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降る雪は落ちる前に消え去って

今降りしきる白い雪よ
我が温もりを奪い去れ。

この肉体の檻を砕き壊し
我が魂を解き放て。

涙を失った乾いた瞳に
わずかな湿りを与え賜え。

願い虚しく空に消える雪。
天空を見上げる我が面には

苦悶も哀しみもすでに失せた。

私の涙を嘲笑う
残虐なりし我が神よ。

せめて、この身に死を与え賜え。

ただそれだけの願いすら、
叶わず虚空に消える雪。

背中を切り裂いて血が吹き上がる、
その瞬間に凍てつき凍る。

我が血潮にすら、温もりを
感じることが叶わない。

突き破り現れた紅蓮の翼。

どうだ、紅白、紅白、

めでたい、めでたい

笑えばどうだ。

知っているか、「幸い」なる言葉。

磔にあい、「辛い」者に、
脇から槍を突き通して、
楽にしてやったから、「幸い」だ。

希望と言う字を知っているか。

切り裂かれた布の上、
亡き王を思って見上げる月だ。

絶望ならば、糸に色がつき、
めでたく楽しいと思わないか。


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