バルナックライカが気になる(3) 世界の中古カメラ市・ほかのカメラのこと

バルナックライカを見に行った世界の中古カメラ市。滅多に行かない銀座まで足を伸ばすのだからと、ほかのカメラも眺めてきました。私が多少なりとも知っているのはローライぐらいなので、ここに来る人の中では初心者もいいところなのでしょうが、いつか役に立つかもしれない自分用の備忘録を兼ねて思い出すままに書いていきます。

ブラウベルマキナ
会場にたどりついたところでまず目に入ったのがマキナの670とW67。私にはとても手が出ない値段だということはひとまずおいて、670は石川直樹さんが愛用しているカメラということで興味があり、その広角版であるW67にはもっと関心を持っていました。「弁当箱のようなカメラ」なんて言われることがあるようですが、確かにその通り。蛇腹を折りたたんだ奥行きは薄いですが、縦と横がかなりの大きさです。折りたたんだ状態で162mm x 115mm x 54mmのサイズ、重量は1200gほどとのことですが、これを首から下げて写真を撮るというのは、私のスタイルにはならなそうだなと感じました。

ローライフレックス(2.8F, 3.5Fなど)
私が使っているのは2.8Cですが、シリーズの完成形と言える2.8F, そして3.5Fには憧れを持ってきました。2.8Cを入手する前に、2.8Fなどは実物を手に取ったりもしていたのですが、もう10年以上前のことなのであまり印象が残っていません。久方ぶりに目にした2.8F, 3.5Fでしたが、今回まず感じたのは、「これはいい!」ということよりも「露出計の脇への出っ張りがこんなにあるんだ」ということでした。露出計がない2.8Cをずっと使ってきたからということもあるのでしょうが、露出計がつくことで見た目の縦横バランスが悪くなってしまっているのではないか、と感じてしまったのです。露出計付きのモデルをずっと使っていたら、それが当たり前だと感じるようになっていたのだと思いますが。

露出計についてもうひとつ感じたのは、「出っ張った露出計があると、この部分がカメラの中で一番壊れやすい場所になるだろうな」ということでした。ローライフレックスは1200gぐらいあるので、山歩きなどに気軽に持ち出すにはちょっと重いのですが、それでも何度か頑張って持参しています。そうしたときのことを思い返すと、手荒に扱うわけではもちろんありませんが、やはり壊れやすそうな部分はなるべく少ない方がいいです。2.8Fや3.5Fにも露出計を取っ払っているものが時々あるので、もし自分が将来これらのモデルを本格的に探すことがあれば、露出計なしの機体を第一候補として探すことになるでしょう。

ローライフレックスではむしろ、オートマットかなと思いますが、私が持っている2.8Cよりももっと古いモデルの控えめなスタイルの美しさに惹かれました。露出計なし、レンズはF3.5のテッサー75mm。オートマットの中にもモデルが色々とあり、私には見ただけで詳しい判別をすることができませんが、すっとスリムでレンズも2.8シリーズよりも少し小型な風貌が、何だかいいなと感じました。値段的にも、2.8Fなどと比べたら数分の一です。機会があれば使ってみたいものです。

テレローライ
会場にはテレローライもありました。これもローライフレックスの一種ですが、ゾナーの135mm望遠レンズ(35mm換算で80mmほど)が付けられています。ヤフオクなどで安いときにはたまに10万円程度で出品されていることがあります。主にポートレートなどで使われたということですが、レンズが長く何だか前のめりになりそうなスタイルでした。ハイキングなどに持って歩くのに向いたカメラではありません。値段は別にして、ワイドローライがあれば実物を眺めてみたいと思っていましたが、残念ながらワイドローライを置いている店はなかったようです(もしくは、私が見つけることができなかったのかもしれません)。

ベビーローライ
正式名称はローライフレックス4x4。小型のローライフレックスとして興味があったモデルです。一番出回っていると思われる戦後のグレーモデルでサイズ64mm x 123mm x 81mm。2.8Fなどと並ぶと、ふた回り小さく見えました。今回は眺めただけですが、実際に手に取ってみたとしたら、かなりのサイズ感の違いを感じるのではないかと思います。実物を見る前は、グレーという色はどうなんだろうと感じていましたが、これはこれでお洒落なものですね。さらに、少しだけ出品があった戦前のモデルは、サイズがもうひと回り小さいものでした。戦後グレーモデルで、値段はざっくりと5万円前後。オートマットや、IIIfまでのバルナックライカ(クローム・カメラ本体のみ)と大体同じぐらいの水準です。

サイズ・重量的に山歩きなどにも持ち出しやすそうな二眼レフとして、とても気になるカメラですが、最大のハードルは使うフィルムが今はほとんど作られていないベスト判(127フィルム)ということです。かわうそ商店さんが複数の種類の127フィルムを販売してくれているので、日本は世界でも稀な「127フィルム天国」だとは思うのですが、そうだとしても値段は普通の35mmやブローニーフィルムより高額で、現像してくれるところも限られます。どうしてもランニングコストが高くなってしまうのです。それを覚悟してまでベビーローライに乗り出すかというのは、バルナックライカを入手するかということ以上に悩ましい問題です。今回、眺めただけですがベビーローライのサイズも見た目もいいなぁと強く感じただけに、う~ん…というところです。

ちなみに、127フィルムで入手しやすいのはモノクロネガかカラーリバーサル、カラーネガは高価になるそうです。また、かわうそ商店さんのブースには手ごろな値段でローライのベイ1用のプラスチックレンズキャップとレンズフードが販売されていました。主にローライコード用だそうですが、フードは戦後モデルのベビーローライにも付けられるとのことでした。

偶然が重なり訪れることができた世界の中古カメラ市。限られた時間だったとはいえ、いろいろなことを見て、感じることができました。引き続き、少しずつ頭の中を整理していこうと思います。



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