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大学教員の読書術〜本の選び方篇

多くの皆さんは少しでも早く,多くの本を読みたいと思われていると思います。今日は読書術についてお話します。しかし,読書そのものではなく,まずは本選びの話,事前の段階のことについて取り上げたいと思います。

世の中たくさんの本があります。印刷・製本に多額のお金と手間がかかっていた時代には、厳選された本しか印刷・出版されませんでしたが、今は違います。毎日大量の新刊本が出ています。さらには紙媒体の書籍のみならず,電子書籍,ウェブペイジの記事,SNSの投稿と,多岐にわたる媒体があります。それらを全部読む必要はありませんし,全部読むことは不可能でしょう。自分にとって必要な本選びが重要です。

なぜ本を読みたいと思っているのでしょう?

まず原点に返って、なぜ本を読みたいと思っているのかを明確にし,目的を明らかにしてください。読書で新しい知識を得たいのか、現在抱えている何かしらの課題の解決をはかるため?

一例として、新しい知識を得ることが目的であるという場合は、何に関する知識か、その知識を何に役立てたいと考えているのか、可能な限り具体化してください。

娯楽として読書するという行為自体に意義がある場合なら構いませんが、今の自分の目的と合致しない本を読む必要はありません。大きなタイムロスになってしまいます。

本選びの方法

では、どうやって自分に必要な本かどうかを判断するのでしょうか。

目の前に本があったら,早速開いて1ページ目から読み進めていってしまっていませんか?

本を開く前にするべきことがあります。

まず,可能な限り筆者がどのような方なのか知ることから始めます。

もし,ある講演会に参加するかどうか考えるとしたら,どんな方がお話されるのだろうかと事前に講師の情報を確認するのではないでしょうか。読書では目の前に著者が現れるわけではないので,ついつい筆者のことを忘れがちになってしまいますが,講演会のときと同じです。

筆者について知る最も簡単な方法は,書籍に書かれている筆者紹介を読むことです。本文を読み始める前に筆者紹介に目を通して下さい。ここには情報が端的にまとまっているはずです。

次にインターネットでもその筆者のことを調べてみましょう。どんな活躍をされている方なのか更に知ることが出来ます。

また、Amazonレビューなども参考に出来ます。誰でも記入できるレビューは玉石混交なので、参考にするには少しコツがいりますが、簡単に言うと複数読み比べることが重要です。複数の方が同じようなことを言及されていれば、それはだいたい合っているんだと思います。

あとは、Amazon等ではその著者の方が他にはどんな本を書かれているのか知ることも出来ます。検索欄に筆者の名前を入れてみると,その方の著作が出てくるはずです。その方がこれまで何冊か書かれてきた中で、どういう位置付けの本なのか。前作の続きなのか、これまで何冊か書かれた中でのまとめ本なのか、はたまた新しいトピックでの執筆なのか。

書店や図書館などにおり,書籍を直接手にすることができる状態なら,まずはまえがきを読むと良いです。筆者の方も力を入れて書いているはずの部分であり,その本がどういった趣旨のものであるのか,簡潔に概要が紹介されているはずです。ここで興味をひかれなかったら,第1章以降を読んでも関心を持てない可能性が大です。最もエッセンスが凝縮されているはずのまえがきより,それ以降の方が面白い可能性は残念ながらほとんどないと言えます。

ただし,目次・章立てを見て,特定の章にだけ関心があるなら,そこだけつまみ読みしてみましょう。筆者の方には少し申し訳ないですが,本を丸々律儀に読む必要はありません。あくまで自分の目的に沿った読み方をすればよいのです。

読みたいものは有料でも読む

kindleにも無料のものがたくさんあります。無料のものを否定する気はありませんし、私も無料のものは大好きです。しかし、読みたいものがあったのに、有料だからと購入を諦めてしまおうとしているなら、ちょっと待って下さい。一冊の本を読むのに数時間はかかるとします。あなたの時間は時給単価にするといくらくらいでしょうか。
数時間×あなたの時給単価、と考えると数千円にはなるでしょう。

はじめに読みたいと思った本を有料だからと諦めた結果、妥協してピンと来ない本を読んで自分が得たいと思っていた事柄が得られなかったとしたら、そちらの方が時間の損失が大きくなってしまいます。あなたの時間は無限ではありません。一般的によく言われることですが、読書は投資です。

追記

色々書きましたが、オフライン書店に行って、フィーリングに合ったもの、そのとき偶然目に飛び込ん出来たものを読むのは、古典的な方法ながら良いです。

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