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ハンドボール競技におけるサイドシュート動作指導に関する質的研究の一例

論文の概要

今回は、ハンドボールのサイドシュートの指導の際に
一指導者がどのような部分に着目・評価し、指導しているのかということを、インタビューを用いて、要素を抽出した論文を基に

サイドシュートを指導する。
自身が選手として練習する。
際に、どのような点を意識したほうがいいのか。
という観点をまとめていければと思います。

研究の手法などは割愛し
できる限りわかりやすくまとめることができればと思います。

サイドシュートの3つの局面

インタビューの語りから
サイドシュートの局面というのは3局面に分かれるとされています。

以下に、各局面とその局面における
「動きのコツ」についてまとめていこうと思います。

「準備」局面

まず、1つ目としては「準備」の局面です。

この局面の「動きのコツ」としては

  • GKの位置取りの確認

  • パサーのパスの特徴

ということが抽出されています。

GKの位置取りの確認

試合中に観察・分析し、判断するだけではなく
事前にある程度の特徴を把握しておくことも大切であるということが語られています。
(アナリストなどは、そのような視点で分析をしておくことも効果的かもと自分自身勉強になりました。)

パサーのパスの特徴

練習段階などからパサーとの連携をしっかりと前もって準備しておく。

といったような、シュート前の「準備」だけでなく
試合前からの「準備」の大切さが語りから抽出されています。

「助走(踏み切り)」の局面

2つ目の、局面は「助走(踏み切り)」の局面です。

この局面の「動きのコツ」としては

  • パスに合わせて、スピードのある走り込みをすること

  • DFとの距離を保った位置で踏み切ること

  • 真上に向かって飛ぶこと

といった「動きのコツ」が抽出されています。

パスに合わせて、スピードのある走り込みをすること

十分な角度を確保するために必要であるとされており、この条件をうまく達成するために、「準備」局面での、しっかりとした準備が大切だとされています。(いい走り込みをするためには、味方のパスの特徴などをしっかり把握しておくことが重要など)

DFとの距離を保った位置で踏み切ること

これは、自分自身もかなり選手時代に改善すべきポイントでもあったように感じますし、特に高校生などは、DFに近づきすぎている場面が多いように感じます。

近づいてしまう原因としては、やはり少しでも角度を取りたい。
という思考からなのではないかと思います。

しかし、DFとの距離が近くなってしまうことで、体勢が崩れてしまい、次の局面である「シュート」局面に悪影響を与えてしまうということもあり、この語りからも抽出されているように
「DFとの距離」は意識しなければならないのではないかと思います。

真上に向かって飛ぶこと

これは、サイドシュートを指導する際にかなり意見が分かれる部分になるように感じています。

7mに向かって斜めに飛ぶことを意識する。

ということもよく指導の際に見られますが、今回の指導者の方の語りからは、「真上に飛ぶこと」が効果的であるとされていました。

その理由としては、斜めに飛んでしまうことは、自ら体勢を崩してしまうことにもつながる可能性があり、真上に飛ぶことで、GKの動きに対応するための体勢を確保することができる。という視点から真上に飛ぶ。ということがポイントとして抽出されています。

また、この真上に飛ぶが抽出された理由としては、今回対象となっている指導者の方は、主に大学生を中心とした学生年代を主に指導されている方であるということも重要だとされています。

斜め飛びは、海外の指導者を対象にした研究で効果的であるとされており、斜めに飛んでも体勢が崩れないフィジカルがある程度備わっている。骨格的に斜めに跳んでも問題がないということを前提に「斜め飛び」が有効だとされており、日本や学生年代でも有効である。とは言えないことから、今回は「真上飛び」を推奨されています。

「シュート」の局面

最後は、「シュート」の局面です

この局面での「動きのコツ」としては

  • 空中でGKを観察する時間をつくること

  • ボールを保持している側の肘を肩よりも前で、リラックスした状態で肩の高さに位置すること

  • ジャンプの最高到達点でボールを最も高い位置にすること

  • ジャンプからシュートまでの間に肘の位置に変化をつけること

  • 状況に応じて、GKのタイミングをずらすこと

また、この局面における「動きのコツ」だけでなく

「高さ」・「方向」・「タイミング」

といった3つの要素を上げています。

この局面では、その要素を1つずつまとめていきたいと思います。

高さ

「高さ」とは、シュート時のジャンプの高さのことであり、高く飛べることによってGKを観察する時間を延ばすことができ、重要だとされています。

方向

「方向」とは、ボールを保持している側の肘や手首を使って角度を取りに行く動きのことを表しているそうです。

これは、言わずもがなのように感じます。

確率の高いサイドシューターは、滞空時間が長い=「高さ」がある。といえるのではないかと感じます。

今回の調査対象の指導者の方は、GKはシューターの腕の位置を見ることによってシュートコースを予測するとしており、「動きのコツ」にもあるように、肘の位置の変化や手首をうまく使ったシュートコースの変更が必要であると語られています。

タイミング

「タイミング」とは、状況に合わせたシュートを選択し、GKのタイミングをずらすことを表しています。

これも、上記のGKに悟られない方法の1つとして重要だとされており、ループシュートやクイックシュート・スピンシュートなどといったシュート技術を身に着けておく重要性が示されています。

これら3つを踏まえて

今回の語りでは、上記3つの要素をすべて変化させなければならないというわけではなく、どれか1つでも変化を加えることによって、サイドシュートの成功率を上げることができるとされています。

特に、スピンシュートなどは一朝一夕にできるものではないと思います。(僕も試合では、打てません。)

だからと言って、打つことをあきらめてもいいというわけではなく、打てるようにするための練習は継続して行いながら、実際のシュート局面ではそれ以外の方法(高さを変えたり、方向を変えたり)することで、シュートの決定率はは向上させることができるとされています。

まとめ

かなり長々とまとめてきましたが
自分自身この論文を大学生のころに読み、意識するようになってからかなり上達することができたのではないかと感じています。

もちろん、シュートなどは数を打つことも大切だと思いますが、意識するべきポイントなどをしっかりと抑えることもかなり重要です。

自分自身も、改めて指導の際などにこのような部分に着目し、指導に役立てていこうかなと思います!


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