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フードバンクに関する海外研究①

今回からはフードバンクに関する海外研究についてみていきます。

フードバンクの定義は以下のサイトを参照ください。
「全国フードバンク推進協議会」のサイトを引用します。

現在、ゼミ活動の一環で「食品回収会」と「食品配布会」を実施しております。NPO法人POPOLO様のご支援を賜って、何とか開催できております!

今後、活動について適宜アップしていけたらと思います。

An et al. (2019)のレビュー

ゼミ活動の先駆けとして、今回からフードバンクに関する海外研究を数本レビューしていきたいと思います。

なお、日本の研究に焦点を当てないのは、フードバンクに関して海外の知見をこの機会に知っておきたいから。

An et al.(2019)は米国における食料配給所(Food Pantries)を基盤とした介入の有効性に関するエビデンスについてのシステマティックレビューを行った研究です。


食料不安(Food insecurity)に関する米国の現状

・食料不安とは…手頃な価格で栄養価の高い食料を十分な量を確実に入手できないことである
・米国世帯の8分の1以上に影響を与え、その中でも連邦貧困レベル以下の所得の世帯の割合が最も高くなっている
・食糧不安は食生活の質の低下や疾病リスクの上昇と関連している
米国のフードバンクは通常、大量かつ多様な食品を保管する倉庫として運営され、エンドユーザーに直接無料でサービスを提供する食糧配給所と呼ばれる小規模な最前線の機関が配布している
・米国のフードバンクとフードパントリーは、年間4650万人以上の困っているアメリカ人に無料で食料品を配布している
・米国では、食料配給所の利用者のうち、食料不足の割合が50~84%と推定されている
・食料配給所は、補助栄養支援プログラム(SNAP)の給付を補うために利用されることが多い
・食料配給所は、食糧不安のリスクが高いアメリカ人のニーズに対応する上で、重要な役割を果たしている。

米国のフードバンクの仕組みがわかりますね。
年間4650万人以上の困っている人に食料品を配布している点には驚きます…その規模の凄いことやら…

研究目的について

米国の食料不安の現状やフードバンクの仕組みを理解したところで…論文の目的について整理してみましょう。

・食料配給所は非常に脆弱な顧客集団の食事と健康状態を改善するための追加サービスを提供できる自然な環境および中心的な場所として機能する可能性がある
・食料配給所に関するこれまでの先行研究レビューは、提供される食品の栄養価、サービスの種類と質、および顧客の特性を評価する研究に主に焦点が当てられている
・本研究の目的は米国における食料配給所ベースの介入の有効性に関するエビデンスをシステマティックにレビューする

システマティックレビューを行う…ということは、同課題に関してこれまで異なるタイプの証拠が得られている可能性があります。

もちろん個々の研究の証拠も重要なのですが、例えば政策策定者などは個々の研究の証拠以上にある程度統合された証拠に関心を有する可能性があります。

システマティックレビュー、あるいはメタアナリシスは、それを可能にする方法の1つです。

次回はシステマティックレビューの証拠についてみていきます。

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