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若葉 #2
6月の初め、
ウチの街での研修が終わり県外に異動が決まったと甥からLINEが来た。
引越し手伝いが必要なら言ってね。
最後に食事でもしようよ、と
LINEをすると、手伝いは必要ないけれど、
この土日は空いているとの返事。
では日曜日にどこかに行こうと話して、
甥と私たち夫婦の3人で出かけることにした。
福山に降り立ったことがないと言うので、
最初は福山城とか鞆の浦観光を考えていたのだが、
当日は大雨になってしまったので、
急遽岡山県津山市に行くことにした。
鉄道の展示館があるそうなのだ。
甥もまだ行ったことはないと言う。
寮まで迎えに行って
津山まで高速道路を走る。
日頃の移動が鉄道やバスである甥は
高速道路の市町村の境界の案内標識を
珍しそうに見ていた。
休憩を挟んで3時間弱で津山に到着。
お腹が空いたので
まずは津山名物ホルモンうどんを食べる。
![](https://assets.st-note.com/img/1717987416893-Kyw8YejJgM.jpg?width=800)
次に目的の「津山まなびの鉄道館」へ。
甥は津山に来たことはあるのだが、
こちらの施設は初めてだそうで、
目をキラキラさせて
大きなカメラであちこちを撮影していた。
![](https://assets.st-note.com/img/1717987632466-KdNR01WU5o.jpg?width=800)
鉄オタでなくても楽しめるこの展示館。
甥だけでなく、多少鉄分のある私も
ワクワクしながらいろんな列車を見た。
甥がかなり詳しく説明してくれるので
本当に勉強になったしとっても楽しい。
偶然にも見学している最中は雨もやんでくれた。
実は甥は津山〜東津山のJRの区間をまだ乗っていないというので、この機会に乗ったらいいよと
津山駅まで連れて行くと、B'zがいた。
![](https://assets.st-note.com/img/1717988022547-JZNtYEgp1R.jpg?width=800)
津山市の名誉市民とのこと。
列車に乗った甥を東津山駅まで迎えに行き、
また高速で広島に戻った。
夕飯は福山で食べたので、
無事に甥は福山の地に降り立つこともできた。
私たちに慣れてくれたのか、
この旅では甥も自分からいろんな話をしてくれた。
帰りの高速では、
「車を買ったら国道の旅をしようと思います!」
と高らかに宣言もしていた。
どうやらウチの車のことも気に入ってくれたようだ。
電車の路線に国道、まだまだ彼の旅は続くのだと
私たち夫婦は甥の若さを羨ましく、
また頼もしく感じた。
いつか何かの機会に、今日の小さな旅のことも
楽しかったと思い出してくれたらいいなと
思う。
そうして3ヶ月弱ウチの街にいた甥は、
本採用地である三重県へ異動して行った。
義弟夫婦からは、
お兄さん夫婦がいてくれて
本当に心強かったとお礼のLINEが来た。
私たちはほとんど何もできなかったのだが、
そう言ってもらえて少し気が楽になったとともに、
なんだかぽっかりと心に穴が空いたような
気にもなった。
もしかしたら、私の方こそ甥が近くにいてくれて
心強かったのかもしれない。
息子を心配する親の気持ちが
ほんの少しだけわかったような気がした。
血も繋がらないのにおかしなものだ。
次に甥に会うのはいつかわからないけれど、
これからも元気で自分らしく
毎日を過ごして欲しいと願っている。
あと、どうか周囲の人に恵まれますように。
いつか電車でこの辺りを通ることがあったら
駅のホームで手を振るからね。
車で国道2号線を走る時はウチに寄ってね。
また一緒にごはんを食べましょう。
(了)
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