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イタリアの小さなお店で買い物をするということ
「これは、生で食べても美味しいよ!」
時々買いに行く青空市で、八百屋のおっちゃんがそう言った。
今が旬のカルチョーフィは、日本のタケノコのようにアクが強く、正直いうと、生で食すより、揚げ物やオムレツに美味しいと個人的には思っている。
それでも、毎日、新鮮な野菜を扱っているおっちゃんが言うことだから、素直に聞いてみるのもいいかもしれないと、買ったうちの半分は加熱して調理をし、残りの半分を、おっちゃんが言うように、生で食してみたのだった。
あら、美味しい…
以前にも、生で食した事はあったのだけど、アクが強くてキシキシするし、言うほど美味しいもんでもないなって思っていた私には、目から鱗もんの、美味しいカルチョーフィの味がした。
おっちゃんの言う事は、正しかった。
実は、私も、長年食材店で働いていた。
イタリアでは外国人の私だけども、ある意味、やりがいがあった。
店員の役目って、その時扱っている食材を、どのように理解してどのようにオススメするのかっていうのが、大きな技量となっている気がするから、人種を超えて、続けて来店してくれるお客さんが居ると、なによりも嬉しかったのを覚えている。
ただ単に、モノを買うという行為の中での、お互いの信頼感。
ここだったら、美味しいのをすすめてくれる…
この人だったら、食材の扱い方を教えてくれる…
私が、地元に密着したお肉屋さんや、青空市の八百屋さんで買い物するのが好きなのは、きっと、そんな理由からかと思う。
人との触れ合いが減りつつある昨今だけど、そんな店員さんが居るお店に、明日もまた、買い物に行こうと思っている。
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