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大津市フリースクール助成への道 第1回「6月議会答弁を聞いてひっくり返る」

はじめに

大津市教育委員会が、なぜかフリースクールなど不登校課題を抱えるこどもを支援する市内の民間団体への公的支援を避けているのは、まあいじめ事件から大津市教育行政が抱える様々な事情を考えると仕方ないかなと、少しあきらめモードでいましたが、さすがに県のフリースクール利用家庭への助成になる調査事業に参加しないとの報道で「そこまでフリースクールを支援したくないんかい!」とびっくりして(大津市長も東近江市長のようにフリースクールは国家の根幹を崩すと思っているのかな?)、大津市6月議会の答弁に注目していました。が、大津市教育長がキモチいいほど「フリースクールは現状では支援しない」と言い切ってくださったので、これはさすがに不登校で苦しい思いをしている大津市のこどもたちの最善の利益を考えたら、ソーシャルワーカーとして黙っていられないと思ってソーシャルアクション起こすことにしました。

とりあえず記録の意味と社会啓発の意味をこめて、個人のnoteでコラムとして連載していくこととします(とはいえ大津市がフリースクール助成を決めてはやく終わりたい)。まず第一回は、大津市がはっきりと意思表示をした6月大津市議会の答弁についてソーシャルワーカーとして分析していき、今後のソーシャルアクションの方針を伝えていきます。

6月5日の報道

まずは今回の議会質問のきっかけとなったと思われる新聞報道と滋賀県の不登校支援とフリースクール支援について紹介していきます。

朝日新聞デジタルより

教育行政に近い立場なので、噂には聞いていましたが、新聞報道で滋賀県のフリースクール利用助成となる調査事業に大津市が参加しないと報道されて、ついに大津市も本音を出したなと思いました。しかも市の担当者「調査協力費も県が直接支払う制度にすべき」って・・・東近江市長が発言していた「国が直接支援すべき。自治体に負担させるな」と発言と酷似していて、あの時の東近江市長の発言に心の中で拍手していたのだろうと感じています。とにかく市長さんがかわってから、徹底して「市の意思を市民に見せない」やり方市長市長への反動もあったと思いますが、正直やりにくさがありました。市長二期目も決まってそろそろ本音を出してきたのかもしれません。さて、目の前に6月議会がせまっていたので、さすがにこれは議会質問出るだろうと思っていたら、共産党の柏木議員から質問となっていたので、ホームページに質問と大津市の答弁の動画がアップされるのを首を長くして待っていました。

大津市議会でのびっくり答弁

さて、簡単に質問と答弁をまとめるとこのような内容でした。

質問①「大津市のフリースクールの位置づけは?」
答弁①「フリースクール等民間施設を利用する児童生徒にとって自分の興味ある内容や活動を選択したり、安心して過ごせたりする居場所の一つになっていると認識」

質問②「公的支援である大津市教育支援センターにも民間のフリースクールにもつながっていない不登校の子への支援について」
答弁②「学校・大津市教育支援センターにつながることが支援のはじまり。つながれない場合は市の福祉部局と連携する体制がある」

質問③「滋賀県のフリースクール利用助成であるアンケート調査事業に参加しない理由は?」
答弁③「すでに大津市ではフリースクール実態調査はすんでいる。現在、フリースクールを利用しているこどもの実態把握をしていて、その結果を踏まえて参加を見極める」

質問④⑤「フリースクールを直接支援することへの見解」
答弁④⑤「公的な教育資源のその制度、体制の充実を図っているところ。現在支援を考えてない」

と、はっきりとフリースクールを支援しないと言い切りました。まあ100歩譲って、フリースクールを支援しないのを大津市が決めるのはいいのですが、市の支援に乗らない不登校の子を大津市が行政として見捨てようとしていることはソーシャルワーカーとして見過ごすことは出来ません。

びっくり答弁の見逃せないポイント

ポイントになるのは質問②への答弁②ですが、実は質問に答えていません。こちらが今年度滋賀県が出している「しがの学びと居場所の保障プラン」の支援イメージです。

しがの学びと居場所の保障プランより

現状、大津市では概算ですが「A:在籍校の校内ウイング(別室)など支援しているこどもが約200人」「B:フリースクール等民間施設を活用するこどもが約70人」「C:大津市教育支援センターに通うこどもが80人」「D:支援につながっていないこどもが約200人」で、Dについて大津市はどうするか質問をしているのに「AとCがあるので、Dの親子がAとCにつながること」という謎の回答。いや学校現場や大津市教育支援センターが何も仕事してないなら、その回答でいいですが、学校も教育支援センターが頑張っても(というか学校も大津市教育支援センターもキャパオーバーなの知らないのかな?)、BやD状態の不登校のこどもたちがいることに全然向き合えてないですよね。

さらにつながれない場合は市の福祉部局と連携とのことですが、つまり不登校の家庭は福祉でみてもらうというのはいささか乱暴な手法で(実際に仕方ないのですが、不登校でこどもの姿を誰も確認出来ないときは、学校はこどもの安全のために虐待通告をおこないます)、そのように福祉を使うことで、よけいに学校とこどもや保護者の心が離れることは実際に大津市内でたくさん起こっています。そこをつなぐスクールソーシャルワーカーがいればいいのですが、大津市はスクールソーシャルワーカー二名の枠が三ヶ月たっても空席のままです(さすがに関西の他の自治体が時給5000円から3500円の中、時給1500円程度では、応募ないって)。

