる人気タイトルですし、「コミケ」などの大型イベントでも人気タイトルの二次創作は混雑を避けるために一カ所に集められるというような対応がなされているのが普通です。さらにいうと売れ線サークルは長い行列ができますので、一カ所に集められる場合が多いのです。その中でも人気の売れ線サークルとなると、数千から一万冊を超える部数を完売するサークルもあります。
こういう売れ線サークルは同人誌の持ち込みもサークルでは持ち込めないほど大量になるので、印刷を依頼している印刷会社から直接イベント会場へと搬入されてきます。
「コミケ」など全国から同人誌を運んでくる場合もやはり荷物が邪魔になりますので、宅配便での搬入が一般的です。売れ残りの同人誌も宅配便で送り返したりできるようになっています。
また、一般参加者も自分が購入した同人誌やグッズといった沢山の荷物を宅配便で自宅へ送るようにできる即売会が多い。これもイベント運営側が業者に出張してきてもらうのですが、このようにイベント運営というのはとても忙しいものです。
くり返しになりますが、同人イベントは「コミケ」のような大型イベントは
数が限られてきますが、中小規模の即売会はかなりの数が存在しています。
その中で長く続いているイベントはやはり企業化されている運営団体が
開催しているイベントです。今でも有志だけで開催するイベントは中止になるなど長く続かないことが多いようです。
また、「ミリタリー」や「鉄道」関係のイベントはもともとこういうオンリーイベントがおもでした。それくらいサークル数じたいの数も少なく趣味の人たちが集うまさに同人らしい世界でした。せいぜい2,30サークルが集まるイベントが多かったと記憶しています。
とくに「鉄道関係」は随分昔から孤高の趣味的な存在だったのですが、
今のようなブームが来るとは思っていませんでした。ちなみに俗にオタクと呼ばれる人種はこういうブームを追いかけていて、浅い知識と見せかけの情熱でマニアぶりたい人と形容できるかと思います。
大抵がもともと鉄道が好きでとか言うのですが、ではブームになる前になにをしていたのかと思います。こういう人たちが今まで本気の趣味としてマニアックに愉しんでいた人たちの世界を荒らして、次のブームが来るとまたそのブームを追いかけるということをくり返します。
大型の創作系(オリジナル作品)の同人誌即売会などでは、出版社から編集部が直接出張してきてその場で作品を持ち込みできるようにしている即売会もあります。
例えばCOMITIA(コミティア)という創作系同人誌即売会では、会場内で「出張マンガ編集部」という企画を開始しており、多数の出版社・雑誌の編集部がブースを設けて持込を受け付けています。長く続いているイベントは即売会そのものに特徴がある場合が多いですね。
そしてもう一つ誤解があるのはサークル参加する人たちも一般参加する人たちもけっこう年齢が上の人たちだったことです。社会人と大学生が殆どでした。今でこそ、「コミケ」が世間的に知られるようになって高校生などが一般参加してくる場合もあるでしょうが、昔は皆年齢層は上でした。一番低くても大学生くらいが多くて、それは今でも同じだと思います。
特に「18禁」規制が始まってから、中高生はますます一般参加しにくくなっています。我々が活動していた時は「コミケ」そのものが知られていませんでした。今ではネットがありますから知られているとは思いますが、高校生くらいの学生にどれだけ同人イベントが影響を与えているかは疑問です。
あとでまた触れますが、アダルト規制は青少年が対象です。この規制が始まったとき、そもそも対象になるような年齢の参加者がいないのにどこの誰のために規制をするのかと思いました。風俗にも普通にいくような社会人に青少年育成条例を適用するのかと考えそのものがピントはずれすぎるのです。
そして世間的に一番誤解を受けているは同人即売会ではかならず「コスプレ」があると思われていることです。この「コスプレ」に関しても別にまた書きますが、コスプレがない同人イベントの方が多いのです。
先に紹介した創作系即売会は「コスプレ」禁止ですし、コスプレ禁止のイベントは世間で思われているよりも数が多い。反面、今は街おこしのようなイベントにはよく使われていますし、聖地巡礼を含めてたイベントではなくてはならないようなものになっています。今では同人から完全に離れた独自の路線で発展しています。
「コミケ」の花のよう思われている「コスプレ」ですが、イベント運営側からするとけっこうやっかいなもので、更衣室の確保や撮影できる場所の確保とそれらの管理など面倒なことが多い。運営に必要な人員も多く必要になります。
ですから大型即売会でも「コスプレ」禁止は少なくありません。また、コスプレ姿で同人誌を探しているコスプレイヤーを撮影しようとするものがいたりで、サークル全般からすると迷惑なもので評判はあまり良くなかったと記憶しています。通行の障害になりますし、同人サークルからすると自分たちのブースの前で多数が集まってしまって同人誌を手にとってもらえないなど不利益が大きい。そのためにあえて明確にコスプレ禁止としているイベントが多かったのです。
昔は今と違って、「コスプレ」衣装が販売されていませんでしたからオーダーメイドで特注して制作してもらうか、自分で制作するしか方法がありませんでした。
ですから縫製技術をもっている人か、お金に余裕があってオーダーメイド
で衣装を作ってもらえる人しかコスプレすることができなかったのです。
ですので今と違って簡単なコスプレしかできない人しかいなくて、実際の
ところ本格的な「コスプレイヤー」はやはり「コミケ」に集中していました。また本格的なコスプレイヤーも年齢層は高かったですね。
正直、コスプレ可のイベントにも参加していますが、一目見てどのアニメの
コスプレなのか分からないコスプレの方が多かった。せいぜい「うる星やつら」のラムちゃんのとら縞ビキニがいたくらいで、何かの学園もののコスプレのつもりなのか学生服を着ていたり猫耳だけとか、指だし手袋をして変身前のヒーローのつもりのコスプレくらいしかいませんでした。
そういうどうでも良いような、「コスプレ」ともいえない「コスプレ」をドヤ顔で見せられても困りますし、それを写真に撮るひとの気持ちが分かりませんでした。
ニュース映像にあるようなコスプレイヤーは昔は殆どいませんでしたが、人気は非常にありました。むしろ昔から先に紹介したような「コスプレ」は「コスプレ」専門の独自のイベントがありました。同人とは別に、独自に発展してきています。これも「コスプレ」だけを別にまたご紹介したいと思います。
また知らない方は勘違いするかも知れませんが、アニメのフィギュアやプラモを頒布する「ワンダーフェスティバル(ワンフェス)」などは同人誌とは関係がありません。
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