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「窓辺の猫」第三十回 我が家の化け猫

どうも猫の飼い主です。
最近、幻聴がします。
もしこれが幻聴でないなら、我が家の猫たちは化け猫なのかもしれません。

我が家には二匹の猫がいます。
堅物の三毛猫のセミと自由奔放な麦わら猫のトンボです。

私は最近この二匹の猫たちに芸を仕込もうとしています。
セミ猫には肩乗り、トンボ猫にはマッサージをしてもらおうとしていますが、なかなかうまくいきません。

冬になり、トンボ猫は人間にくっつきたがるようになりました。
夜明け前になると寝ている私の上に乗ってきます。香箱座りでお腹の上で寛いで、私が狸寝入りをやめないとわかると(お腹の上で座り心地を確かめるためにぐるぐる歩き回られて起きないわけがありません)、私の上で伸びをして顔を舐め回してくるようになりました。
これは自室から追い出しても治らず、リビングのソファで横になっても同様でお腹に乗るようになりました。
さらに退屈になると人間の上を行ったり来たり落ちつかないので、先日は先輩猫のセミ猫に「うるさい」と怒鳴られていました。

そうです、セミ猫が「うるさい」と言ったとはっきりわかったのです。私はいつの間にかセミ猫の言葉がわかるようになりました。

遠くから鳴き声が聞こえると「トイレ掃除して」と言われたと思う事もあれば、扉の影に隠れていて「ボール遊びしよう」と誘われる場合もあり、どっちなのか鳴き声を聞いただけでわかります。

ん〜と低い声でお座りして待っている時は、「ごはんをもっとくださいね」とおかわりを要求しています。口の周りをペロっと舐める時はおかわりが待ち遠しくていらいらしています。

セミ猫は今年4歳になります。
猫と3年暮らすと猫語が分かるようになるのが普通なのでしょうか。

窓辺でセミ猫が唸っていれば、窓の外に来たどこかのボス猫がどんな行動をしているかセミ猫の鳴き方で分かります。

「ああ、今窓辺でボスが横になって日向ぼっこしてるんだな」

「ボス猫と窓を挟んで睨み合いの最中か。ちょっと止めに入らないと窓を叩き出すかもしれない」

まさにセミ猫とボス猫が両前足をガラス窓にかけて、一触即発のガラス越しバトルを始める直前に止めに入ることが出来るようになったのです。

今年の冬は、セミ猫が元気です。
体調も良いのでしょうが(我が家に拾われた時はだいぶ弱っていました)、昨年は拾われたばかりで遠慮がちだったトンボ猫が思う存分人間に甘えるのでイライラするようです。

自分だって甘えれば良いのですが、トンボ猫を退かしてセミ猫を抱っこしようとすると逃げ回ります。
走り回って遊びをやめず、しまいにはぜえぜえと苦しそうな息をします。
セミ猫は体力を温存する事を知りません。
しまいには、トンボ猫を退かして、人間が一人で椅子で寛いでいると椅子の背もたれを飛び蹴りして来ます。
独寝の後輩がかわいそうだろうというのです。
たまには肩を狙ってキックしてくる事もあります。
それならとついでに片乗りをやってくれないかなと捕まえて肩に乗せようと試みるのですが、どうしても乗ってくれません。キックする時たまたま肩に乗りかける時はあっても人間に乗せられるのは嫌なようです。
抱っこも同様で自分が抱っこされたい時に後輩が人間の膝を占拠しているのは気に入りませんが、かといって、自分から乗るわけでもないのに、人間に強制的に膝に乗せられるのは断固として拒絶します。その上で、後輩を抱っこしてあげないと、人間に起こるのです

セミ猫は気難しいのです。
そして、先輩風を吹かせたがります。
トンボ猫が盗み食いをするので(トンボ、猫は扉を開けられます。壊した前科もあります。)、トンボ猫のご飯を減らしています。といっても、2匹同じ位の量を与えているのです。トンボ猫があまりにもご飯が欲しいと騒ぐので、セミ猫のご飯の催促もうるさくなってきました。
外時代に声帯を痛めたのか、声の小さいトンボ猫と比べて、普段鳴かないくせに怒ったように叫ぶセミ猫は相当うるさいです。
そして、人間が根負けしておかわりをあげると、それには見向きもしないで、くるりとご飯皿に背を向けて去っていき、先輩のおこぼれにあずかろうと隠れていた後輩猫にご飯を譲ってしまうのです。

「お腹が空いたって言ってるのに、ご飯をあげないとかわいそうでしょう?」

すました顔で、窓の外を眺めながら、セミ猫はどこか得意げです。いい事してあげたような顔していますが、おかげでトンボ猫が痩せません。

鳴かなくても、行動でセミ猫の気持ちがわかるようにもなって、セミ猫の行動がうるさいなと感じるようになってきました。猫って結構感情があります。あるいはセミ猫は実は化け猫で、普通の猫よりも口数が多いのでしょうか?
体調が良いのは嬉しいのです。ただ口数が多いなと思うのは、それが家族っていうものなのでしょうか。セミ猫は、我が家で、もはや人間と同等の地位を築いているのかもしれません。

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