教科書の記述の微妙な違い

本年度担当する授業は生物基礎・(基礎なし)化学・科学と人間生活の3科目。
ただ、生物基礎も化学もそれぞれ2種類の教科書を使用。
同じ単元でも項目の順番や中身や語句が微妙に違ったりする。
結局トータルで教える内容は一緒だけど、伝え方を変えなければならない。
実にややこしい。

生物基礎の場合

例えば第1章「生物の多様性と共通性」の中での記述の違いはこんな感じ。

順番

[A社]

哺乳類の適応のしかたの違い
進化と系統
脊椎動物の分類
すべての生物の分類
生物の共通点
細胞の構造と機能
細胞の大きさ
ウイルスは生物か?

[B社]

生物の種の数
生物の共通点
脊椎動物の分類
すべての生物の分類
細胞説
細胞の大きさ
単細胞生物と多細胞生物
組織と器官
細胞の構造と機能

生物の共通点

[A社]恒常性・刺激応答・進化を共通点に含んでいない。

1.生物は細胞からできている
2.生命活動にはエネルギーが必要である
3.生物は遺伝情報をもっている

A社教科書より引用

[B社・C社]恒常性・刺激応答・進化を共通点に含んでいない。

1.体が細胞からできている
2.親から遺伝物質としてDNAを受け継ぐ
3.生命活動のためにエネルギーを利用する
4.体内の状態を一定に保つ
5.外界からの刺激を受け取り、反応する
6.進化する

B社・C社の文章を組み合わせて改変

こうやって比較してみると、何をどこまで説明すればいいのか困るところ。
特に生物基礎ではこういったことが他の単元でも起こっている。

物理基礎の場合

第1章「物体の運動」についても、出版社によって順番が違う。

[A社・C社]速さ・距離を使って等速直線運動を定義している。

速さ
等速直線運動
速度と変位
速度の合成
相対速度

[B社]速度・変位を使って等速直線運動を定義している。

速さ
速度と変位
等速直線運動
速度の合成
相対速度

化学が専門の私も物理基礎の授業を担当したことがあるが、意外と言葉の定義については細心の注意を払わなければならないと感じた。
そうすると、等速直線運動の定義はどうするか?
私個人としてはB社の説明が真っ当だと思う。

他の科目でも出版社の違いによって記述の順番や内容は大きく異なる。
それらはまた別の記事にて。

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