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トスカーナ・オリーブの夢 2

放置状態になったオリーブ畑が、幾つもあることを知ったのは、
初めて田舎に家を見に行った時だった。

イタリアの農業事情がどうなのかは知らないが、
兼業農家というか、別の仕事をしながら、庭にあるオリーブやらブドウやらを育てている人たちが割にいて、
「知り合いの自家製のオリーブオイルを頂いた…」なんて話を聞くと、
いいなぁと思っていた。
庭といっても、日本でイメージするような、猫の額ほどの大きさではなく、
単位がヘクタールと、ちょっと大きい。
土地が広い分、維持していくのも大変で、仕事のない日に農作業は、若い人にとっては興味がない話らしい。

昨年、機会があって見に行った農家も、80を過ぎているというおじいさんが、
「もう流石にね、手放さないと…って思っているんだよね。」
と言っていた。
「80」だと言われるまで、そんなふうには見えなくて、ビックリした。
自然を相手にしていると、こうも生き生きといられるのだろうか…と、
勘違いしそうになる。

「私しゃあ、元気だけども、妻がね。病院に行ったり来たりだから、もう畑の面倒は見れんのだよ。」

子供たちもいるらしいが、都会に出てしまった…と言っていた。

なんだか、勿体ない気がした。

年老いて、手がつけられなくなった畑が、売れればまだ良いけれども、
苦労してまで農作業をやろうと思う人が少ないのか、
はたまた、この状況下、
古びた民家を改修し、何ヘクタールもある土地を購入するなんて、
簡単な事ではない。

なんとかならないもんだろうか…

いつしか、そんなふうに考えるようになっていた。


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