このような状況だからこそ県がBを充実させるためにはじめているのが明確な「フリースクール利用家庭の調査事業」に協力しない理由は、もう思想的なことか滋賀県とケンカしているとしか考えられません。マスコミ報道での理由も愕然としましたが、さすがに議会答弁でそれはまずいと思ったのか「すでに大津市ではフリースクールの実態調査を終えています」っていうにもびっくり回答。えっと・・・いつ、実態調査したのでしょうか? 大津市内でフリースクールなどを利用しているこどもが50人から70人とのことですが、昨年度うちのこどもソーシャルワークセンターが関わっている大津市の不登校のこども(小中学生)の数は8名なので、実に大津市内の10%は引き受けていることになりますが・・・実態調査受けた記憶がありません。もしかしたら、あいさつをかねて視察に来たのが調査報告だったら、あまりにお粗末調査すぎてビックリします(とはいえ答弁①の薄い内容を考えるとあながちあいさつで話を聞いたことが大津市内の実態調査になっている可能性も否定出来ないのが怖い)。

と突っ込みポイントがありまくりなので、一つずつ整理していくこととします。まずは大津市フリースクール実態調査とは何なのか? 大津市に調査結果の開示と大津市内に15カ所ほどあると思われるフリースクールに実態調査がどのように行われたのかリサーチかけてみます。ということで今回はここまで。次回の「大津市フリースクール実態調査の実態調査」をお楽しみに。

参考資料:大津市議会(2024年6月13日)の文字おこし

【柏木議員】

次の質問に移ります。フリースクール支援について分割質問方式で質問いたします。全国でも大津市でも不登校児童生徒の人数は増え続け、2022年度大津市は450人から2023年度は暫定値で574人となっています。子どもの権利条約を日本政府が批准して今年で30年ですが、日本の教育は国連の子どもの権利委員会からの勧告でも過度に競争的な学校システムが限度を超えて学校環境をストレスフルなものにしているとの認識が示されています。不登校児童生徒の増加は度重なる国連の指摘に政府が対応できていないその表れではないでしょうか。2022年の統計で不登校児童生徒が30万人に迫り文部科学省はやっと対応に乗り出しましたが、予算の裏付けはなく実効性は薄いものです。しかし長年不登校の子どもたちを支えてこられたフリースクールの役割に政治の目が向けられてきたのは前進の一歩だと思います。大津市におけるフリースクール支援を求め質問いたします。

一点目、大津市はフリースクールの調査を行っていると聞き及んでいますが、その調査を踏まえ不登校児童生徒支援におけるフリースクールの位置づけをどう考えておられるのかをお聞きします。

二点目、ウイング(大津市教育支援ルーム)は利用体験も含めて85人。(大津市内)フリースクール利用は50人から70人とお聞きをしました。個々の学校が関わられているのはもちろんですが、ウイングにもフリースクールにもつながっていない子どもたちを市はどのように支援しようとしているのかお聞きします。

三点目、滋賀県は今年度フリースクールに通う児童生徒と保護者にアンケート調査を行いながら5000円の協力金を支払うという制度を行うことになりました。学校にいけない自分が悪いと自分を責めているであろう子どもにアンケートを行い代わりに5000円を払うというのはなんと不十分な支援かと思います。しかし何も行ってこなかった県が少しでも動いたのはわずかな一歩だと考えます。大津市はこの制度への参加を未定とされています。その理由をお聞かせください。

四点目、県内ではすでにフリースクールを利用している子どもの利用料支援を行っている市町が増えています。今回の(県の)協力金への参加を予定されていないのは県内では大津市だけです。不登校児童生徒の多数が家庭以外の居場所がない状況です。フリースクールなど多様な子どもたちの居場所を作り、子どもたちが利用できる支援が必要です。県の協力金への参加を第一歩としてフリースクール利用料補助を行うべきです。見解を伺います。近江八幡市では不登校児童生徒が利用するフリースクールなどの民間施設ガイドラインをつくり、認定したフリースクールへの直接支援を行っています。

五点目、大津市教育支援センターは不登校支援として「校内ウイングの指導」「アウトリーチ型の支援」「教育支援ルームの管理運営指導」「フリースクールとの連携」をするとされています。連携を図っていくならフリースクールが持続できるように直接支援が必要です。見解を伺います。

【島崎教育長】
ご質問にお答えいたします。

一点目のフリースクール支援についてのうち一つ目の不登校児童生徒支援におけるフリースクールの位置付けについてでありますが、フリースクール等民間施設を利用する児童生徒にとって自分の興味ある内容や活動を選択したり、安心して過ごせたりする居場所の一つになっていると認識しております。

