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「窓辺の猫」第20回 狩りを知らない三毛と知っている外育ち

次に飼う猫の名前を決めました。
"カエル"にします。
今のところ飼う予定はありません。

虫の名前は便利です。
猫が脱走したときに、虫を見つけたと思ってもらえるだろうからです。

我が家で飼っている2匹の猫の名前はセミとトンボです。

「セミだ!」(猫)
「トンボだ!」(猫)

どこか遠くに逃げてしまったときに、大声で飼い猫の名前を呼んでも、虫を見つけて感動している年甲斐のないおばさんだと思ってもらえるでしょう。

あるいは、夏や秋ではなかったとしても、季節外れの虫を見つけて、感動しているのは不自然ではありません。

「カエル」はもっと素晴らしいですよね。カエルには、絶滅危惧種も多く、庭でアマガエルを見かけることも減りました。ヒキガエルはいっぱいいます。我が家はヒキガエル天国です。見た目の割に鳴き声が美しいのが幸いです。私によく似合う虫だと思っています。

「カエルがいたよ!」

お子さん連れなど特に、大人でもカエルを見つけてはしゃいでいる光景をよく見かけます。

「カエル」は猫を脱走させてしまった失敗をカモフラージュできる格好の名前でしょう。カエルは冬眠しますから、冬だって見つけるのは不自然ではないです。

とはいえ、うちの猫たちはほとんど脱走しません。特にトンボという名前の麦わら柄の猫の方は、勝手に家の中に入ってきて居着いてから、脱走したのは九州で珍しく雪が多く降った日だけです。珍しそうに雪の庭を歩いて、私が家の中に入ろうとすると戻って来て、抱き上げるとうれしそうにスリスリしてきました。

外に出ないのは、外でよっぽど辛い思いをしたのでしょう。ごはんに対する執着心が強いのも仕方がないと考えてきました。

ところが、初めて家の中に入ってきた時、たった体重3キロだったトンボ猫(今は5キロ超え)が実は外でもたくましかったのではないかと気づくようなことがありました。

トンボ猫は何かにしがみついて、後ろ足でキックするのが大好きです。蹴りぐるみはすぐに飽きてしまいますが、人間の枕や布団を蹴るのが大好きです。

私は寝相が悪いので、猫と寝たくありません。布団に乗っかってくるトンボ猫を最初は部屋から追い出していました。

しかし、好きな物を取り上げるのもかわいそうかと、私が起きている間は自由にさせていたら、人間と寝ようとはしなくなりました。

そもそも、先輩のセミ猫がくっつかれるのが嫌いなのです。私が数日留守にして帰ったところ、トンボ猫がおとなしくなっていました。あんなに元気に足音を立てて走り回って、毎日枕を蹴飛ばしていたのに、こちらの様子を伺って、少し離れた場所にいるようになったのです。
おそらく人間が減ったので、先輩のセミ猫に構ってもらおうとしたら、うっとうしがられて教育されたのではないでしょうか?

セミ猫は、とてもめんどくさがりで、自分が遊びたい時以外に後輩猫にちょっかいをかけられると、ほぼ相手にしません。

そもそもトンボ猫は足がセミ猫より遅いせいか、その分、捕まえたときの動きが激しいです。

子猫の頃から人間と暮らしてきたセミ猫は、遊びの中で怪我をするという経験は2歳までありませんでした。子猫の頃に、他の猫に何度か噛み付かれて怪我を負った経験はありますが、おそらく生後1ヵ月位から他の猫と遊んだ経験がないのです。

ちょっとでも爪を立てられると、喧嘩を売ってるのかと思うのも仕方がないでしょう。セミ猫にとっての遊びは、追いかけっこや、かくれんぼやおもちゃで遊ぶもので、プロレスは遊びに入らない喧嘩なのです。

そういえば、セミ猫は何度か脱走したときに、鳥を追いかけてはいましたが、捕まえた事はありません。木の上に登って捕まえられる距離にはいました。しかし、飛びかからず、眺めていました。冬は窓辺で友だちのシロハラという鳥をよく眺めています。

ネットで、猫が蹴りぐるみを好きなのは狩猟本能の名残りだと読みました。
猫は獲物を捕まえて、後ろ足で蹴飛ばして気絶させてトドメを刺すのだそうです。

セミ猫は虫を仕留めたことはあります。トカゲと蜘蛛をもて遊ぶのが大好きです。しかし、ネズミや鳥を仕留めた事は無いのです。食べたことがあるのは、せいぜい虫くらいで、蜂を食べたのをたまたま見ましたが、"蝉(セミ)"は食べたことがないと思います。名前がセミなのに・・・。別に好物の名前をつけたわけではありません。

トンボ猫のキック好きを見ると、おそらく鳥を仕留めて食べたことが何度もあるのだと思います。トンボ猫は庭をあまり眺めません。
人間のくれるご飯の方がおいしいので、庭の鳥を見ても、食欲が湧かないのでしょう。もちろん、鳥をお友達とは思っていません。

カエルを食べたこともあるんじゃないかと思います。我が家の庭には前述した通り、ヒキガエルがたくさんいます。たまにはアマガエルもいます。食料にはうってつけです。

でも、それでは足りなかったのでしょう。あるいは、カエルは鶏肉に味が似ていると言われますが、やっぱり蛙より鳥のほうがおいしいのでしょうか?

今はキャットフードがおいしいようです。ダイエットをさせようとあの手この手で、食べ物を隠すようになって、だいぶ食欲も落ち着いては来ましたが、相変わらずトンボ猫は我が家をバイキングかビュッフェだと勘違いしているようです。

「この家の中に来れば、食べ物がいつでもたくさん食べ放題だと聞いたんですけど」

約束が違うと思っているかもしれません。そんな約束は、先輩のセミ猫も私もした覚えはありません。

世界中で物価が高騰しています。ありし日のトンボ猫にならって、人間も我が家の庭の生き物を食べて、生き延びる日が来るでしょうか?

すでに植物の命はいただいています。
しかし、鶏など飼っても我が家は飼い猫も人間も鈍いので、ヘビやイタチや野良猫に先に食べられてしまう気がします。

秋虫くらい外暮らしの猫をよく見かけます。
世界から不幸な動物が少しでも減り、食料危機が改善に向かいますように。

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