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女優になりたい大学生

レッスン

皆が、必死になって声を張り上げる。スラッとした容姿。努力の結晶。
いつになったら私は、カメラの前で演技をすることができるのだろうか。

同い年くらいの生徒が「この間、撮影に行ってきたんだ!」と嬉しそうに語る。

私は養成所に通って1年半になる。
住んでいるところが、都会から遠いためなかなかオーディションに手を出せない。
ただただ、毎月のレッスンを受け、レッスンのための学費をアルバイトで必死に稼ぎ、女優になれなかったときの保険のために大学で必死に単位を取る。

そろそろ、辛くなってきた。

私はまだまだ、努力が足りないのだ。
体型はポチャっとしてて、顔にはニキビだらけ。身長はとても低い。気が強そう。
どこをとっても、自信と言える場所がない。

そんななかでも、人の前で演技をするときは全力で自分を好きになって自身を持っているように見せないといけない。

電車に乗っていると、周りの女子大生のほうが、女優になれるんじゃないか、なんて考えてしまったりする。

自分に自身を持つ努力をもっとしたい。
でも、そんな時間もお金もない。レッスン費を稼ぐのに必死で、大学の単位を取るのに必死で、ケアをする時間なんてない。

でも、しなきゃダメだ。

本気で人前に出たいなら。
人に勇気を与えられる私でいないと駄目だ。

これから私は、You Tubeは見ない。

惰性で食べ物を食べない。

なんとなくで、ものを買わない。

理想の体型になれるまで、運動する。

走る。

毎日発声練習をする。

映画やドラマを見て、どんな演技をしたいかを学ぶ。

アクションを真似しながら勉強する。

アルバイトをもっとしてお金を稼ぐ。

芸能の仕事にもっと積極的に手を出す。

辛いと思ったときこそ、ぐっと力を込める。

そして、走り続ける。

絶対に止まらない。

私は、止まらない。

養成所に払い続けたお金を、人前に出ることで、演じる事で全部回収してやる。