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ベビーイコンタが気になる② 小型軽量フォールディングカメラの極致

イギリスの児童文学作家アーサー・ランサムの本を読み直したことを契機に、興味を持つようになったフォールディングカメラのベビーイコンタ(Ikonta 520/18)。その経緯は、前回の記事に詳しく書きました。

ベビーイコンタ、探してみるとヤフオクなど日本のネットオークションでも出品されていることがわかりました。しかも、数千円から一万円台と、ローライフレックスやローライ35と比べて手頃な値段です。

同じベビーイコンタでもレンズやシャッターの違いがかなりあることを後になってから知りましたが、当初はそうしたことがわかりません。ネットオークションで値段が安くてちゃんと動きそうなものに目星を付け、手に入れました。

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いま考えると、この一台はレンズがNovar, f4.5, シャッタースピードは最速1/100まで、シャッターがエバーレディ(シャッターチャージがなく、レバーを下げるといつでもシャッターがおりる)という、ベビーイコンタの中でもかなりの初期型もしくは廉価版だったようです。ベビーイコンタは、ライカやローライフレックスのような製造年の特定が困難なようですので、私のnoteでは仮に「初期型」と呼ぶことにします。

できれば、レンズにテッサーを搭載した上位モデル、シャッターもCompurで1/300か1/500まであるものを使ってみたいと後になって思うようになりましたが、テッサー付きのモデルはネットオークションなどでほとんど見かけません。

ともあれ、せっかく手に入れた一台、早速ランニングに持っていくことにしました。ベビーローライに関心を持って以来、いつ機会があってもいいように127フィルムをかわうそ商店さんから購入していたので、用意はすぐにできます。

この初期型ベビーイコンタの強みは、軽さと小ささです。重量を測ってみたら、実測でなんと293グラム。370グラムほどあるローライ35Sよりもずっと軽いのです。フイルム面積が35mmフイルムよりずっと大きい127フィルムを使いながら、これだけの軽さというのは驚きです。もっとも、枠があるだけのファインダーとかフィルム出し入れの機構とか、随分簡素な作りだと感じるところも少なからずありますが。シャッターがチャージ式になったり、レンズのf値が上がって明るくなったりすると、重量は増すはずです。軽さという点では、初期型を侮ることはできません。

大きさも、持ち運ぶときの折りたたんだ状態だとローライ35 Sとほとんど変わりません。

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撮影時の状態にすると、これぐらいの大きさになります。

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撮影する時だけ蛇腹の先についたレンズを繰り出すフォールディングカメラは、持ち運びの際にとても小さくなるとは聞いていました。それが、ベビーサイズだといっそう際立ちます。蛇腹を折り畳んだときのこのコンパクト感、まさにポケットや小さなケースに入れてランニングなどに持ち出すのに最適です。

以前に、ローライ35 をランニングカメラとするための持ち運び方についてまとめて書きましたが、ベビーイコンタにもほぼそのまま当てはまることができるはずです。

下の写真は、ランニングに持っていった際に途中でベビーイコンタを撮った一枚。被写体としても趣きがありますね。

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持ち運びの手軽さはローライ35 Sとほぼ変わらないベビーイコンタですが、使おうとすると違いがあります。10年以上使っているローライ 35との比較なので「慣れ」の差も大きいのでしょうが、使用時にボディからレンズを繰り出すところから始めるベビーイコンタは(おそらく他のフォールディングカメラでも)、撮影のプロセスに手間と時間がかかります。

ベビーイコンタはローライ35 と同じく目測カメラなので、景色の写真を撮る分にはあらかじめ絞りとシャッタースピード、距離をある程度のところに設定しておけば、撮影時の露出・ピント合わせはほぼ不要です。でも、ボディ前面を開いてレンズを繰り出し、ファインダーも覗き枠を立ち上げてから構図を決めてシャッターを押し、撮り終えたらレンズとファインダー枠を格納するというのは、ローライ35 でサッと撮影するよりも時間がかかります。ランニングに持っていくと、ベビーイコンタだと撮影時に立ち止まる時間が長くなります。

もうひとつ注意が必要なのは、ベビーイコンタにはフィルムの巻き止め機能がなく、一回シャッターを切った後、次のコマまでどれだけフィルムを巻き上げるかをカメラ背面の「赤窓」を見ながら手動でやらなければならない点です。

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ここにもそれなりの時間がかかります。しかも、現代のフィルムはこのカメラが作られた当時よりも感度が高く、赤窓を日光に当てながらフィルムの巻き上げを行ったりすると、ISO100でもフィルムが感光してしまうことがあるそうです。天気のよい日に光の強い屋外を走ることが好きな私にとっては悩ましいところです。

この「フィルム送りに手間と時間がかかり、感光にも注意が必要」という点と折り合いを付けられるかどうかが、ベビーイコンタをランニングカメラとして使っていけるかのポイントだと感じます。今の段階では数回ランニングに持ち出しただけなので、まだ判断できません。でも、ポケットやケースからカメラを取り出して撮影するということ以上に、フィルム送りの手間(注意が必要という点も含め)と時間が気になります。使っているうちに慣れてくるのか、ランニングよりも時間・気分的な余裕があるハイキング向きだという結論になるのか。

次回は、ベビーイコンタのファーストロールが現像から上がってきた写真をご紹介します。



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