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フィレンツェの空 20/6/2021
暑い。
南からシロッコが吹くイタリアは、ここのところ、とても暑い日々を迎えている。
日中は30度をゆうに超え、週末の海辺は、多くの人で賑わっている。
「夏」ー「海」ー「ジェラート」の連鎖は、イタリアにおいては定番の方程式のように思う。
ジェラート屋さんの前を通ると、お店の前に列ができていた。
それでも、今年は涼しい方かと思う。
というか、雨が多い日々だったというべきか。
あの頃に比べれば、まだマシか…
そう思える年があった。
2003年。
20年というイタリア生活の歴史の中で、一番暑かった年。
その年は、特別な暑さだった事を今でも覚えている。
当時、メルカートで働き始めた私は、毎日、15分ほどの距離を歩いて通っていた。
朝早く始まる仕事は、終わりが午後の2時半を過ぎた頃で、一日のうちで一番暑い時間帯でもある。
15分ほどならば、家にたどり着くだろうと、頭で簡単に考えるほど容易いものではなく、家がやけに遠く感じる。
あまりにもの暑さに、とうとう耐えきれず、立ち寄ったのがジェラート屋さんだった。
うわぁ、美味しいなぁ…
疲れた体に糖分が効いていたのか、
それとも、
あの暑さに、この冷たいジェラートが良かったのか。
兎にも角にも、ジェラートが、あんなに美味しく感じたのは、あの頃の夏。
気温はおそらく、体温を超えていたに違いない。
ちなみに私、甘いものが得意ではない。
ジェラートかアイスコーヒーかと聞かれれば、間違いなく、アイスコーヒーだ。
それでも、あの夏のジェラートの美味しさは、格別だったなぁと、懐かしく思う。
ジェラート屋さんの前。
嬉しそうに、ジェラートを食べるイタリア人たち。
老若男女問わずに、夏といえばジェラートは、イタリアの定番。
思いはきっと、いろいろなんだろうけど。
アイスクリームのコマーシャルは、いつも、若き男女の恋物語ふうだったりする。
毎年の夏と成長するカップルたちの間に存在するアイスクリーム。
なんか、甘酸っぱい感じ。
嬉しそうにジェラートを口にしているイタリア人のおじいちゃんにも、そんな思い出があるのだろうな…と思う。
「今年の夏は、暑いらしいよ。」
誰かが、そう言っていた。
久しぶりに、ジェラートが食べたくなった。
見上げた空はグレーな日曜日。
それでも、気温は31度。
イタリアは、いよいよ、本格的な夏を迎えている。
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