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【男性育休の体験談】指示待ちバイトにはならない!~生後4ヶ月から育休を取得して~

先日、カフェで男性同士のこんな会話を聞きました。
「3ヶ月育休取ったんだけど、なにもすることなくて暇だったわ~」

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え?

著者の夫は9ヶ月の育休を取りました。9ヶ月間、2人で馬車馬のごとく動いて子育てをしていたという実感があるので、この言葉は衝撃的でした。

でもこれは家族によって違うのか?

そこで、長期間の育休を取得したパパに、育休中の過ごし方についてインタビューする企画を立てました。

第2弾は、6ヶ月の育休を取得したTさんにお話を伺いました。(第1弾はこちら
Tさんは、お子さんが生まれた直後ではなく、生後4ヶ月から育休を開始しています。なぜ生後4ヶ月から取ったのか、そのメリット、育休中の過ごし方、お金事情まで詳しく聞いています。

ぜひ最後までご覧ください!

Tさん
大手IT企業の技術営業職に7年勤務。第一子(男児)が生後4ヶ月のときから、6ヵ月の育休を取得(2023年8月〜2024年1月)。
妻は里帰り出産をし、生後2ヶ月まで妻の実家のサポートのもと育児をしていた。生後4ヶ月のときに子どもとの同居をスタート。知り合いから子どもの成長は一瞬で変わることを話に聞いており、子どもの成長するところを一緒にみたい、自分も育児を主体的にやっていきたいと思い、育休を取得した。
こだわりは、寝かしつけのときに歌う「きらきら星」をいい声で歌うこと。

自分にしか見せない顔をする。それがたまらなくうれしい

——まず5ヶ月(12月時点)の育休を振り返った、全体的な感想を聞かせてください。

大変なところもたくさんあるんですけど、それ以上に子どもが可愛いです。
大変さが月齢が高くなるにつれて少しずつ変わってきてるんです。寝返りを打てるようになったらなったで、寝返り返りを覚えるまでは窒息の危険があるので側にいないといけません。ハイハイであちこち行けるようになったらなったで、これ食べないかなと心配でいつも目が離せないし。でも、その変化を間近で見れることがうれしいです。

——やっぱりわが子は世界一かわいいですか?

世界一かわいい!普段からずっと関わってるのもあって、他の人の抱っこよりも自分の抱っこで落ち着いてくれるんです。あと、自分にしか見せない顔もあって。外だと真顔でシュッとしているのですが、家に着いたら急に甘えん坊になるんですよ。そういうところも可愛いなと思います。

ーー今いい顔をされましたね!「わが子かわいい!」と伝わってきます。

前例のない長期間育休取得。だからこそ準備は万端に

——Tさんは、お子さんが生まれてすぐではなく、生後4ヶ月のときから育休を取得されていますね。なぜその時期に取得されたのですか?

うちの会社には、配偶者産休休暇という制度があるんです。その制度と有給を使って予定日の約1ヶ月前から休みをもらっていました。
生まれてから生後1ヶ月までは妻が実家に里帰りしたので、私は引継ぎのために仕事に復帰しました。生後2ヶ月目に妻と子どもが自宅に帰ってきて、生後4ヶ月のときに育休に入りました。

2人が自宅に帰ってきた当初、私はまだ仕事をしていたんです。収入面の不安もあり、在宅でリモートワークならば仕事と育児を両立できるかとチャレンジしていました。

しかし、 育児と仕事を両方するのは大変で。生後3ヶ月で子どもが寝なくなる睡眠退行もあって、妻1人では大変な状況だったこともあり、このタイミングだと思って取得しました。

——それで生後4ヶ月から育休を取られたんですね。仕事の調整とか大変ではありませんでした?

もともと、会社にはどこかのタイミングで「育休取りたいです」と希望を出していました。妻が里帰りをしている間に、いつ育休に入ってもいいように仕事の引継ぎはしていたんです。

——あらかじめ準備をしていたんですね。男性が6ヶ月間の育休をとるのは珍しいと思います。会社からなにか言われたことはありますか?

「半年取るんだね」と言われました。周りの人は、だいたい大体2週間から1ヵ月くらいしか育休を取っていなくて。それこそ、長期間育休を取るのは会社でも私が1人目です。
しかし、会社的にも世の中的にも、育休を取っていこうねという風潮があり、理解してもらいました。私ができることは業務への影響を少なくすることなので、育休に入る前に仕事の調整や引継ぎをしっかりしました。

——育休中に転職活動をしたり、資格を取ったりする人が多いと伺います。Tさんはなにか活動していましたか?

