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イタリアの夏と海
夏が終わる。
今年の海も、イタリア人でいっぱいだった。
夏といえば、バカンス。
バカンスといえば、海。
そんな方程式が、イタリア人にはあるような気がする。
もちろん、「山」好きな人もいるけれど、私の周りは、圧倒的に「海」好きが多い。
海に行って、何をするわけでもないのだけれど、海辺で過ごす事が、イタリア人にとっては、ある意味、ひとつのステイタスなのかもしれない。
何年か前、海好きの友人たちに誘われて、エルバ島方面までクルーザーで訪れた事がある。
海の綺麗だと言われるエルバ島の近くに行く事も、クルーザーに乗って遠くの海に行く事も、私にとっては、初めてのことだった。
深い深い海の青は、向こう側の、陸に近くなるにしたがって、エメラルドグリーンから透明な薄い青に変わっていく。
それはそれは、とても綺麗なグラデーションだった。
沿岸から200メートルあたり。
クルーザーが近づける最短の距離に停泊し、錨を下ろす。
足がつきそうな岸辺しか泳いだことのない私には、ちょっとした冒険。
多少の波はあるけれど、生まれ育った遠州灘のあの波を思えば、イタリアのそれは、無いに等しい。
思い切って飛び込んだ。
最初のうちは、クルーザーの周りをぷかぷかと浮くように泳いでいた私も、手足を思いっきり伸ばして、大きく水をかいているうちに、水と一体化したような不思議な感覚に陥っていっていく。
気落ちいい。
心が解放されていくようで、妙な、だけども、心地よい感覚を覚えつつ、今度は潜ってみた。
潜った海の中は、また、別世界であった。
いろんな魚が自由に動き回っている。
そんな魚たちを、私が追う。
子供の頃に戻ったみたいだった。
ドッボーン。
目の前に、大きなカタマリが落ちてきたような衝撃を受けて、よく見たら、魚をついばむ鳥であった。
一瞬だったけど、鳥が海中で泳いでいる姿を初めて見た。
まだまだ知らない世界ってあるんだな…
その時、なんとなく、そう思った。
海好きから教わる「海」の魅力。
小さな頃、海好きの父が連れていってくれた海とはまた別の素敵な海を、イタリア人から教わった。
イタリアの夏と海。
2021年の夏も、もうすぐ終わる。
来年の夏は、どんな海が待っているだろうか。
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