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【三選】犯人を匂わせつつ意外な展開に持っていくおすすめ小説

noteでシンハさんがおすすめされていました。読んでみて面白かったです。ありがとうございます。

途中でちょっと他の小説に寄り道したので、読み終わるのに時間がかかってしまいました。おすすめされていたその日にポチッとネットで買ったのに。

【自由研究には向かない殺人】 ホリー・ジャクソン:著 服部京子:訳

最近の若者はネタバレが好きとテレビの情報番組で知りまして、呼んでいる途中では、感想文を書いてネタバレする気満々でした。
詳細な解説を書いてやろうじゃないかと、何だか若者と戦う境地になっていたのです。
けれども、元から若者ウケしそうな小説に感じたので、万が一にもこのnoteをなんの気まぐれか私より若い方が読む可能性を考慮して、あらすじ全部書くのはやめることにしました。
そんなことしなくても、惹かれるタイトルでしょう。
私はちょっと寝かせてしまいましたが、500ページもある小説でありながら、SNS上のやり取りの会話文もたくさん出てくるので、読みやすいのではないかと思います。
ただ、これを子どもの推薦書に選ぶイギリスのセンスはすごいなと思いました。殺人事件を題材にしたミステリー小説ですよ?
犯人の候補を丁寧に箇条書きして話を追いやすくはしてあります。ただ、人物相関図とか見るの、私は苦手なんですよね。子どもの時はどうだったか思い出せません。犯人を匂わせつつ最後には意外な展開に持っていくという筋立てでした。

匂わせ程度にこの小説の特徴を箇条書きしておきます。

・とても賢い17歳の女子高校生のピップ(ピッパ)が、過去に自分が住んでいる町で起きた殺人事件を高校卒業前の自由研究の題材に選んだ
・5年前、その地域のちょっとした美人として有名だったアンディの失踪事件が起きた
・アンディの遺体は見つかっていなかったが、当時彼女と交際してたサルが殺害を告白するメール文書を残して死んだので、事件は犯人の自殺で処理されていた
・ピップは過去にサルに親切にしてもらったことがあり、彼が犯人だと思えなかった。警察や地域の人は、サルが白人種でなかったため優等生であった彼が殺人犯と目されても偏見の目で断じていた
・行動力のあるピップは同じくサルの無実を信じるサルの弟のラヴィにインタビューをしかけ、一緒に殺人事件を捜査することにした
・サルが犯人でないとするとサルを自殺に見せかけて殺した犯人がいることになり、その殺人犯候補は同じ町のピップの身近にいる人たちだった
・調査するほど悲劇の美少女である方のアンディの方が素行の悪さなど様々な問題を抱えており、サルの方が善良であることが分かっていった
・サルを殺人犯と決めつけている町の人たちこそ、サルが犯人でないというヒントを持っていた

ネタバレしないと前述しましたが、箇条書きすると結構話の流れを言ってしまってますね。そして、また大きなネタバレをしますが、これ解決していない謎があるような気がするんです。シンハさんがこのシリーズに続きがあるということをnoteに書かれているので、amazonで購入しようとしたら、見つかりませんでした。イギリスでは続きが出ていて、日本では翻訳がまだなんでしょうか。
気になるのは、アンディとかかわっていたはずのダニエルという警察官なんです。マックスという麻薬にかかわっている人物と親交があって、過去にひき逃げを隠蔽してあげたように読めるのですが、その理由が明かされていません。そのひき逃げ自体はピップの親友の姉がかかわっているので、ラストでピップはその秘密を墓まで持っていくとしているのですが、本当にそうするのか怪しいような伏線に感じました。
とはいえ、続きを読んでいないので、何か隠しているはずのダニエルの謎はどうなった?というのは私の勘繰りすぎで、ただの思わせぶりな盛り上げ役なのかもしれません。
高校生探偵なんて映画化したら面白そうではありますが、ダニエルの役回りの表現が難しそうだなと思いました。