他の部署に異動してみようと考えています。うちの会社では、部署異動の社内公募があるんです。興味のある部署の応募があったので手を挙げました。育休中でも応募が可能なんです。

——えっすごい!それは育休中だったから手を挙げられたのですか?

そうです。今、仕事の引き継ぎをしたので、自分の身が軽くなっている状態なんです。部署を異動するタイミングとしても、ちょうどいいなと思いまして。

——育休に入ったことでステップアップの機会に恵まれたのですね。そういうお話を聞かないので、驚きました。

無収入の時期があって不安がつきなかった

——先ほど、収入面の不安もあって仕事と育児の両立のチャレンジをしていたというお話がありました。いざ育休に入ってみて、お金の不安はありましたか?

お金の不安はありました。

育児休業給付金は会社の給与からではなくて、国の保証としてお金がでるようになります。(※2023年11月時点、厚生労働省HP
本当にお金が足りるかなとか、特に、初回に関してはきちんとこの期日に振り込まれるかなと、振り込まれるまで不安がありました。

また、振り込まれるまでタイムラグがあるんです。私の場合、タイムラグは4ヶ月もありました。会社がハローワークに育児休業給付金の申請をしたのが、育休を取得した2ヶ月後だったんです。
妻が産休から育休に切り替えた時期とも重なって、1、2ヶ月間くらい私も妻も無収入の期間がありました。

——4ヶ月も無収入なのはとても不安ですね。どのように対処しましたか?

結局、貯金を切り崩してしのぎました。
子どもが産まれた直後は、子どもにかかる出費がどれだけあるのか正確に把握できなかったんです。なんとなく想像はしていたのですが、 全て正確に計算できているわけでもなくて。「何が追加で必要なんだ。ざっくり15万円で足りるかな。ちょっと待って、家賃も払わなきゃ。痛いな〜」と思いました。
ある程度まとまったお金を手元に用意しておくことが大事です。

途中からでも育児に参加できる

——パートナーさんとしては育児のスケジュールや手法が固定してきたタイミングだと思います。そのなかに自分が役割として入っていくときに、どのように調整されましたか?

もともと、相手の出来上がったやり方に合わせるのが得意なんです。
最初のほうは、状況を見ながら妻がまだやっていない家事をやっていました。子どものお世話は見よう見まねでやり、慣れていないこと、例えば沐浴などは妻に見てもらいながらやり方を覚えていきました。

——自分から積極的に動いていったのですね。

そうです。自分1人でやれそうなところは、どんどんやってみて、わからないところは聞きながらやっていました。だから、「自分はなにをすればいいのか」というのは、あまりなかったです。これで妻から「全然足んねえよ」と思われていたらちょっと笑いますけど(笑)

——パパ側から積極的に動いてくれるのは、ママ側からしたらすごく助かりますよ。自分もまだまだ余裕がないのに、パパにまで指示をしなければならないのはほんと辛いので。

そうですよね。育休をとりたい理由の1つに、「自分が主体的に育児をしたいから」があったんです。だからこそ、自分からどんどん子どもに関わりました。

——素敵な考えですね。Tさんがどんな一日を過ごしているのか、スケジュールを教えてください

朝7時ぐらいに起きて、朝ごはんを準備して、洗濯物をして、その間に妻が子どもに授乳します。
その後は子どもが朝寝をするので、夫婦の自由時間に。10時から11時の間ぐらいにうちの子どもが起きてくるので、離乳食の準備をして食べさせ始め、その後は自分たちのお昼ご飯を準備して食べます。
その後は、出かけるのであれば、すぐ出かけて18時くらいまで外出します。出かけないならば、もう1回寝かしつけてのんびり過ごします。

18時ぐらいになったら、 また離乳食の準備を開始。食べさせて、19時に食べ終わり、お風呂に入れて、20時までに寝かしつけをします。
そのあとは、夫婦でご飯を食べて、各々の時間を過ごします。妻がデザインの勉強を最近しているので、その間に僕はゴロゴロしている感じです。
家事は手が空いた方がやっています。

——育休中だからできるような、こだわりとかありますか?私は夫と一緒にご飯を食べるというこだわりがあったのですが。

離乳食は妻と一緒に食べさせています。楽しい雰囲気で食事してた方が、子どもはきっと食べることも好きになるだろうなと思うので。 
これ美味しいねと、途中でハイタッチなどをしながら離乳食を食べさせています。そのおかげか、子どもは食べることを好きになってくれているみたいです。

パパ同士の交流は難しい

——お知り合いで長期間の育休を取得した方はいらっしゃらなかったんですね。パパさん同士で集まりたいなというご希望はあったんですか?

