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大地の恵み(1)北条ワイン


 2016年10月21日、鳥取県中部で震度6の大きな地震が発生した。我が家は島根県だけれど、大きな揺れを経験した。すぐに友人や親戚から「大丈夫か?」という電話やメールを数えきれないほど頂いた。有難いことだった。
 11月4日時点で住宅被害は10000棟以上にのぼる。避難所生活の人もまだ多い。地震直後はマスコミも大勢現地に入り、被害住宅や避難所の様子など毎日大きく報じていた。2週間たった4日の新聞見出しは「中部は負けない」で復興の様子を掲載していた。
 震源地は倉吉市付近。観光地で赤瓦白壁土蔵群や三朝温泉、投入堂で有名な三徳山等興味の尽きない資源がある。この土蔵群の白い壁も落ち赤い瓦はブルーシートに覆われ・・・状況だったけれど秋の観光シーズンを目の前にして、次々に復旧している。
 熊本地震以来、本震も余震も判断が明確でないから、1週間だけと思って私は飲料水の汲み置きをした。どうやらおさまりつつあるようでこれも終えた。
 数年前、山陰フルコースという名称で展開したWebShopで北条ワインさん(鳥取県中部の北栄町)にもご参加頂いたご縁があり、4日午後たずねた。途中通過した北条バイパスには“地震のため段差があります”の表示があり、通過する道筋の家々の屋根にはブルーシートが貼られ痛々しかった。
到着し、すぐに山田氏にお目にかかりお見舞い申し上げますというと「経験のない揺れでした」「鳥取県中部は地震がないと思いこんでいて、びっくりしました」と率直な感想。ワインに被害が出たと伺っていますが、と問いかけると
「ワインの瓶は全部こわれました。樽に入っていた20年、30年と蓄えたワインも全て外に飛び出しました。この歳月は戻りません」「これからどうしようか~~と思います」と目線が下がる。工場の床にあの美味しいワインを飲ませてしまったのだと秘かに思う。工場の屋根一部はブルーシートに覆われていた。「瓶や樽は発生から1週間で片づけました」と顔をあげられる。
事務所中ワインの香りが漂う。鼻は慣れてしまったでしょうけれど、ワインの良い香りがありますよ、と言うと「でも従業員はじめ皆怪我はありませんでした」「今年秋の北条ヌーボーは多くの方々がいちはやく購入して下さいました」と笑顔が出る。
観光用のワイナリーとしての経営ではなく高品質のワインを70年以上営々として造り続けたプライドの証を見た気がした。
 赤と白を一本ずつ売って頂いた。困難に打かちこれからも美味しいワインを造り続けて欲しいとの願いをこめて!!

ゆうこの山陰便り №153 加筆修正


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