裏庭に咲く花は自分のために植えている。
花を植える人がいる。
道行く人も見て喜ぶ場所に鉢を出し、共に鑑賞して喜ぶ人もいる。
しかし、人の見えない場所、少し隠れたところに花を植える人もいる。
それは当たり前だが、自分が見て楽しむために植えている。
ところが、必ずそれを勝手にみて、
「赤じゃなくて、ピンクのほうがこの庭に似合ってますね。」
とか、
「この花植える時期が違うんじゃないですか?5月に植えるか、挿し木にしてたら、もっとたくさん花を付けたと思います。」
とか、植えた本人が満足しているものに、親切心だろうが、余計なことを言ってくる人がいる。
そういう人に見られたくないから裏庭に植えているという事実を考えもせずに。
人は自分だけの世界をささやかに持っている。
自分の家の裏庭に
ハエトリグサを植えようが、ニンニクを植えようが、キュウリの花を咲かせようが、めったに咲かないコンニャクイモを植えて花を期待しようが、
なんならラフレシアを植えようが
その家の人の勝手なのだ。
もちろん、「裏庭にお花あるんですね。ちょっと見せていただけますか?」と言われて断る理由はほとんどない。
ただ、「見るだけにしてくださいね。あと何を見ても何もおっしゃらないでください。」と伝えたい。
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