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国語が得意な子がやっていること〜日常会話の工夫〜

私が子どもたちの記述解答を見ていてよく思うこと。
「きっとあのことを書きたかったんだろうけど、これだと点数はあげられないなあ…」
書こうとした内容はなんとなく伝わるだけに、こちらも非常にもどかしい気持ちになります。
「記述問題は、本文を読んでいない人にも伝わるように書く」というのは、ほとんどの受験生が一度は聞いたことがあると思います。
しかし、実際にこれができる子は非常に少ないです。
というのも、そもそも「相手に伝える」という感覚に子どもたちはあまりピンと来ていないのではないかな?と思うのです。

子どもたちは、まだまだ視野が狭いです。
そのため、「自分がわかっていることは、他の人も当然わかっている」と思いがちです。
たとえばこんな会話があります。
「先生、今日は●●を予約してるの。楽しみだなあ」
「えっ。●●ってどこ?予約って?」
「××駅の近くのレストラン。家族で行くんだよ」
「ああ、おうちの近くのレストランを家族で予約してるんだね。今日は何か特別なことでもあった?」
「今日は弟の誕生日なの。」
「そうなんだ!じゃあ美味しいものでも食べるのかな?」
「そうだよ。ステーキ食べるの。」
「そうなんだ!それは楽しみだね。」
「うん!すごく楽しみ!」
「いってらっしゃい、楽しんで!」

この子の場合、おそらく家族と同じ感覚で私に話しかけているのでしょう。
「●●」というのは地元では有名なレストランなのかもしれませんが、私は同じ地元の人間ではないのでそれを知りません。そして、いきなり「予約してる」と言われても、その背景を知りませんので「え?あなたと一緒にご飯行く予定があったんだっけ?」なんて勘違いをしてしまうかもしれません。「弟の誕生日」で「ステーキを食べる」という予定ももちろん知りませんので、その子がそんなに興奮している理由も聞いている方には見当がつかないでしょう。
この子は、ここまで想像が及んでいなかったのではないでしょうか?
「今日は弟の誕生日で、家族でレストランに行くんだよ。ステーキを食べるのがすごく楽しみ!」と、自分から伝えてくれたらすぐに伝わったでしょうね。

こういったやり取りは日常会話としてはほほえましいのですが、同じ感覚で国語の解答を書いてしまうとまずいことになります。
こんな感覚で書かれた解答は、主語がなかったり、理由の説明がなかったり…「きっとあのことを書きたかったんだろうけど、これだと点数はあげられないなあ…」となってしまうわけです。

「自分が知っていることを、相手も知っているわけではない」
「相手が知らないことは、説明しないと伝わらない」
これを日常生活の中で感覚として学ぶことができる子は、強いです。
私自身も、幼い頃母からよく言われたものです。
「●●ちゃんって誰なの?説明してくれないとママには分からないよ」
「いきなり何の話?説明してくれないと分からないよ」
やがて私は、「どうすれば相手に伝わるのか」を考えるようになりました。
「初めて同じクラスになった●●ちゃんっていう子がいるんだけど、今日その子と遊んでね…」
「科学クラブの話の続きだけど、次の実験はね…」
こうして、徐々に「相手に伝える」という感覚が分かるようになっていったのです。
そして、塾で国語の記述問題に取り組むときも、「どうすれば相手(=採点者)に伝わるのか」を意識するようにしました。
「まずは誰のことなのか書かないとね」「この気持ちになった理由…あの出来事から説明しないと伝わらないかな?」という具合に。

「相手に伝える」感覚を鍛えるために、今すぐできること。
それは、「その日学校で起きた出来事を、おうちの人に説明する」ことです。
おうちの人は、学校での出来事を見ていたわけではありません。
おうちの人が知っているのはどこまで?知らないことにはどんな説明が必要?毎日の会話から、意識してみましょう。
これを繰り返すことで、記述解答の内容も徐々にブラッシュアップされていくのではないでしょうか。
おうちの方も日々お忙しい中で大変だとは思うのですが、ぜひやってみてください!


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