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【Vol.6】ペイ・フォワード⑨:有給の罪悪感~24時間戦えますか

先日、何かの投稿記事で、「うちの会社では、有給休暇が明けた翌日に、同僚達一人一人に向けて『昨日はお休みを頂きありがとうございました』とお礼を言わなければならない風習がある」という内容を見てビックリしました。

一瞬、「さすがチームを重んじる日本人!」と思いましたが、でもそんなことを毎回休むたびにやらなきゃいけないのかと思うと、気が重いですよね。毎回、同僚に後ろめたい思いをしてまで休むくらいなら、いっそ年休なんて取らない方がいいか、と思ってしまうかも。

でもそんなことを言っていたら、いつまでたっても、社員それぞれが望むワークライフバランスの達成が難しくなってしまう気がします。

そう、この「ワークライフバランスがなかなかとれない」問題

どうやらこれも、日本人女性が海外に流出する一因となっているようです。

前章に引き続き、「なぜ日本人女性が海外に流出するのか」リストを見ていきましょう。5つ目の理由を見てみると、「ワークライフバランスをとりづらい」となっていますね。

【なぜ日本人女性が海外に流出するのか】
理由① 日本人女性が活躍しにくい
理由② 日本の賃金が低い     
理由③ 多様化を受け入れるハードルが高い
理由④ 英語やその他の言語を学ぶ環境が整っていない
理由⑤ ワークライフバランスをとりづらい
理由⑥ 社会に出てからのワクワク感がない
理由⑦ 子育て世代やママさん世代の声が政治に反映されていない

本章では、理由⑤ ワークライフバランスをとりづらいについて、見ていきましょう。



ワークライフバランス問題

まずは、厚生労働省の「有給(年次有給休暇)」の定義を見てみましょう。

Q.年次有給休暇とはどのような制度ですか。

A.年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復ゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。

出典厚生労働省 労働基準情報FAQ(よくある質問)

そう、有給とは、給料が減額されず心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇なのです。私達が心身に問題なく働くために、とても重要な休暇なんですね。

アメリカでは、社員の権利として有給は取得して当然のものですが、日本では有給はありがたく頂戴するもの、という理解なのでしょうか。

とても日本らしく、奥ゆかしくて素晴らしいなと思う反面、皆が一生懸命仕事しているのに自分だけ休んで申し訳ないとか、有給を取ったがゆえに同僚の皆さんの業務を増やしてしまい気まずい、といった思いも垣間見える気がします。


有給取得にまつわる罪悪感

有給取得にまつわる、何とも言えない罪悪感。
どうやら世界的に見ても、日本は罪悪感を感じてしまうタイプのようです。

世界の大手総合旅行ブランドの一つ、エクスペディア社が2024年に発表した、有給休暇に関する調査を見てみましょう。(世界11地域11,580名を対象に実施)

日本で働く人の53%が「仕事をカバーしてくれる同僚に罪悪感がある」と回答。世界で3番目に多い割合となりました。

図表⑥-8:有給休暇の国際比較調査(出典:エクスペディア、2024年7月1日)



この罪悪感のせいか、調査対象地域11か国のうち、日本人の有給取得率は最下位とのこと。

日本人、もっと休んでもいいんじゃない?

図表⑥-9:有給休暇の取得状況(出典:エクスペディア、2024年6月20日)


それにしても、香港のデータが面白いですね。有給取得の罪悪感は1位だけど、それでもガッツリ有給を取っていて、なんと有給取得率も1位です。
「有給取ってホントごめんね~、でももらえるものは、ちゃんともらっておきま~す」って感じなんでしょうか。しかも、支給されている有給日数をオーバーしてまで休んでる(笑)。ある意味、とても潔い?

さて、日本へと話を戻しましょう。
日本は心置きなく有給が取れない、残念な国なの?

どうやらそこまで悲観的にならなくても大丈夫そう。
風は少しずつ、いい方向へと吹いています。

以前は「上司が有休取得に協力的でないため、有給をとりづらい」という声もあったそうですが、その傾向はだんだんと改善中。2024年7月のデータを見てみると、61%が「上司が休暇取得に協力的である」と回答しています。

図表⑥-10:上司が休暇取得に協力的と回答した人の割合
(出典:エクスペディア、2024年7月1日)

過去のデータ推移を見てみると、この割合は2020年の65%には及ばないものの、2022年からは3%上昇しました。2019年4月に有給休暇の取得が義務化されたため、上司や職場の協力体制も、徐々に改善されているようです。


24時間戦えますか

一昔前では、リゲインという栄養ドリンクのTVコマーシャルの歌にもあったように「24時間戦えますか、ビジネスマーン」という姿勢が当り前でした。

もし今、同じ勤務体系を社員に求めたら、時間外労働のブラック企業だと一蹴されて終わりでしょうね…。

【1989年~1991年】24時間戦えますか・リゲインCMダイジェスト



でも、こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、確かに時代錯誤のコマーシャルではあるけど、この頃って、日本人が自信と誇りを持って世界と戦ってた時代だったんだな~、とも思います。

もちろん24時間なんて働けませんが、この歌を聞くと、なんかちょっとワクワクするような、やってやるぞ!って気になるような。って、やっぱり私も昭和の人間なんだな。

私の父は70代後半なのですが、以前「もし若返ったら何をしたい?」と聞いたら、「もっと仕事がしたい」と言っていました。

え、もっと仕事がしたい?そんな人いるの?とビックリしましたが、彼曰く、自身が30代だった頃は営業職で、パンフレットやらサンプル品などを詰め込んだ重いカバンを抱えて飛び込み営業をしたり、シンガポール支店の新規立上げプロジェクトをリーダーとして任されたりと、様々なお仕事をする機会を与えられたそうです。

「うわー、面倒くさい、やりたくないな」と取るか、それとも「よし、やってやるか」と取るか。おそらく私の父は後者だったのでしょう。

シンガポール支社の新規立上げプロジェクトの時は、まだエアコンも設置されていない建屋をリースして、汗だくになって働いたそうです。大変だったけど、とても楽しかった。時が戻せるなら、あの頃の情熱を持ってまた働きたい。彼はそう言っています。

リゲイン世代って、そんな感じなんでしょうね。

えーと、話を元に戻しましょう。

ワークライフバランス問題でしたね。
日本に限らず、海外でも同様に注目を浴びているトピックです。

正直なところ、アメリカでも、年配社員の方々から「今の若者は休む権利ばかり主張してけしからん」といった声が出ることも少なくありません。

もっと正直に言うと、私でさえも「権利ばかり主張してないで、まずはやるべき仕事をやってよ」と思ってしまう時があります。(ちょ、昭和気質…)

しかしながら、世の中の流れは確実に変わっています。

一人一人がより自分らしく、健康で文化的な、充実した日々を送るのを希望するのは当然だと私も思います。老若男女、それぞれ一人一人が自分の人生を楽しむ権利があるのですから。

今後は、私を含めた古巣の人間達がマインドを変え、ワークライフバランスを尊重した社会を共創していこうと試みていくことが重要ですね。


どうせなら、ワクワク毎日を過ごすグロ女になりたい!でも、どうやって?
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