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子どもの洋服選びで親が口出しすると失う「自己決定力」

先日、9歳の娘と一緒に彼女の洋服を買いに、街まで出かけてみることにした。

H&M、C&A、ZARA、Abacrombieなど何軒か店をまわり、彼女は自分の好きな服を見つけては、試着していた。物心ついた時からわかってはいたが、彼女と私の好みはまったく違う。
私が絶対選ばないだろうと思うものを、必ずといっていい確率で彼女は選ぶ。
案の定、「これ可愛い!」と目を輝かせて持ってきたジャケット。
黒と白のスカジャン風…しかも背中にはトラが付いていた。

最初、冗談かと思ったが、その気に入りようは半端じゃない。サイズが170と大きいもの1点しか在庫がなかったために、正直「諦めてもらいたい」気持ちがなかったわけではない。しかし私はグッと堪えた。もしかしたら、他の商品をみている間に気が変わるかもしれないと思ったが、結局そのジャケットよりも気にいるものには出会えず購入した。


家に帰ると、旦那さんもそのジャケットに度肝を抜かせた。陰でこそっと私に聞いてきた。「なんでこんなジャケット買ったの?」と。
「彼女が欲しがったものだし…」と説明しながらも、私は彼の気持ちを誰よりも理解できた。

次の日、彼女は嬉しそうにそのジャケットを着て登校していった。内心「誰かに嫌なことを言われないだろうか」と心配していた私は、学校から戻った娘にみんなからの反応を聞いてみた。
すると嬉しそうにこう答えた。
「みんながすごく羨ましがってた」
「どこで買ったのか聞かれた」
「クラスで一番可愛い女の子だと言われた」

その瞬間に、自分の決断が間違っていなかったことを確信できた。
もし私が彼女に自分の好みを押し付け、好きでもないものを選ばせていたらどうなっていたのだろうか?
グッと我慢した自分に胸をなでおろした。


教育は学校のみで行われるものではない。
毎日の親子の会話、行動、日常の些細なこと、すべてが教育である。
日々の口癖や言動が、気づかないうちに子どもに与えている影響は多大なのだ。

日本にはこんなものがあることを最近知った。

洋服選びのポイントを、子どもが見知らぬ大人にレクチャーしてもらう必要なんてあるのだろうか?
子どもは、自分が好きなものを選べばいいだけだ。

こんな体験サービスを利用する前に、親は自分の価値感を子どもに押し付けないことをすればいい。ただそれだけだと感じる。

子どもがせっかく選んだものでも、
「え~、これが欲しいの?」
「こんなの可愛くないでしょ?」
「こっちのほうがいいんじゃない?」
と先回りして親が言ってしまうことで、子どもの「好き」という気持ちを潰してしまっていないだろうか?

その積み重ねで、『自分が好きなもの=認めてもらえないもの』となり、子どもは自分の気持ちを押し殺してしまうようになる。
それを繰り返していると、結局自分が何を「好き」なのかもわからなくなってしまう
『親が認めてくれそうな選択肢』しかできなくなっていく。
「自己決定」ができる子どもからは、段々と遠のいていくことになる。

日本の教育改革での「アクティブ・ラーニング」に溢れんばかりの期待をするよりも、まずは大人の私たちが、自分たちの身の振り方を見なおしていくほうが先ではないだろうか?

子どもたちは親の所有物ではない。
ひとりの人間なのだ。
その個々の持つ無限の可能性を壊してしまわないように、そして子どもたちが彼らの人生を自分で選択し満喫できるように。

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