ケンタイ間
クヨンはケンタイ間に堕ちた。
目を覚ますと目の前に変な生き物がいる。
『!、、ペンギン?』
「ちがうよ、失礼な」
ペンギンみたいな黒くて丸い生き物が不満げに言う。
『ここ、どこ』
状況がわかるようなわからないような気がしていた。眠たいような、ぼんやりする感覚。やっぱりわかるような気がした。わかりたくないだけだ。
「ケンタイ間」
また、落ちたのか。 また?
『倦怠感ってなにそれダジャレ?』
「どういう時でもユーモアも必要だろ」
可愛くないペンギンだ。でも嫌いではないとクヨンは思った。
『これって出れないんだっけ?いつまでいるんだっけ』
ペンギンがなんとも言えない顔をした。
『、、人によるか』
「1日で出て行くようなやつもいるよ」
『何年も、何十年もいるやつもいるってことね』
一生いるやつも。そう言葉がよぎったがあまりに絶望的すぎる気がして口にはしなかった。
「クヨン、まずは寝た方がいい」
たしかに、それで済むなら話が早い。
クヨンはそのペンギンみたいなふわふわを抱き寄せてそっと、目を閉じた。
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