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チェンナイ観光 l DakshinaChitra ダクシナチトラ Heritage Museum

8月末にチェンナイの南側にあるダクシナチトラに行った。
ダクシナチトラはチェンナイ版江戸東京たてもの園である。

南インド各地の古い家屋を敷地内に移設していい感じに並べ、公園+資料館をつくっている。インドの伝統を学んでる気分に浸りながらゆっくりできる憩いの場である。
少し遊具もあり小さい子供が遊んでいたりもする。インドだけど外で動き回りたいお年頃にもいいかもしれない。


ちなみに東京都小金井市にある江戸たてもの園は、建築好きにはたまらない。日本にいる方は是非行ってみてほしい。
おすすめは前川國男邸。
あそこに住みたいので、お金が貯まったら購入しようと思っている。


この日は昼過ぎに家を出て、ダクシナチトラの向かいにある マドゥライ・マナム Madurai manam でランチを食べた。


近くに私のお気に入りのサンギータ(ちょっと高級なファミレスチェーン店)もあるのだが、土日は相当混み合い、13時を過ぎるともれなくインド人と密着相席だ。
こちらの Madurai manam もなかなか味がよく、サンギータほどは混んでいないのでたまに利用する。ローカル食堂よりは割高だが、清潔で快適だ。

ベジミールズ150ルピー(最近はローカル食堂の60-80ルピーのミールズに慣れてきたのですごく高く感じる)


ダクシナチトラは大きな駐車場の奥に入り口があり、受付で入場料を支払う。


入場料は150ルピー。
ちなみにこのとき2人で300ルピーだったのだが、500ルピー札で支払ったところお釣りがなかったらしく、帰る時までには払うからあとで寄ってね、と言われる。
インドでは、お釣りが用意されてないことが多い。取りに行ってくるわーと待たされることもある。

逆にお釣りないから要らないと言われたこともあった。
車で料金所を通ったときに、料金70ルピーのところ手持ちに500ルピー札しかなかった。すまんと言って出したが、細かいお金ないなら受け取らないと言われ無料で通れた。めんどくさかったんだろう。申し訳なかった。


ここでは入場チケットというのはもらえず、レシートがチケット代わり。入る前にうっかりくしゃっとして捨てそうになる。
捨てそうになったチケット(レシート)を入場のお兄さんに見せたときに、200ルピーが用意できたらしく、ここでお釣りが返ってきた。
こういうところ、なんだかわちゃわちゃしているが、意外としっかり意思疎通できているんだな、というのが感想である。失礼な言い方だが、インド人は私が考えていたほどいい加減ではないし、働き者であると常々思う。


さて、入場すると緑豊かな公園が広がっている。入った時間が炎天下の14時ですごく暑かったのだが、敷地内は木陰になっていて日差しが避けられ、風が吹くと気持ちがいい。湿気があるため、緑と土の香りがむわっと感じられるのも心地よい。

木漏れ日、意外と涼しい。
そこまで期待していなかった分、爽やかな空気で感動した。



チェンナイはタミルナードゥ州というところにある。
ダクシナチトラはミルナードゥ州だけでなく、アンドラプラデシュ州、カルナータカ州、ケララ州の、南インド4州の文化を集めて展示している。

南インドの州(地球の歩き方南インドより引用)


敷地内図。細かく見る気にはならないのでなんとなく州ごとに分かれてるのねとだけ記憶する。



オブジェ? ご、ゴミ箱、、?



一応効率よく回るための順路が設定されており、タミルナードゥ州の大きな資料館からスタートする。


ここの建築物はホームページに詳しく説明が載っているので、興味がある方は是非。写真もきれいで見応えがある。

資料館になっているのは、ナトゥコッタイ・チェッティア(Nattukottai Chettiars)という商人コミュニティの先祖が住んでいた建物だそうだ。

ヒンドゥー教の神話の絵が飾ってある。
中庭に光が射している。
どの国も資料館の作りは一緒だなあと思う。
染めものの展示。すごく細かい手作業。
こういうのわかりやすくてありがたい。歴史ではあまり南インドまで詳しくは学ばなかった気がする。
これも永久保存。