二点目のウイングにもフリースクールにもつながっていない子どもたちを市はどう支援しようとしているのかについてでありますが、教育委員会といたしましては、まずは不登校児童生徒やその保護者が学校だけでなく教育支援センターなどの本市の教育資源とつながることが支援の始まりであると認識しております。今年度はすべての小学校に子どもにとって居心地のよい空間となるように校内ウイングを設置いたしました。また登校に不安を感じている子どもには、今年度から拡充した中学校ウイング瀬田を含め、市内の北部、中部、南部に小中それぞれ3か所設置している教育支援ルームウイングを紹介するなどしております。それでも外に出る不安が強い子どもに対しては、公認心理士と教育支援委員による家庭訪問や家の近くの公園で会話するなどのアウトリーチ型支援を行っております。これらの取り組みを通して保護者や家庭に対して更なる手立てが必要な場合は市の福祉部局と連携し、適切に支援できる体制を整えているところです。

三点目のフリースクールに通う児童生徒と保護者を対象にしたアンケート調査への参加および、四点目のフリースクール利用料補助についての展開でありますが、本市独自の取り組みとしてすでにフリースクールを訪問し、その活動実態等を調査しているところであり、またさらなる調査として、フリースクールを利用している生徒児童の実態についてより詳細な把握を進めているところであることから県のアンケート調査への参加は未定と回答しております。フリースクール利用料補助の必要性については市の教育資源の活用状況や調査結果などを踏まえ見極めてまいります。

五点目のフリースクールが持続できるように直接支援が必要であることへの見解でありますが、本市におきましては先ほど述べました校内ウイングと子どもの状況に応じた不登校支援に加えて教育支援センターにおきましては、電話相談はもとより公認心理士と教育支援員による親子並行面談、保護者の会や教育相談講演会の開催など子どもだけでなく保護者の悩みに寄り添う支援ができる体制を整えておりますことから、フリースクール等民間施設への直接補助を行うことは考えておりません。子どもの社会的自立を支えるためのフリースクール等民間施設との連携の在り方についてはさらに検討を進めてまいります。以上を私からの答弁といたします。

【柏木議員】(口語でわかりにくい箇所を修正加筆あり)
再問をいたします。四点目と五点目のフリースクールの保護者支援とフリースクールへの直接支援についてお聞きをします。

三問目の県の事業への参加に対してもお聞きをします。5月に行われた滋賀県のオンライン説明会に大津市は参加されなかったとお聞きしたのですが、これはもう参加しないということなのかどうかをお聞きします。

保護者支援に対してなんですが、お金の面で週1回フリースクールを利用している方は月に1万円以上の経済的な負担があるということもお聞きしています。教育支援センターも頑張っていただいていると思うのですが、そこも合わないというところでフリースクールを選んでいらっしゃる方もおられるともんですが、フリースクール利用料が月数万円の負担となると若いご家庭の負担となっていきます。教育長がフリースクールは安心の居場所となっているという見解もなさっている中、保護者(にとってもフリースクールは)必要だと思うのですが再度の見解をお願いします。

5点目ですが県のアンケート協力金に参加されない。フリースクールへの支援もされないということで大津市はどうなのだと、関係者の中では非常に残念というか怒りの声もあるのです。連携はするのだけれども公的なところからは何もない。運営されている方はクラウドファンディングをしたり、中には運営者がアルバイトをしたりというところで本当に苦労されている中で、目の前でおぼれている子どもたちを一人でも助けたいという一心で運営をなさっている中、市が直接フリースクールを支援するといった考えはないのか再度伺いたいと思います。

【教育長】
再度のご質問についてお答えいたします。結論的には初問の答弁とは変わりませんけど、まず一点目の件へのアンケートへの参加はするかしないのか問うことで1点目で答弁申し上げました通り、県が目的として(フリースクール)の実態をつかもうとしているアンケート調査はすでに大津市では独自に済ませております。そして今さらなる子どもの実態の調査を進めているところであり、その結果を見極めて参加、不参加は決定をいたしますので、そういう意味で未定と現在はそう回答いたしております。

それからフリースクールへの支援ですけれども、もちろんフリースクールを利用されているそのご家庭が経済的な負担を支払っておられるそのことは理解しておられますが、本市としましては先ほども申しましたが、利用するこどもさんが例えばなぜ校内ウイングに足が向かないのかあるいは学校に抵抗があるなら市内小中3か所ずつ設定している教育支援ルームにウイングならどうなのか、あるいはアウトリーチ型支援ではどうなのか、それでもフリースクールなのかという子どもの実態を調べているところであり、その結果やはりフリースクールしかダメなんだというお子さんに対しましては何らかの支援というのを今後見極めていかねばならないと考えております。お子さんだけでなく不登校支援には経済的な面だけではなく保護者の悩みや困り感によりそうことが不登校解決の支援と考えておりますので本市としましては教育支援センターを一つのキーステーションとしながら様々な方法で不登校支援の充実を図っているところでございます。

従いまして2つ目の質問さらに、3つ目の質問については、現時点で利用者への補助は結果を踏まえて見極めてまいるという先ほどの答弁になりますし、フリースクール等民間施設への直接補助、支援につきましては現在公的な教育資源のその制度、体制の充実を図っているところから現在検討を考えておりません。以上私からの答弁といたします。

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