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続けられることが“好きなこと”になっただけ

最近、大学生の方とお話しすることが重なり、その度に
「好きなことをしたい。そのためにはどうしたらよいか?」
と聞かれることが多い。

そういうことを言われる背景は、私が8月に転職したからだ。


ちょっとだけ私の話

これまでの私の話を簡単に。
(と思ったら長くなったので、自分語りを読みたくない方は次の章へ)
大学卒業後に新卒で劇団四季に入りました。
入社理由はもちろんミュージカルが好きだったから。
「新卒で劇団四季です。」というと「えぇ!すごいー!」とよく言ってもらえますが、これは本当に時の運でした。

私の新卒就活はボロボロで4年の7月くらいまで就活をしていました。
当時のYouTube広告だった『好きなことで生きていく』にほだされて、私も好きなことで生きていたい!と思い、大手の広告代理店や大手の興業会社ばかり受け、手駒がなくなった5月。
そこからはエントリーを受けつけている会社へとにかくエントリーシートを提出し、企業研究や志望理由もままならないまま受験。お祈りされるを繰り返していました。
ちょっとした就活鬱になりつつ、なんとか人材系の会社の内定を手に入れました。
内定式も出て、あぁ〜私はここで働くんだなと思いつつ、劇団四季の採用HPを毎週見ていました。
ずっと、新卒採用情報は公開されないまま…。

4年の11月に採用情報が公開。今年も採用をやりますと。
もう内定式出ちゃったし…。私は内定もらった会社に行くって決めたし…。
とかとか考えていましたが
まぁ、受からないだろうから記念受験として受けよう!と決めて、エントリー。
あれよあれよと選考が進み、結果内定をもらえました。内定が出たのは4年の12月。

結局、元々内定をもらっていた人材系の会社には誠心誠意謝罪をして、劇団四季に入社をしました。

入社してみると、
・大学院に行くつもりだったから、劇団四季しか受けなかった
・就職するつもりはなかった

という同期ばかり。そりゃあ、4年の11月だったらそうだよね。

私が劇団四季というファーストキャリアを歩めたのは本当に偶然で、当時代表が変わったばかりで社内体制が整っておらず、採用が後ろ倒しになっていなければ、他社と同様に就活猛者たちと戦うことになり、たぶんご縁はなかったと思います。

劇団四季には1年半在籍していましたが、そこで
好きなことで生きていく、厳しさを知りました。
かなりのハードワークな一方、お給料はかなり厳しかったです。
一人暮らしの私には生活を成り立たせるのに精一杯。
2年目は部署異動で接客部門にいたため、将来のキャリアの不安も大きくなっていました。60歳になっても劇場に立っているのだろうか?

ミュージカルが好きだと思っていたけど、私はミュージカルを観るのが好きだったのでは?
ミュージカルを観る時間もお金もなく、ミュージカルが好きなのかも分からなくなってきました。
なんのために働いているんだろう?好きだったはずの劇場で働いているのに、劇場に立つことが億劫になっている自分がいました。

転職を決意しました。
私はミュージカルを観ることが好きなのだと気づき、いつでも好きなミュージカルを観に行けるように収入を安定させようと。
劇団四季の中にいて、良いものをもっと外に届けるスキルを身につけたいと思い、マーケティング関連の会社を中心に受け、結果、マーケティングリサーチ会社へ入社。

そこから約8年弱マーケティングリサーチ会社に勤めて、ある程度マーケティングスキルも身についたと思い、再度エンタメ業界に戻ることを決意。
そして、8月からご縁がありエンタメ会社で働いています。

いつもはかいつまんで、
劇団四季を辞めた後悔から再度エンタメ業界に戻る決意をし、今はそこで働いています
なんて話すと
好きなことを実現しててすごいなんて言ってもらえるわけです。
(長々と書いた上記も嘘ではないですが、全てを書いているわけではないです…。)

ただ思い続けて点を打って繋げただけ

冒頭の大学生の質問に戻り、こうやって振り返ると
ただミュージカルが好きだと思い続けて、
お金がなくても劇場に足を運び
マーケティングという使えそうなスキルの点を打ち
それを繋げただけなんです。

未来を考えることはせず、今できることを粛々とやり
ミュージカルが好きだと思い、言い続けて
結果こうなっているだけ、というのが私の肌感です。
(将来から逆算ができていたら、新卒採用でボロボロの結果にならなかったはず。)

そんな中でもすごく大切なのは
・思い続けること
・言い続けること
・やり続けること

だなと。
これらをしていると、気づいたら自分でも他の人からも“好きなこと”と認知されるようになっていく。

好きなことは誰かが作ってくれるものではない。
続けていたら気づいたらそれが好きになってるし、周りからもそれが好きなんだねって言われるようになっているだけ。

私のこれまでもマーケティングリサーチ会社で働くというちょっと好きから離れた鍛錬の期間もあった。
そんな中で鑑賞者として好きは続けてきた。自分が舞台に立ってみるというチャレンジもしてみた。
私の今の仕事もはたから見れば好きなことを仕事にしていると思われるけど、やっている仕事が純度100%の好きで満たされているわけではない。

まだまだ純度100%の好きで満たされるには鍛錬の時期だと思っている。

副業先の社長と1on1をしていたときに、
好きを仕事にするためには、結局、諦めないこと・腐らないことが大切
という話になった。
本当にそうで、諦めずに続けることが好きを支えていくなと。

もしかすると純度100%の好きで満たされて働くなんてことはできないかもしれない。けど、好きの割合を極力100%に近づけながら働くことはできるかもと思っている。
夢を見ながら、理想の状態になるための努力は怠りなくないと日々思って働いている。

好きを仕事にしているのは、煌びやかに見えるかも知れないけど、それをやり続ける、選び続けることをしている結果だということも知ってほしい。
その選択の背景には葛藤もあったし、捨てている選択もある。たくさん悩んだ上で覚悟を決めて選び続けている。

なんだか今の自分が苦しいみたいな書き方になっているけど、今は今の自分に納得も満足もしているし、覚悟もした上でこの選択を最高に楽しんでやるし、めちゃくちゃいい結果を社会に残したいという気持ち。
だから、今は自分にわくわくできている。はちゃめちゃに失敗しても、それはそれでよかったかな〜って思えるくらいには楽観的。

好きなことを見つけるとか、好きなことを仕事にするとかは
続けると決めることが何よりも大切だから、誰かに授けられたり、決められることでもない。

自分が思い、やり続けられることが好きになっていくだけだから、“私の好きなこと”という妄想にとらわれないで日々を生きてほしい。
胸を張って言えなくても、心の中で思い続けることも好きの出発点だと思うから、そういう気持ちは大切に育ててほしい。いつか花開いて、胸を張って人に好きなこととして言えることになっているはずだから。

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