熱心に見てる若者が多い。


チェンナイでローカルに使われている言語はタミル語で、冗談かと思うようなぐるぐるの文字を使っているのだが、昔はものすごくシンプルだったようだ。
ぐるぐるとにょろりを組み合わせて書くタミル語文字は、規則を知るとわりと覚えやすい。だが書くのに時間がかかるし、日本語より長くなるので(だいたい外国語はほとんどそうだが)外国人がタミル語の読み書きでコミュニケーション取るのは大変だと思う。

なんでこうなった。



いったんタミルナードゥ州を抜けて、ケララ州へ。ケララ州はインドの左下にあり、古くから教育水準が高く治安の良い州として有名である。


沖縄の島を思わせる雰囲気。


ヒンドゥー教徒の家屋が、ケララ州の南と北の代表として2つ置かれている。

南ケララ州の家屋は、ネール族の農家のものだそうだ。主に木材(ジャックフルーツ材やパルミラ材)が建築材料として使われている。

濃い木材を使用した家屋は日本に通じるものがある。
窓が大きくて風通しがよい。




もう一つのヒンドゥー教徒の2階建ての住宅はメノン家のもの。ケララ州の中部から北部にかけての20世紀初頭の中流階級によく見られる様式だそうだ。

ケララ州北部の住宅は小部屋が多いのが特徴で、共同家族の中でも夫婦のプライバシーが保たれている。当時の典型的なヒンドゥー教家庭は、比較的小さな家でも3世代から4世代が同じ家に住む大家族だったそうだ。

細やかな絵が飾ってあった。
真ん中は天井が抜けて光が入るようになっている。
アーユルヴェーダっぽい部屋がある。


薬の調合などもしていたのかもしれない。



ケララ州は、人口の 18% がキリスト教徒である。インド全体でキリスト教徒は 2.3% と言われており、比較するとはるかに多い。
特徴的なシリアン・クリスチャン・ハウスがあり、家の入り口が穀物庫に直接つながっている。この家では、穀物庫の前で祈りが行われていたらしい(ドアの上に小さな十字架があることで確認できるそうだ)
以前には見られなかったリビングルーム、独立したダイニングルーム、キッチンが追加されており、コミュニティの西洋化と、家族で客をもてなすという社会的傾向の表れであると言われている。

シリアン・クリスチャンハウス


シリアン・クリスチャンのことはこの記事で書いています。



順路にそって、橋を渡り再びタミルナードゥ州に戻る。

橋の向こうに並んでいるのは、タミルナードゥ州南部の農村、アンブール村から移築されたバラモン教の家だそうだ。

ほとんどの場合、共通の壁でつながっており、幅が狭く、非常に長い傾向がある。中庭はなく、奥にオープンスペースがあることが多い。

日本の長屋のよう
室内は幅が狭めで奥に長い。



その隣の大きな建物内は広々としていて、宗教画が飾ってある。とくにキリスト教の祭壇画が並ぶ白壁の空間が眩しかった。


こちらはヒンドゥー教のお祭りで使う神輿のようなもの。映像が大音量の音声とともに流れていた。



順路に沿って進んでいると、途中で学生さんたちが群がって騒いでいるところがあった。
覗いてみると、ろくろを回して器を作っていた。陶芸体験ができるようだ。

スタッフに教えられながらひとりひとり作る体験ができる。
楽しそう。なんでもおかしく笑っていた修学旅行思い出す。


彼女たちが作ったものは脇に干してあったが、奥で小さい焼き物も売っている。


タミルナードゥ州の最後、少し高くなっている丘の上に、白い動物の像と小さな祠があった。
Map では Village Ayyanar Shrine と記載されている。アイヤナルは南インドとスリランカで特に崇められているヒンドゥー教の神だそうだ。

馬?像?
周りの像に比べ、内部に祀られているのはすごく小さい神様の像だった。



タミルナードゥ州を抜けたところ、敷地内のちょうど真ん中に広場があり、バザールが行われている。
ここはアーティストがそれぞれ自分の作ったものを直接売れるシステムになっているようで、ちらっと覗くとすごい勢いで作品の紹介をしてくれる。
目がギラギラしていて作品に熱意がこもっているし、何よりクオリティーがいいと感じたので、象の石像と折りたたみ式の小さな絵などを購入した。


