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コーチのためのスポーツ心理学⑯コミュニケーションはコーチのためのメタスキル

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スポーツの世界において、コーチの役割は単に技術や戦略を教えることだけではありません。効果的なコーチングの根幹を成すのは、コミュニケーション能力であるともいわれています。

コミュニケーションが重要だということは言わずもがなだとは思いますが、今回のnoteでは、コーチにとってコミュニケーションがいかに重要なメタスキルであるかを紹介しながら、以降のnoteにおいてコミュニケーションスキルを向上させるためのヒントなどについてまとめていければと思います。

僕自身のnoteでは、コーチのためのスポーツ心理学というテーマでnoteをまとめていますが、今回から紹介していくコミュニケーションに関しては、コーチ、スポーツに限らず重要になるトピックだと思いますので、よろしければご一読ください。

コミュニケーションの本質

コミュニケーションとは、思考、感情、情報の交換を通じて相互理解に達する双方向のプロセスであるといわれています。

スポーツコーチングにおいて、コーチと選手の相互理解以上に重要なものはありません。

どれだけコーチ自身が、競技のスキルや戦術について深い理解をし、自身の中でしっかりと言語化することができ、それを選手に伝えることができていいるとしても、それが選手にしっかりと伝わっていなければ良いコミュニケーションとはいえません。

恐らく、次回のnoteでまとめていく内容になるとは思いますが、良いコミュニケーションのためには、コーチが伝えた後に、しっかりと選手に伝わっているのか。ということを確認・理解することも良いコミュニケーションには重要になってきます。

そして、それらはリーダーシップと同じく、「プロセス」であるということも重要です。

ひとまず、今回のnoteでは、定義と相互理解であるということを覚えておいてもらえればと思います。

メタスキルとしてのコミュニケーション

コミュニケーションは、コーチにとって他のすべてのスキルを可能にする高次のスキル、つまりメタスキルであるともいわれています。

効果的なコミュニケーターでなければ、以下のことが困難になります。

  1. アスリートとの関係構築

  2. ビジョンの共有とチーム文化の発展

  3. スキルや戦略の効果的な指導

若干の繰り返しにはなりますが、どれだけ優れたスキルや情報などをコーチが持ち合わせていたとしても効果的なコミュニケーション無くして、それらが効果的にチームに浸透していくということはありえません。

コーチとして、学ぶことはとても大切ですが、それだけにのめり込むのではなく、時には自身がコーチングを行うチームではどのようなことが求められていて、それを解決するために現状として、どのような資源が確保できているのかなどについて、リスナー(聞き手)となってコミュニケーションをより効果的にしていく必要もあります。

良い聞き手になるために、ということについても今後のコミュニケーションに関するnoteでまとめていきます。

コミュニケーションの重要性

アメリカのオリンピック選手を対象とした研究では、コーチにとって最も重要なスキルとして、教える能力モチベーションを高める能力含むコミュニケーションが挙げられています。

これはコーチのスポーツに関する知識や技術的なトレーニングスキルよりも高く評価されたそうです。

さらに、コミュニケーション・スキルの訓練を受けたコーチの下でプレーしたユース選手は、そうでないコーチの下でプレーした選手と比較して、パフォーマンスへの不安やドロップアウト率が低いことが示されています。

以上の例は、コミュニケーションの重要性を示唆する研究結果のほんの一部です。

重要ということは大抵の人は知っている、感じていると思いますが、知ってはいる、感じてはいるけれど、どのように向上させていくのか、より効果的なコミュニケーションを行っていくためには、どのようなことを意識すべきなのか、ということが多くのコーチの方々の関心だと思います。

このnoteでは、明確な解決策を紹介することはできませんが、様々な知識を紹介する中で、何かしらのヒントは紹介できるのではないかと考えています。

正解はないからこそ、色々な知識を学びながら実践し、より良いものを探求していくこと、選手と共に作り上げていくこともコーチングの楽しさの一つではないでしょうか。

効果的なコミュニケーション・トレーニング

先ほどの章でも少し紹介しているコミュニケーション・トレーニング・プログラムでは、コーチに以下のような指導が行われます。

・選手の上達と努力を積極的に強化する
・ミスに対しては励ましと具体的な修正指導を行う
・技術に関する情報と指導を重視する
・ミスを学習の機会として捉える
・個々の選手に注意を払い、個人的な交流を持つ

僕自身は、コミュニケーション・トレーニング・プログラムに参加したことはありませんが、コーチの研修会などはこれらの内容をある程度、網羅することができているのではないかと思います。

色々な考えを持った人の中で、自分自身の意見を伝える。また、色々な人の意見を聞く中で、自分自身に反映させていくような機会に積極的に参加することが大切なのではないでしょうか。

コンフォートゾーンを脱する

自分自身の考えや意見と異なることを受け入れたりすることは、心地の良いことではないかもしれませんが、自身が成長するために、自身が現在いる快適なゾーン(コンフォートゾーン)の外に出てみることは大切です。

そして、何かに挑戦する中で、自身が心地よくないと感じる(=ストレスがかかっている)状態は、自身の成長のための負荷であるという認識をできるかどうか、ということも非常に重要になってきます。

自身の心地が良いコンフォートゾーンに留まり続けるのではなく、時に成長のために心地の悪い環境に身を置く。

厳しい道を選びなさい。という名言はこのことを比喩しているのかもしれません。

コミュニケーションの実践的重要性

元プロサッカー選手でイングランド代表監督を務めたグラハム・テイラーの言葉は、コミュニケーションの重要性を端的に表しています:

「(アスリートが)あなたの話に耳を傾けようとしない限り、あなたが彼らの話に耳を傾け、彼らを人間として理解しようとしない限り、世界最高のコーチング本を読んでも役には立たない」

これは、序盤で述べているコミュニケーションの本質について述べている言葉だと思います。

相互理解が伴わない限り、どのような知識であっても役には立たないということです。

このイングランド代表監督の言葉の通り、良いコーチというのはこのことをよく理解しているように感じます。

コーチとしても、これまで学んできたという自信のようなものがあるとは思いますが、選手や様々な人の意見に耳を傾け、自身の意見も伝えていく中で、相互理解していけるようなコミュニケーションを行う柔軟さが大切です。

おわりに

コミュニケーションのスキルは、コーチのスポーツに関する知識と同じくらい、それ以上に不可欠です。

コーチは日々、他のどの活動よりも多くの時間をコミュニケーションに費やしていくべきなのかもしれません。

効果的なコミュニケーションスキルを磨くことで、コーチは選手との信頼関係を築き、チームのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。

次回以降では、そのようなコミュニケーションスキルをどのようにトレーニングしていくのかや、良いコミュニケーションを行うためにどのように良い聞き手になるのか、ということなどについてまとめていければと思います。

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