見出し画像

入ってみたら、奥行きが広かった!『ニジノ絵本屋さんの本』を読んでみた

ニジノ絵本屋さんは、都立大学にある小さな絵本屋さんです。
店内は本当に可愛らしく、まるで雑貨屋さんにでもいるかのようなちょっとメルヘンな気分にさせられます。

お店自体は、そんな素敵な絵本屋さんなのですが、店内を見ながら、ふと疑問がわきました。

『このお店は、これだけで成り立っているのだろうか…?』

最近の出版不況で、書店経営は厳しいものがあるとよく耳にします。現に、私の周りでも、ニジノ絵本屋さんと同じような規模のこじんまりとした小さな絵本屋さんが、お店を閉めざるを得ない事態となったケースがありました。そんな“書店の苦境”を間近で見ていたので、この規模でスタッフを雇える『ニジノ絵本屋さんとは一体…!?』と、お店の裏側に非常に興味を持ったのです。

そんな理由から、半ば衝動的に買ってしまった一冊『ニジノ絵本屋さんの本』(西日本出版社)。早速、読んでみました。

入り口は狭くても、奥行きはとっても広かった!

読んでみてわかったのは、一見「小さな可愛らしい絵本屋さん」だと思っていた絵本屋さんは、実はただの絵本屋さんではなく、

・絵本屋
・出版社(自社レーベル)
・パフォーマー(イベントなどで“絵本ライブ”をやっているそう)

の3つの顔を持つ事業体だったということ。

もともとは、いち「絵本屋さん」からはじまったニジノ絵本屋さんですが、ただ仕入れた本を売るだけでは、それほど儲からないということに早くから気づき、自社レーベルを作ったり、絵本をたくさんの方に知ってもらうためにパフォーマンスをするなど、仕事の幅を広げていったのです。

狭いと思って入ってみたら、まさに、奥行きのある大広間が広がっていた!みたいな、そんな気分。稼げる方法を考えてたどり着いたサイクルが、今の3本柱なんですねー。

フリーランスの「複業」の参考に

この3つの柱を持つ絵本屋さんの事業形態は、個人で事業を展開するフリーランスにも大いに参考になると感じました。

例えば、「ライター」をしている人が、自分の几帳面な性格を生かして、何かの事務局運営的なことを請け負ってもいいし、何か売りたいものがあれば、自分でお店を持っていてもいい。

最近、「複業」という言葉をよく聞きますが、本業、副業みたいな考え方ではなくて、好きなことを全部本業にしていく(複業)。いくつ仕事を持ってもいいじゃん!という考え方です。

実は私自身、「複業」を模索しているひとりであり、そんな「自分会社の運営」「仕事の幅の広げ方」のようなところでも、この本は参考になるんじゃないかと感じました。

時系列だったら、もっとよかった!

値段の割に内容ぎっしり!で、総じてお得感のある本でしたが、ちょっとだけ残念だったのは、章が「時系列」ではなかったことです。「内容別」になっていたため、時代があっちこっち飛ぶんですね。前の章では「2016年」と言っていたと思ったら、次の章はまた時代をさかのぼって「2011年」になっていたりと、読みながら、「あれ?これはいつ頃の話なんだろう?」と思うことが度々ありました。

もっと時系列で、「転機となった出来事」や「苦しかった時期」「ぐいーんと軌道に乗り始めた時期」などが明確にわかる書き方だと、もっと前のめりで読めたのかな?と感じました。

あと、オーナーさんは5年あまり絵本屋と会社員のダブルワークだったそうなのですが、本を読む限り、「マジでこれ、ダブルワークで回してたの!?」と驚くくらいの量をこなされているのです。

どうやって仕事を回していたんだろう?どんな生活をされていたんだろう?と、一週間や一日のスケジュールを知りたいくらい興味を持ちました。もし2冊目が出るのなら、もう少しオーナーさんの私生活に踏み込んだ話をぜひ読んでみたい!

いつも温かいサポートありがとうございます^ ^