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通信制大学の卒業率は驚くほど低い

どのぐらい知られていることかわかりませんが、通信制大学の卒業率は一般にとても低いです。

一方で、入学の際に書類提出だけで判断される通信制大学は高校を卒業しているなどの要件を満たしている限り、ほぼほぼ間違いなく入学は許可されます。

入り口広く、出口は狭い。

2010年代後半から通信制の美大でデザインを学んでいる私ですが、1990年前半はまったく別の通信制の大学の法学部で学んでいました。
1990年前半ですから、インターネットはまだ一般に普及しておらず、スクーリングの申込みから課題提出まですべて郵送。私が学んでいた大学については、課題はすべて小論文。ちなみにこの大学は単位認定の試験もすべて小論文。

論文のテーマや判例を調べるのにもちろんインターネットなど使えません。Amazonすらありませんから、本を入手するのも一苦労でした。
同級生とのやり取りもSNSはないですから、年賀状や電話という時代です。
子育てやら仕事が重なり何度も休学と復学を繰り返し、卒業しました。
ちなみに当時のその大学の卒業率は、5-7%だったようです。

時代を経て、オンラインでのスクーリングや調べ物のラクさ学びやすさ、そしてこういったブログで他の学生の学びの様子などが見えるようになりましたが、私が元々通っていた大学も、数年前に確認したところ15%ぐらいまで上がったようですが、飛躍的に便利になっても大した伸びとは言えません。

現在学んでいる美大も入学当時の質問したところ、はっきりと明言したくないようでしたが、20%以下のような回答でした。

今週から今年卒業の決まった生徒の卒業制作がWebで見られるように公開されました。私の所属する学科では20名弱が卒業するようです。
ちなみにスクーリング時は、私が参加するエリアではだいたい60名程度は参加しています。もう片方のエリアでも同じぐらいの受講者人数もしくはそれ以上いるはずですし、公表している入学者数はもっと多いです。

スキマ時間にオンラインで勉強できても、課題提出がネットになっても、同級生とのやり取りがSNSでできても、通信制大学の卒業率が上がらないのは、通学部に比較して圧倒的に自己制御力が要求されるからだと思います。

加えて、大体の人は大学以外に仕事をしていたり、家事や育児、介護をしたりと何らかの活動を並行しておこなっているというのもあります。

先に言及した法学部の場合は、圧倒的に通信生のほうが勉強量が必要でした。この大学の通学部は偏差値は高いのですが、卒業論文の提出義務がありません。
通信学部だけ卒業論文の提出義務があるのは、本当に本人が勉強してるかが見えないからのようで、最後に論文に基づく最終面談が教授とあり、それをパスして始めて卒業となります。
単位習得試験も、通学部は穴埋めなどもあるようですが、通信学部では一切出ませんでした(一般教養科目には一部ありましたが…ドイツ語など…)

つまり入学前の勉強は圧倒的に通学生のほうが大変ですが、入学後は通教生のほうが大変なのです。

現在の美大は、通学生と通信生の学ぶ内容にどのぐらい差があるかはよくわかりませんが、どちらにしても、入学は通信生のほうが易しく、卒業するのは通学生のほうが易しいという構造になっているのでないかなと思っています。

通信制大学で学位修得(大卒資格)だけを目指すのであれば、とにかく情報収集をして最短ルートを行くのがベストのようです。
実際こういう方は何人かいます。とくに若い方で就職活動に学位を活かしたいという方は、がっちり日々のルーティンに大学の学習を組み込み、手を広げすぎずにやっていくのがベストなようです。

せっかくなので広く学びたいというタイプの方も多いですが、これだと卒業は遠のきます。
私は典型的にこのタイプですが、最初から「雨垂れ石を穿つ」をモットーにやっています。

中退してしまう方というのは、恐らく最短ルート派と雨垂れ派の間の人たちです。(そしてそういう人たちが一番多い)
学位も取りたいがあまりガツガツ忙しく進めたくはない、でも卒業はある程度のところでしたい‥スクーリング全部終わっちゃったら、レポート課題とか自分一人で進めなくちゃいけない課題になり、ペース作れなかった〜というような感じではと想像しています。

スポーツクラブと一緒で、こういう会員さん(学生)が通信制大学にとっては一番のお客さんだったりするんだろうなぁ、きっと‥。