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子供の心を持ってる、イタリア人

週末を利用して、トスカーナの田舎の町にやってきた。

「中央広場のバールで待ち合わせしましょう!」
オリーブ農園を見せてもらう為の待ち合わせに、シニョーラがそう、指定してきた。
中央広場のバールって…
土地勘のない私たちにとっては、ちょっと不安な、場所の指定だけれど、シニョーラは続けて言った。「大丈夫、さして大きな場所ではないから。すぐに分かるわ!」と。

その町にたどり着いた時、なるほど…と察しがついた。
充分と言っていいくらい、見渡しの効く、小さな広場。それが、この町の、中央広場であった。
土曜日ということもあってか、広場のそこここに、人が屯していて、それぞれの話に花を咲かせている。

「こぉんな大きなポルチーニを見つけたよ。」

手でその大きさを示しながら、あるお爺ちゃんが、嬉しそうに語っていた。
イタリア人のジェスチャーは大きい。言うことも、まま大袈裟だけども、その目は子供のように輝いている。

遠い昔を思い出す。

「あの辺は、こんな大きなザリガニがいるんだよ。」
「え〜、ウソ〜。」
「本当だってば。」
「じゃあさ、学校終わったら、ザリガニ釣りに行こうよ!」

そんなふうに、あちこち走りまわってた、あの頃。大人が見たら、なんでもないような事に心を躍らせ、その目は、キラキラ輝いていたに違いない。

そんな子供のように目を輝かせながら、イタリア人のお爺ちゃんは、皆に語っていた。

時々、イタリア人って、子供みたいだな…と思うことがある。

男の人なんて、四十になっても、五十になっても、「マンマ、マンマ!」で、イタリア人の旦那を持つ友人は、「まったく、大きな5歳児だわ…」と、嘆く時がある。
いい年をした大人たちが、口論になって、最後には「お前の母ちゃんデ〜ベ〜ソ!」レベルの会話になっていたり。

でも、なんだか憎めない。
子供のような心を持ってる、イタリア人。

嬉しそうに、収穫したポルチーニ茸の大きさを皆に話して喜んでいるお爺ちゃんの目を見た時、ふと、そんな事を思ったのである。

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