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トスカーナ・オリーブの夢 5

オリーブ畑を借りる…
とはいっても、あてのないまま、夢は膨らむ。

心の友に付き添って、いくつかの田舎物件を見たけれど、
いざ探す…となると、そうそう簡単なものでもなかった。
かなりの急斜面な土地もあれば、車の通りが激しい道に面していたり、
山々に囲まれた窪みのある土地だったり。

私が個人的にいいなぁと思うような土地は、決まって誰かのものであり、
日当たりよく穏やかな丘陵地帯を程よい金額で売り出す場所など、なかなか巡り会えるものでもなく、「理想と現実」という現実を思い知る。
イタリア生活には、「運と縁」が必要だと常々思うのだけど、
外国人である私にとっては尚更で、この20年間という月日は、ほぼほぼ、
この「運と縁」というやつで、乗り越えてきたようなもんである。

時は、コロナ禍。

いよいよ、トスカーナ州内の移動すら制限がある中、最初に見た、1ヘクタールの土地付きの家の値段が下がっているのをネットで知った。

「あの家の値段が下がったねぇ。」

そんなことを心の友と話しつつ、待っても売れない物件は、値段が下がっている現実を知った。

テレビでは、このコロナ禍での経済危機を訴える。

しばらくは、買い手もつかないだろう…と思っていた土地や家々は、
だがしかし、売れていっているという、不思議。
危機とあらば、逆にそれを、チャンスだと捉える者もいる。
私は経済に疎いからよく分からないけれども、投資やら賭けというのは、こういう時に強気に動いたりするものかもしれない。
コロナで、止まってしまったかのように思っていたのとは逆に、
不動産業界は流動的なように思えた。

そういえば、何年か前に見た家も、値段が下がってから、割とスグに売れてしまったみたいだった。

感情と現実の不思議な流れの中で、
いよいよ本格的に、物件を探すようになっていった。


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