カラフルな雑貨などが売っている。
布やパッチワークなども手染め・手作りで時間がかかってそうなものばかり。
石細工や絵もたくさん並んでいた。観光地や街中に出ている露天よりクオリティーが高く、綺麗にならんでいて購買意欲がかき立てられる。


いくつか買い物をしたあと、カルナータカ州へ。
まず大きな黄色い家が目に入る。商人のムハマドさんがカルナータカ州チクマガルール地区に建てたもので、カルナータカ州のイスラム教の遺産を象徴しているそうだ。
チクマガルールは 1700 年代後半にアラブの商人がコーヒーを持ち込んだという話もあり、コーヒーの名産地として知られる。


 コロニアル様式と当時のイスラム教の壮大なマナーハウスを融合させて作った建物らしい。



黄色い建物の隣には、石作りの建物が集落のように集まっている。織物職人の家屋だそうだ。

タミルナードゥ州とケララ州の木造ベースの家屋とはだいぶ雰囲気が異なる。



そのまま歩くと右側にアンドラプレデシュ州のエリアがある。白い壁にブルーの扉が映えるこちらは織物職人の家。



丹念に織られた織物作品が展示されている。
布類が干してあり、当時の様子が再現されているのだろう。


正直途中から飽きてきてこの辺りはあまり記憶にない。
タミルナードゥとケララに比べると他2州は家屋数が少ないので写真もあまり残っていなかったのだが、カルナータカ州とアンドラプラデシュ州は農業よりも商業や織物業がさかんだったのかなという気がする。




最後に一番奥まで歩くと美術館があった。

赤煉瓦の新しめの建物が美術館。

ちなみにこちらの美術館は Varija Gallery で、もう一つ、入り口入ってすぐ右側にも Kadambari Gallery という美術館がある。どちらも企画展で月替わりで入る作品が変わるようで、なかなか面白い。値段が書いてあって買えるものもある。

コンテンポラリーアートが多め。
インパスト、厚塗りベタベタ。構図がちょっとずれた絵が並んでいるのオシャレだと思う。
激しすぎない抽象画は購入できる作品も。5000-30000ルピーくらいだったと思う。



だいぶしっかり観終わった充実感があったが、せっかくなのでもう一つの美術館にも寄った。


入口近くの掲示板には美術館の企画展など、いろいろなイベントのスケジュールが貼ってある。ホームページでも見られるので、チェックしておくと陶芸やったり伝統舞踏が観れたりする。


入り口近くの方の美術館。


白基調の小洒落た洋館風。
こじんまりとした綺麗な絵が並んでいた。


外に大きめのウォールアート
鳥のオブジェ


さらに奥では出し物の練習をしていた。伝統のダンスのようだった。



屋外で過ごすことができて、なかなかリフレッシュできた。

このダクシナチトラは休日でもそこまで混み合っておらず、公園としても過ごしやすいのでおすすめの場所だ。



今回はバザールで気に入った作品があったのでいくつか購入した。全て自宅に飾ったら、殺風景な家がだんだんインド風になってきた。

引っ掻いた部分に炭とインクを染み込ませる技法で書いている。
象の中に象がいっぱい。


シルクスクリーン。赤のなかのブルーが気に入って購入した。


石で作られた象。周りにいる子象がかわいい。


ちょっとわかりにくいが、象の中に象がいる。これは小さい象を中にいれたわけではなく、一個の石から掘り進めているので、大変時間がかかると言っていた。
もうちょっと高価なものだと、象の中の象の中にさらに象があるのもあった。


お香立てがちょうど欲しかった。四角くてアジアっぽい雰囲気が良い。


バザールでアーティストが作っているものは絵でも石像でも、象の中に象がいる作品が多かった。
ガネーシャの中にガネーシャがいるとか。
インドではモチーフとして象が相当好まれているようだ。

何か飾るものやお土産が欲しい場合はここをおすすめしたい。いわゆる観光地という所で探すよりいいものが見つかると思う。
頑張って交渉すればディスカウントもしてもらえる。だがプライドの高いアーティストが相手だと難渋するかもしれない。









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