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悩めるひと #2

まさか続きを書く気になるとは
思わなかったが、夫は悩み続けている。

「タイヤの事ばかり調べてたら、
スマホの広告がタイヤ関係ばかりや」
そりゃそうだろう。

という訳で、悩める夫と共に、
タイヤ専門店に行ってみることにした。

まずは1軒め。
店に入るとタイヤのニオイがぶんぶんする。
タイヤ専門店に来たー、という感じだ。
メガネの方が出てきて
いろんな説明をしてくれる。
安いものから高いものまで、
ウチの車に合うのはどのタイプのタイヤか。
街乗りメインか、高速で遠出もするのか、
車の乗り心地で気になっているところはないか、など。
私たちの回答を聞いて、
それぞれのタイヤのメリットデメリットを
丁寧に教えてくれる。さすがの知識だ。

正直言って、タイヤなんてどれもそんなに変わらないと思っていた私、
ここで静音性ということに気付く。
他にもウェット路面や高速走行、乗り心地。
そうか、何気なく乗っている車のタイヤは
当たり前だけど、タイヤメーカーの人の知恵を
結集したものなんだな。
ヘタに選ぶと、極端な話、
びょんびょん跳ねて、路面の音でうるさくて、
さらにグラグラするタイヤだってあり得るということか。

「今のお車、とてもいいレベルのタイヤがついていますよ」とお店の方。
そうなのか。それすら知らなかった。

実は今までに何軒か行ったカー用品店、
真摯に対応してくれた店員さんもいたが、
こちらが不安になるくらい知識のない方もいた。
店員さんが出てこない店もあった。
ディーラーから提案されたタイヤも
もちろん自分たちなりに調べたが、
実際メーカーの人からメリットデメリットを
聞いたわけではない。

ああ、ちゃんと自分たちの売っているものを
自信を持ってオススメするということは
こういうことなんだ。

目からウロコがぼろんぼろん落ちた。
私は本当に無知だった。
タイヤなんてどれでもいいと思っていた事を
心から恥じた。
いや社員教育の素晴らしさよ。

さて2軒め。
実は1軒めと同じメーカーのタイヤの
専門店である。
ただ、1軒めと少し違うのは、
普通の車のメンテナンス等もやっているという
もっと地域に根ざしたお店という印象。
確かに古くからある店なのだ。
こちらでもほぼ1軒めの店と同じ説明を受けたが、
活気のある事務所、次々とやってくるお客様、
整備をしている社員もイキイキとしている。
質問をしてもしっかりと答えてくれ、無理強いもせず、対応がとてもよかった。

「この街にもこんなに活気のある店があるんやな」
と夫にも好印象。
値引きもしっかりしてくれたし、
もしかしたらこちらにお任せできるかな?

こちらの店ではタイヤのパンフレットもくれた。
読んでいると、タイヤの模様にはひとつひとつ
きちんと意味があることを知り、
またまた私はタイヤに感動した。

夫と話すと、もうディーラーには
拘ってないとのことだった。
先程の店の活気が、夫の頑なな心を溶かしたのかな、と思う。

じゃあ、もうさっきの店でオススメのタイヤに決めようか!
と言うと夫は答えた。

「コストコのタイヤコーナー行ってみたら
また感覚変わるかも」

えーー、まだ先があるんですかい!!

悩める夫の迷走はまだまだまだ続く。

(次回完結編)









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