怪しい警察官といえば横山秀夫ミステリー

横山秀夫さんと言えば、警察組織内部の問題や刑事の内面の葛藤を描いた作品が多い印象があります。「顔」「動機」などはそういった作品で特に好きで、何度か繰り返し読んでいます。

恐らく横山秀夫さんのデビュー作であったように記憶しています。これが新人かと思うような臨場感があって好きですね。ただ、胸が痛む話なので何度も読む気にはなれません。刑事が犯人ではない作品で、物悲しさばかりが目立ちます。犯人は匂わせてある・・・でも、ラストを読むとやっぱりとても意外な気がして、どうしてそうなったんだろうと思わされるのです。

ちなみにタイトルを「ルパンの告白」と思い込んで検索したのですが、それは本物?のアルセーヌ・ルパンが主人公の作品集のタイトルでした。消息なんて意味深ないいタイトルなのに、覚え違いをしていた自分が恥ずかしいです。

これは藤沢周平の江戸ミステリー作品でしょ?

これもタイトルを覚え違いしていました。「”秘剣”馬の骨」と思っていたのですが、「秘太刀馬の骨」でした。

これは、たとえるなら剣の達人が剣の達人を探すというような作品です。いや、わかりづらいか。必殺仕事人が探される話といえば通じる世代には通じるでしょうか。無理な気がしますね。

私の喩えは悪いですが、とても腕の立つ暗殺者をなんだかどうしても探したい人が探すというような話です。
そして、私は最後までその秘太刀の使い手が読んで分かりませんでした。だって、ラストが犯人を誤認させるような書き方がしてあるんですよ?犯人を最後まではっきり書かないなんて、ネタバレ大好きなZ世代は1周回って分からな過ぎて好きなんじゃないでしょうか?いや、一周回ったら元の位置に戻るので、ちょっと価値観反転させるか、180℃倒して逆さまにしてください。

いや、犯人分からないなんてことないでしょ?と思われても、終わりの読んだ人の解説を読むことをおすすします。そうすると、この一見不格好なタイトルの秀逸さが分かりますから。私は祖父の蔵書の影響でもっと古い作家の山本周五郎や山手樹一郎の時代活劇小説の方が好きですが、藤沢周平さんも割と読んでいて、この小説が意外性では断トツでした。

意外な展開が大嫌いという若者にぜひ読んでほしいですね。意外な展開もよいものですよ。
映画にもなっています。

残念ながら、映画は見たことがなく、prime特典にもなっていないので、観る予定はありません。DVDは、私には値段が高すぎます。
でも、結末のないような小説をどう映像化したのかは、ちょっと気になりますよね。

最近のライトノベルの小説は、タイトルが説明的でさらに王道と言われるものが多いような気がします。

直系の世襲の王子様が素敵な人で、王族の血を引く傍系の公爵家が王位を狙う悪役というようなものが多くありませんか?それはそれで面白いのですが、非嫡出子や側室の子が王位を狙うのまで簒奪や自責の念に駆られるというのは、現実に返るとどうなんだろうと思うのです。昔話というかファンタジーの御伽噺とみなさん認識しているとは思います。

でも日本の政治家や実業家に置き換えた場合、代々続いた人が由緒正しくてその精神は高邁で、見目麗しくて、上品で、帝王学を学んでいて間違いがなくて、などと思い込んでいると、たたき上げの人は支持が集まらなくて総理になれない時代がきそうです。

長年家業が続くことはロマンがあります。でも、下剋上にもロマンを感じます。同じことを代替わりの度に繰り返すのではなく、伝統を守る人ばかりではなく、新しい価値観や製品が生まれ続ける社会であって良いじゃないですか。

韓国のクアベギは昔の日本の給食の揚げパンでしょ?今のギャルはバブル時代のギャルの真似では?

それも悪くはないんです。見ている方は面白いですけど、私が子供の頃読んだ小説や王道小説ばかりでなく、ガツンと一発コアな層を狙ったマニアックでいて世間を刮目させるような原作小説か漫画が映像化したら良いのになと思います。

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