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スタジオバジルをモデルさんにプレゼントしたエピソード

長く専属モデル的に、私の作品創りを手伝ってくれたモデルさん。

文句は何も言わず、いや、本当に怒った顔を見たことはほとんどない。
怒ったとしても一瞬、不貞腐れた表情を見せる程度。ほんの一瞬。それを見逃したら、もう淡々としているひと。
マネージャーのオヤジギャグにクスクス笑い、私よりもアシスタントのSくんと仲良く遊んでいて(休憩時間)、私はただ、彼女を綺麗に撮る場所を捜して歩いた。この撮影は動画が残っていない。マネージャーがいつも回しているがいなかったのかもれしない。代わりに、スタイリストやヘアメイク、スタジオのスタッフがいたからか、そちらに任せてどこか別の仕事に行ったのかも。
前の撮影が廃墟だったのだけど、予想以上の『廃墟』笑
蚊がたくさんいて、床は抜けそうで、埃はもはや土のレベルの工場。男たちはジーンズなのに、彼女はミニスカートや水着やコスプレで蚊の標的になった。

それがこの撮影。画質は悪いけどね。まあ、普通の女の子なら、一瞬で「帰ります」だよ。だけど、この撮影で、僕と彼女は一番、仲良く撮影した記憶がある。笑ってはいけないシーンで「里中さんが先に笑ったでしょ」とか、珍しく衣装の相談を二人でコソコソしていて、まあ、それは僕が「これはヤバい場所に連れてきてしまった。なんとかご機嫌をとらないと」って焦ってコミュニケーションを取ったんだよね。
それから、「次は奇麗なスタジオに連れて行くよ」と、そう言うしかないって顔で、僕は彼女に頭を下げたような記憶がある。
それが、『スタジオバジル』。芸能人、ご用達の超豪華スタジオ。
どこのブランドのかは覚えてないが、衣装がドレスもあるしね。ちゃんと、見学ロケハンを一人でしてあった。
いつも、リラックスさせてポーズも撮らせない撮影をする男だから、彼女がちょっと緊張気味かな。

ゆう子「動画は良い画質に戻せないけど、フィルム写真のデジタル化はすごいですね。何度も言うけど、先生、マニュアルフォーカスの方がピントが正確じゃないですか」
山宮「それは、カメラがでかいやつだから、ネットに載せるのに画質を下げてもそう見えるんだよ」
ゆう子「画質を下げないと載らない?」
山宮「当たり前だよ。ポスターとか作るためのカメラで撮ってたんだよ。わざと解像度を下げないと…。それでもこんなに綺麗」
ゆう子「だから高画質プリントを販売しますってここでやってるんですね。ところで先生、作家さんですよね。皆、そう思ってます。早く新刊出せって」
山宮「そうだよ」
ゆう子「動画のアシスタントとの会話、意味が分かりません」
山宮「もう少し、明るくしたかったみたいだね。だけどフィルムが400だったから、じゃあ、いいのかってオチ」
ゆう子「はあ…? 彼女に触ってますよね。今ならセクハラです」
山宮「女性スタイリストがいなかったからだし、そんなことを言うひとじゃないよ。手を繋いで山道を登ったこともあるよ」
ゆう子「今ならセクハラですよ」
山宮「うん。だったら、その子たちは山道を転んでけがでもしてればいいんだよ。俺には関係がない。AEDを付けるのに、女性の服を脱がしたらいけないとか…。こんな狂った世の中に興味がない。目の前の出来事で判断する」
ゆう子「目の前…」
山宮「目の前で何が起きているか。それで、女子にどう対処するか」
ゆう子「(笑)」
山宮「なんだよ」
ゆう子「友哉さんだ。…ゆう子、目の前の真実だ。目の前の真実をよく見るんだ。友哉さんの口癖」
山宮「そうか。あいつはそれをコツコツやって、未来に繋げていくんだよ」
ゆう子「そうだね」



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普段は自己啓発をやっていますが、小説、写真が死ぬほど好きです。サポートしていただいたら、どんどん撮影でき、書けます。また、イラストなどの絵も好きなので、表紙に使うクリエイターの方も積極的にサポートしていきます。よろしくお願いします。