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若葉 #2

6月の初め、
ウチの街での研修が終わり県外に異動が決まったと甥からLINEが来た。

引越し手伝いが必要なら言ってね。
最後に食事でもしようよ、と
LINEをすると、手伝いは必要ないけれど、
この土日は空いているとの返事。
では日曜日にどこかに行こうと話して、
甥と私たち夫婦の3人で出かけることにした。

福山に降り立ったことがないと言うので、
最初は福山城とか鞆の浦観光を考えていたのだが、
当日は大雨になってしまったので、
急遽岡山県津山市に行くことにした。
鉄道の展示館があるそうなのだ。
甥もまだ行ったことはないと言う。

寮まで迎えに行って
津山まで高速道路を走る。
日頃の移動が鉄道やバスである甥は
高速道路の市町村の境界の案内標識を
珍しそうに見ていた。

休憩を挟んで3時間弱で津山に到着。
お腹が空いたので
まずは津山名物ホルモンうどんを食べる。

「天将」さん、優しいお味で美味しかったよ!

次に目的の「津山まなびの鉄道館」へ。
甥は津山に来たことはあるのだが、
こちらの施設は初めてだそうで、
目をキラキラさせて
大きなカメラであちこちを撮影していた。

列車と転車台が圧巻であった。

鉄オタでなくても楽しめるこの展示館。
甥だけでなく、多少鉄分のある私も
ワクワクしながらいろんな列車を見た。
甥がかなり詳しく説明してくれるので
本当に勉強になったしとっても楽しい。
偶然にも見学している最中は雨もやんでくれた。

実は甥は津山〜東津山のJRの区間をまだ乗っていないというので、この機会に乗ったらいいよと
津山駅まで連れて行くと、B'zがいた。

B’zの稲葉さん(津山市出身)は
津山市の名誉市民とのこと。

列車に乗った甥を東津山駅まで迎えに行き、
また高速で広島に戻った。
夕飯は福山で食べたので、
無事に甥は福山の地に降り立つこともできた。

私たちに慣れてくれたのか、
この旅では甥も自分からいろんな話をしてくれた。
帰りの高速では、
「車を買ったら国道の旅をしようと思います!」
と高らかに宣言もしていた。
どうやらウチの車のことも気に入ってくれたようだ。
電車の路線に国道、まだまだ彼の旅は続くのだと
私たち夫婦は甥の若さを羨ましく、
また頼もしく感じた。
いつか何かの機会に、今日の小さな旅のことも
楽しかったと思い出してくれたらいいなと
思う。

そうして3ヶ月弱ウチの街にいた甥は、
本採用地である三重県へ異動して行った。
義弟夫婦からは、
お兄さん夫婦がいてくれて
本当に心強かったとお礼のLINEが来た。
私たちはほとんど何もできなかったのだが、
そう言ってもらえて少し気が楽になったとともに、
なんだかぽっかりと心に穴が空いたような
気にもなった。
もしかしたら、私の方こそ甥が近くにいてくれて
心強かったのかもしれない。
息子を心配する親の気持ちが
ほんの少しだけわかったような気がした。
血も繋がらないのにおかしなものだ。

次に甥に会うのはいつかわからないけれど、
これからも元気で自分らしく
毎日を過ごして欲しいと願っている。
あと、どうか周囲の人に恵まれますように。

いつか電車でこの辺りを通ることがあったら
駅のホームで手を振るからね。
車で国道2号線を走る時はウチに寄ってね。
また一緒にごはんを食べましょう。


(了)






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