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なぜ涸沢に数百ものテントが集まるのか

登山好きなら、
一度は登りたい『紅葉時期の涸沢』。

人は多いし、テント場は取り合いだし、
ハイカーにとって
行きたくない条件のほうが揃っているのに
何故か毎年数百を越えるテントが、
涸沢カールに集結する。

人生で一度は行きたい憧れの場所。

その理由を体感すべく
10月初旬に、私は涸沢へ向かった。

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北アルプスなら玄関口である上高地から涸沢までは、5〜6時間の道のり。

朝からタクシー乗り場の大行列を経て
6:20頃に上高地を出発した。


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経由地・徳沢を経て、さらに登っていく。

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横尾を過ぎると、いよいよ登り道が始まる。

視界良好。
天気は文句なし。

『あぁ、きれい!』以外の言葉が見つからない。

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すれ違う人たちが多いのも、涸沢登山の特色だろうか。「こんにちは」と次々と挨拶を交わしていく。普段の自分よりも、少し社交的になった気分。

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11:20頃 涸沢カールに到着した。

既に沢山のテントが集結していた。
ゴツゴツした岩場にさっそくテントを張る。

ワンポールテントなため、
ペグが地面に刺さるポイントが見つからず
不安定で何度も崩れてしまった。

それでも負けずとテントを立てる。

苦戦している私を見かねて、仲間が手伝ってくれた。

仲間の助けを借りながら、
満足いくように今日の宿が立った頃には
既に13時を過ぎていた。

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苦戦しすぎた。笑
お腹はぺこぺこ。
涸沢に着いた時はアイスでも食べようかと思っていたが、もうアイスどころではなく、気分はおでん一色になっていた。すっかり冷え込んできていた。

おでんと豚汁でほっと一息。体を温めた。


お腹を満たし、夜になるのを待つ。

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18時を過ぎると、お待ちかね。テントの"ランプショー"が始まった。これも涸沢名物のひとつ。意図した訳ではなく、自然と数百ものテントが集まるから見れる風景だ。これも見たかった。これだけ綺麗だと、テント場が混雑していることに対して、文句は出てこない。

この中にマイホームがあると思うと、思わず胸を張ってしまう。頑張って立てた甲斐があったかな。

なんとこの夜は1000張りものテントが集まっていたそうだ。


キラキラ光るテントを眺めていると、だんだん夜空に星がキラキラし始めて、天の川が見えてきた。

天体ショーのほうが遥かに綺麗だった。
(写真は友人が撮影したものを借りた。)

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夜中、風速10mくらいの風がヒュウヒュウ吹いた。テントはバサバサ音を立てているが、大丈夫そう。やるやんマイホーム。

朝4時を過ぎ、テントの中から真っ暗闇を覗くと、北穂高の大きな影。うわぁ、っと思わず声が漏れる。

どっしりと、そこにあるだけで満たされる安心感。ふふふ、と不思議と顔が綻んでしまう。

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夜が明けて、涸沢カールが一気に華やいだ。

モルゲンロートの赤い色が薄く変わるまで、無心で眺め続けていた。


***

何故涸沢に人が集まるのか。

ピークを踏むことなく、ただ涸沢に泊まり、次の日には下山するテントが多くある。

その理由はそれぞれの人の中にあるだろうし、私に全ての人の気持ちを汲み取ることはできないが、『おいしいところを一気に味わえる贅沢な場所』だからという理由は、一理あるのではないだろうか。

涸沢の紅葉見ずして、穂高を語ることなかれ

このような謳い文句があることに、腹落ちしてしまう。


この美しい紅葉を見てしまったなら‥。

この美しいモルゲンロートを見てしまったなら‥。

もう、涸沢の虜だ。


何度でも見たくなるような、体感したくなるような景色がある。

何度見ても、ため息を出すことしか出来ない景色がある。

コロコロ変わる表情や、
たった一瞬の、一時の景色に魅せられて

ハイカーである私たちは、不思議なくらいに何度でも会いに行くのだ。

𓂃 𓇠 𓂅 𓈒𓏸𓐍 𓇢 𓆸 𓍯 ☄︎

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徳沢でシメのアイスをしっかり堪能♡


▼無添加行動食リスト、作りました◎


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