山ペンギン 31 残業
コンビニにて。
オレは18時までで、イマドと入れ替わりのシフトだったが、一人入る予定だったバイトが来ない。
出勤していない主任に連絡したところ、オレに残業の依頼が来た。
一緒に暮らしている関係からか、あまり同じシフトにはならない。
主任も予定があり、2時間程度、代替出勤に時間がかかるようだ。
バイト君が遅れてでも、来ればそれはそれで良いのだが…。
しばらくは、イマドと2人?でレジ&品出しだ…。
イマドの体型だと、さすがに腹がつかえて、品出しはやりにくいようだ。
もっぱらオレが品出し、イマドがレジ、メイン。
高校生女子の群れ登場。
…うれしいか?と言われれば、正直それどころではない。
どうしても、万○き…とかを考えてしまう。
イヤな性分だ。
だが、彼女たちは
「キャーイマドくん!やっぱり、この時間帯はイマドくんの遭遇率高いわねー。」
ペンギンに夢中だ。
ほっとするやら、微妙にがっかりするやら…だ。一応…。
「ねえねえ、イマドくんて、ゆるキャラにはならないの?」
「そしたら、グッズとかも出来るわよねー。」
ゆるキャラは立候補制ではあるまい。
「こんにちは。」
…出た。女神さま…。
買わないと何も手に入らないのか…
神様なのに…。
「イマドさんが人気なのですね。
推しとか言うのでしょうか。」
推しなんてセリフがアナタの口から出るとは。
学生たち全員が手に手に菓子を持って、イマドのレジに並ぶという状況のなか、他のお客さんはオレが一身に受ける。
「イマドくんって、ラムネとか好きー?」
「兄ちゃん、29番のタバコと、塩ダレの焼き鳥くれや。」
「イマドくん、炭酸だとレモンのほうがいいわよねー。」
「お兄ちゃん…小銭入れから、小さいの取ってくれるかな…。よく見えんのじゃわ…。」
「イマドさんは、他にもお仕事されてるんですよね、ステキ!有能なのですね!」
「お兄ちゃん!30円でこれ、買える?チョコ!」
「オレさん、大丈夫ですの?」
女神さまに心配されるほど、ぐったり感がだだもれだったようだ。
いつの間にか主任が出勤。
「イマド君グッズ…いいわね…」
目が輝いている。
バイト君は連絡ないまま、出勤しなかったが、翌日のオレと入るシフトにはやってきた。
「…実は研究室で眠り込んじゃってて…」
困るが分かる気もした。
「イマドさんの人気…すごいっすよね。」
バイトくんのモチベーションは下がっても、コンビニの売り上げは、
上がってるんだろうな…。
…グッズも夢物語ではないかも知れん…。
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