第8話 恋した時の熱

2回目のピアノレッスン。
1回目のレッスンからAさんのことが忘れられなくて、ずっと考えていた結果、またレッスンを入れることにした。
前回と違うのは緊張具合。
前回まではこんなに緊張しなかったのに、今回はメイクも服装も沢山考えてレッスンに向かった。
レッスンに行きスタジオにつき少し待つと、Aさんの声がする。
やっぱり人を安心させるようなイケボだ。
なんてことを考えてたら、Aさんが目の前に来てくれた。
「また来てくれたんや」
その一言を聞くと無意識に頬が緩む。
頬が緩んだまま部屋に向かう。

前回と同じ曲をAさんに習う。
でもなかなか上手く弾けない…
そう感じていてもAさんはずっと優しく微笑んでいてくれる。
「大丈夫やで、難しいよな」
優しく声をかけてくれるAさん。
オクターブの練習をする。
けれどやっぱりもこれも上手くいかない。

(あーどうしよ)

なんて思っていた。
そうしているとAさんは優しく鍵盤を押す順番を教えてくれた。
その順番に必死についていく。
夢中になっていたらAさんと手が触れてしまう。

その瞬間全身の熱が顔に行く。
この感覚に似たような経験を最近した。
それは先生に恋してる時のあの感覚。
そう。私はAさんに恋してしまったのだ。
追っても追っても叶わない恋なのに…

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