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続)うちのこにあいたくなったときよむ、ほん「生まれ変わりが早すぎた猫の話」

先代の猫が宇宙に帰ってから半年後、「ペットのおうち」を何気なく見ていたら、近所のお宅で5匹の子猫が生まれたことを知りました。

ピンときた私は、すぐに里親さんに連絡をしました。
そしてその子猫たちを見せてもらいました。
そのときのことです。

5匹の子猫たちがミャーミャーわーわーしている中、1匹の茶トラの子猫だけが、なぜか私を目指してまっしぐらに歩いてきます。生後2ヶ月の小さな小さな体で、ピャーピャー鳴きながら私の体をえっちらおっちら登り始め、ついには肩まで到達。そして小さな小さな頭で私の顔に「すりっ」としてくれました。

その瞬間「これは合図だ」
私は強くそう感じて、この子を我が家にお迎えすることに決めました。

私のkindle著書「うちのこにあいたくなったときよむ、ほん」は、ここで話が終わっています。今日はこの続きを書きたいと思います。


実はこのとき、里親さんはこの子はメスだと思い込んでいました。(体がとても小さかったから)。もちろん私たち夫婦も女の子だと信じ切って「ピノコ」という名前をつけていました。そしてワクチン接種や書類の手続きを終えて、いよいよ家にお迎え・・という直前、里親さんから「実は・・」という話があったのです。

ピノコは他の兄弟が生まれたあと、一人で母猫のおなかの中に1週間もいたこと。動物病院で診てもらったら、心臓に雑音があること(心臓の一部に穴が開いているかもしれない)。猫ヘルペスウイルスに感染していて今も発症していること。そして最後に、実はオスだったこと。

この一連の話を聞いたところで、「聞いてない話多すぎなんですが…」と思ったものの、私たちはすでにこの子だと決めていたので、だからと言って「じゃあやっぱりいりません」となるはずもなく、私たちは本当にいろいろなことを覚悟したうえでピノコをお迎えしました。

その後、レントゲンをとったところ心臓は肥大していて、精密検査が必要だから大きい病院で診てもらった方がいいと言われましたが、まだ小さいし、なんとなく気が進まなくて検査はしませんでした。

心臓への負荷が大きいので麻酔をかけることができない、だから去勢手術もできないと言われました。心臓のお薬をもらって毎日飲ませ、猫ヘルペスが悪化するたびに通院してインターフェロンを打ってもらったり、抗生剤を飲ませたりしました。

そうこうしているうちに、、5年が経ちました。

この5年、なによりも大変だったのは、トイレを覚えるまでに3年かかったこと。去勢をしていないからなのか、1日に10回以上も所かまわずおしっこするので、部屋の掃除で1日が終わる日もありました。カーペットを買っては捨て買っては捨て、最終的にはペットシーツを部屋中にひいて解決。。そしてさらに大きな問題は、発情して大声で鳴き叫ぶことでした。心臓が弱っていても、ヘルペスでも、彼は元気いっぱいな猫でした。

そして結局、今も元気なのです(笑)

生まれてから5年以上、なんだかずーっと覚悟をし続けてきたけれど、いまも毎日、元気に生きているのです。(そう見せているだけかもしれませんが)

今年に入ってから、歯周病が悪化して歯が抜けました。
そして2月、ひさしぶりに病院でレントゲンをとったところ、おなかに水がたまっていて、腸も写真に写らないほど真っ白で、肺も小さくなっていて、「酸素室を用意してください」と言われました。「たぶんもう・・」と先生から言われ、また私たち夫婦は号泣しながらお別れを伝えたりしましたが、

そこからまた2ヶ月が経ち…

なんとまだ元気です!(笑)

ごはんは1日に5回食べ、歯周病はどこへいってしまったのか、カリカリもカリカリと食べるようになり、自分でトイレに行き、毛づくろいをし、時々甘えてお腹に乗ってきたり、もちろん酸素室も使わず(レンタル料金だけが・・)。

たしかに、キャットタワーに登れなくなったとか、できることは少しずつ減ってきてはいるのですが、彼なりに自分で調整しているようです。隣の部屋に行くのも休み休み、調子の悪いときはじっとして、調子がいいときは好きなことをして。一緒に寝たりもします。朝はちゃんと同じ時間に起こしてくれます。

愛らしさの反面、本当にたくさんの苦労はありますが、それもこれも我が家の解釈では、「生まれ変わりの時期がちょっと早すぎたからなんじゃない?」ってことになっています。私が先代の猫に「早く早く、早く生まれ変わってきてね!」と頼んだから急がせてしまったのではないか。だから体が未熟なまま、先代の猫と同じ心臓の病気を持ったまま、地球にきてしまったのではないか。だとしたらごめんね、ありがとうね、って、そんなふうに解釈していたから介護生活も苦にならなかったのかもしれません。(もちろん、時々嫌になることもあったけど)

動物って強いなあと思います。
えらいねえ、すごいねえって、顔を見るたびにほめています。
病気の動物は、体的には弱いかもしれないけれど、魂がきっと最強に強い。

学ぶべきことがたくさんあります。

とりあえずいまは、一緒にいられるだけで幸せ。
この時間を大切にしています。

つづく。



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