ありました。子どもが集まるところに行くと、ママ同士は仲良くなっているじゃないですか。それに対してパパ友って全然できないなと思っていて。パパだとどうしても人によって育休の期間が違うので、なかなか難しいのかな。

——確かに!私のパートナーもパパ友はいませんでした。パパ向けのイベントも少ないですしね。

そうなんです。とはいえ、数少ないパパ向けの育児イベントに参加して、2,3人パパ友ができたんです。育児の分担の仕方とか、おもちゃはなにが好き?とかおすすめの遊び場所を聞いています。

——重要な情報ですね。パパ同士の会話が想像できなかったので、具体的な会話例を教えていただけて興味深いです。


いつどこで力になれるかを話し合う

——最後に、これから育休を取得される方に向けて、アドバイスを教えてください。

3つあります。

まず、絶対に育休は長期間取った方がいい。そのときにしか見ることのできない子どもの成長を間近で見ることができます。本当にかわいいですよ。

2つ目は、家事スキルを持っておくことです。パパ友で知り合った人たちが、家事をあまりやってない人たちで、指示待ちバイトみたいになっているのをみました。「パートナーさん大変そうだな」と思ってて。
指示待ちバイト現象は、パパさんがやれることが少ないから起きることだと思うんです。家事も育児もやることは無限にあります。でも、自分がやれないことは手がだせないじゃないですか。
やれないことを減らす努力で、今からできることは家事なんです。育児は生まれてからでないと分かりません。 家事を一通りこなせるようになっておけば、絶対にパートナーは助かります。

3つ目は、パートナーと育休を取るタイミングを話し合うことです。これは私も育休を生後4ヶ月で取ってみて気が付いたことです。妻から「子どもが動き始めたときに育休を取ってくれていて助かった。もし産まれた直後から取っていたら、里帰りもしていたし、あまりやることもなかったかもね」と言われて、「言われてみれば確かにな」と思ったんです。最初の1ヶ月じゃなくて、寝返りし始めた時期や睡眠退行が始まる時期、動くようになる時期に合わせて育休を取り始めてくれたほうが力になれるし、妻もうれしいのではと。これは、これから育休を取る人は絶対に気づきようがないですよね。

もちろん、育休の調整ができるかわからないし、どこで育休を取ってほしいかは人それぞれです。しかし、産まれた直後から育休を取るという先入観がある気がして。それにこだわらなくてもいいのではないでしょうか。パートナーといつから育休を取得するかを話し合う機会が大事だと思います。

——Tさん、貴重な体験談をどうもありがとうございました!

編集後記

インタビューしていて、Tさんの表情から「子どもかわいい!育児楽しい!」と全面に伝わってきてほっこりしました。この記事からそれが伝わるとうれしいです。

また、Tさんが自分から積極的に家事や育児をしている様子がお話を聞いていて分かりました。冒頭の、私がカフェで出会った男性は、育休をとって家にいても、なにをすればいいかわからない状態だったのではと推測します。そのため、3ヶ月の育休を「暇だった」と評したのではないでしょうか。主体的に動けるようになるためには、段取りを理解している必要があります。アドバイスにあったように、まずは家事からできるようにしてみてはいかがでしょうか。

さらに、記事のなかで、「育休を産まれた直後から取ることにこだわらなくてもよい」というお話がありました。このお話を聞いたとき、確かに新しい視点だなと思いました。
私の子どもは、夫が会社に復帰したあとからハイハイやつかまり立ちをして、それまでとは打って変わって目が離せなくなりました。そのときに、夫が育休で在宅しているととても助かります。もちろん、新生児のときは妻が睡眠不足になるという問題もあるので一概には言えません。しかし、体験談を聞いて先を見据えて、育休を取るのもアリだと思います。
参考にしてみてはいかがでしょうか。


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