お仕事のはなし。派遣から正社員へ。

派遣法には"3年ルール"と言われるものが存在し、派遣として同じ就業先で働けるのは最長3年と定められている。4年目以降も引き続き働くには、就業先に直接雇用してもらうか、派遣元と無期限の雇用契約を結ぶか、正攻法ならこのいずれかであろう。(他に裏ワザ的な方法もあるにはあるが割愛する)
私は派遣で図面屋として働いており、2ヶ月後の5月にその3年の期限を迎える。5月からは就業先に正社員として直接雇用して頂ける見込みとなった。
3年ルールの期限が見えて来た今年の初め頃、派遣会社の営業との面談で、引き続きここで働きたい旨を伝えた。派遣会社としては無期限雇用に切り替えるのを当然進めてくる。だが、選択肢の一つとして直接雇用してもらう事は可能なのか?と派遣会社から就業先へ問い合わせてもらった。その時点では正直なところ「絶対に」直接雇用を望んでいたわけではない。私の最優先する希望は形はどうあれ、ここで働き続ける事だった。
そこからまず就業先の担当社員と課長からの意思確認、さらには部長からの説明と再度の意思確認があった。派遣と社員では若干業務内容が変わるのだ。指示を受け実際に作図する立場から、指示をする立場へ、簡単に言うとそういう事だ。そして過去に派遣から直接雇用となった前例がない事、そもそも中途採用も非常に少ない事も聞かされた。
この面談の時点でも、直接雇用を本当に希望するのかは少し迷っていた。
私は働き始めて約20年になるが、これが6つ目の職場だ。その前の5つは正社員だったのだが、リーマンショックによる会社都合退職とか、給与カットを言い渡されたとか、毎日終電帰りのブラックだったとか、ワンマン社長が70歳を超えて先が見えないとか、それぞれの退社にそれなりの理由はあるのだが、数年で転職を繰り返している。
この就業先も、今はとても気に入っているがこの先何かあって辞めたくなってしまうのではないか、そうなったらこの時点で、前例がないという中、既に部長まで巻き込んでいるのにひどい裏切りである。
迷いながらも、担当社員さんのオフレコ的な説得や給与モデルの提示もあり、直接雇用を希望する事、仮にそれが叶わなくても派遣として引き続き就業したい事を伝えた。
完全に迷いが消えたのは、担当社員さんにかけられた言葉だ。「大丈夫、フォローは絶対する。だってもし〇〇さんが失敗してもうダメってなったら、部長とか総務とか社長に猛プッシュしてた俺の責任にもなるやん?」文字にするとただの責任逃れにも読み取れるが、これまでこの人の下で働いてきた上でのこの言葉は、完全なエールとして受け取った。
前例がないという中、部長から総務部さらには社長へ話が行き、派遣会社との調整も色々あり、その色々は割愛するが、直接雇用して頂けることになった。
具体的に話が進んだのは今年の初めだが、実は就業してすぐからタネは撒いていた。担当社員さんには早い段階で3年ルール、派遣会社との無期限契約の事、裏ワザ的な方法もある、と長く雇用してもらうため入れ知恵をしておいた。そして私個人のこと、リーマンショックで解雇されたのは特定派遣と言われる派遣元の正社員として派遣される形だったので要は「派遣切り」であり、それは私にとってトラウマ的になっている事。それでも派遣を選んだ理由。
何より仕事の精度。できる事はやったつもりだ。
とは言え、やはり色々な人に動いて頂いて、信頼を得てこの結果となった。その事は忘れずにいたい。

自分へのお祝いと称して、C管クラリネットをMNGしたのはご愛嬌。

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