窓辺の猫 第五十六回 「子は親の助けになるか」
どうも猫の寝相が悪いようです。人間の寝相が悪いからでしょう。猫に悪影響を与える飼い主です。
人間では、子供が親の助けになることがあるとして、猫にとって出産は自分を助けるためにするのでしょうか?
学校の教科書でも習う「思考の整理学」外山滋比古さんの本にインブリードについての記述があったことをおもいだしました。その本は手元にあって、手放すことにしてから、読み返したくなって慌てて気になったところだけ斜め読みしました。その時は交配について植物と人間のことを言っているのだとそのまま受け取りました。しかし、言葉の意味を改めて調べてもしかして競走馬について本当は言いたかったんじゃないかとふと思いました。サラブレッドがどうやって生まれるか、私は詳しくないのであえてことでは書きませんが、猫でもそういったことが行われているなら怖いなと思います。
似たもの同士は相手に影響を与えることが難しいと本にありました。つまり、家族と一緒にいるとリスクも高まり、良い影響もあまりないというのは拡大解釈しすぎでしょうか。「かわいい子には旅させよ」というのは、子供のより良い人生を願っての言葉だけでなく、家族全員を生きづらくしないための言葉だったかもしれません。
猫は刺激を求める好奇心の強い動物だと言われます。一方で環境に適応する能力が低いそうです。我が家の三毛猫はお出かけが好きな一方、家にいても穏やかなので環境適応能力が高いと思っているのですが、どうでしょう。
最近捕獲して避妊手術を待っている二匹の子猫。一匹は大層な暴れようで捕獲に散々苦労したあげく、猫風邪にかかっていたのでしばらく隔離していました。
体調が良くなってきたように見えたので、広い方が良かろうと二段ケージに先に捕獲した白い兄弟猫と一緒にしました。
すると二匹でずっとくっついている。活発に見えた白猫も一番上の段で兄弟で寝そべっているだけ。二匹同じケージにしたのを後悔しましたが、また移すのも大変なので避妊手術までそのままにしようと思っています。二匹にして良かったのは暴れて鳴いていた方が大人しくなった事です。一方で、よく観察したら、ケージを先に使っていた白猫が全く譲ってない事もわかりました。
ごはんもおもちゃもトイレも自分が先。ハンモックも自分だけのものにしています。黒縞の方が体格が良いように見えます。けれども、遊んでる様子もされるがままで、なんだか遠慮しているように見えます。もしかしたら猫にも上下関係があるのでしょうか。あるいはこのケージは白猫の方の縄張りで、自分は同居しているだけという感覚なのか。
先に1匹捕獲した段階で、雨がひどいので、母猫と父猫も保護していました。姉猫は相変わらず逃げ回っています。その母猫と父猫は、2匹目の子猫を捕獲した翌日に脱走しました。その上で雨がひどいせいか、子猫がいる部屋の周りでうろちょろしていて、特に母猫がしきりに鳴く時があるので困っています。母猫が泣くと、黒縞模様の臆病な方の猫もよく鳴くのです。子猫たちは既に離乳して生後3ヶ月以上です。その母猫は脱走してから、姉猫のほうの面倒を見ていますが、その姉猫は既に妊娠しており、生後8ヶ月を過ぎています。この母猫まるで子離れしないのです。一生家族で暮らしていくつもりなのでしょうか?父猫は子猫たちをつけ回したりはしないものの、ご飯を譲ってあげたり、後からついてきたら、基本的に面倒を見てあげています。全く邪険にしないのです。
我が家で、最初に子猫を産んだ時が初産だったのかもしれません。父猫も父になったのが初めてだったのか。それにしても、これだけ家族で過ごしていると、逆に他の猫たちとうまくやれるのか心配になってしまいます。
父猫は自分で喧嘩して縄張りを守るから良いのです。しかし、母猫は夫に守ってもらうだけ。その夫に子猫も守らせて、自分はしゃあしゃあ言いながら逃げ回ります。
これを人間に当てはめて考えると、ずっと家族だけでいると、依頼心が高まって、頼られる人が決まってしまい、負担が大きくなるんじゃないでしょうか。生きることを父猫に頼りきり。父猫がいなくなったらどうなってしまうのでしょうか?今のところ、親猫たちの譲渡先は決まっていません。しかし、オス猫が外で生き延びる力が本当に強いのか、今疑問に思っているのです。メス猫たちに頼られることで寂しさを紛らわしている。やっぱり本来は人間に愛玩されるのが猫ではないでしょうか。
雌猫たちも他の場所に行ったとて、他の猫達と仲良くできる姿が想像できません。厳しい外生活の中で、それに耐え抜くには、選んだボス猫があまりに優しすぎたのではないでしょうか。もし今度、避妊手術した子猫たちにも貰い手がつかなかったとして、リリースしても、父猫を助けてくれるでしょうか?一見、母猫と仲が良いように見えて、お互いのピンチにどう対処するのか。猫は仲間の猫を助けるでしょうか?ただ寂しさを埋めるために家族で一緒にいても、それが良い結果をもたらさないこともあるのではないかと、自分自身を振り返っても思うのです。
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