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子どものことは子どもに聞いて①

幸重忠孝@ソーシャルワーカー

このコラムは、ソーシャルワーカーのゆっきーこと幸重のSNSなどで反響の多かった記事をまとめたものです。
(今回のコラムは2022.3.29のFacebookのつぶやきから)

子どもの貧困調査の二の舞か?

こどもソーシャルワークセンターの理事会を終えて、遅い夜ご飯を食べながら、ネットニュースを見るとびっくりするニュースが。滋賀県内でもヤングケアラーの調査をしているという話は前から聞いていたのですが、ニュースの内容からは、あまりに残念すぎる調査方法と調査結果に正直びっくりしています。マスコミの報道なので、詳しい調査方法と調査内容が出ていないため、安易な批判はするべきではないのですが、こうやって滋賀県として正式に行った調査で数字が出ることの影響を考えてないのかと思うと残念でなりません。


昨年のちょうどこの時期に国が行った調査結果が報告され、中学生の5,7%がヤングケアラーであるということで大きな注目を受けて、様々な調査と施策が全国で急激に進んでいきました。滋賀県の小中高校生の数は約16万2000人。国の調査結果から考えると滋賀県では9200人近くのヤングケアラーがいる計算になります(それでも自分がヤングケアラーと自覚してない子どもを含めるともっといるはずです)。ところが今回の調査結果の見出しは「滋賀県内のヤングケアラーは少なくとも590人」。国の調査結果とえらい開きがあります。なぜこんなことになるのでしょうか。理由は簡単です。国の調査は子どもたち本人に質問していますが、滋賀県の今回の調査は学校等の大人に聞いた結果をまとめているからです。しかも驚くのは半数近い学校が「本校にヤングケアラーはいない」と回答しているわけです。ソーシャルワーカーとして地域や学校現場でヤングケアラーの子どもたちや若者と関わっている身からすると、そんなありえない調査結果で「滋賀県のヤングケアラーの実態調査」とか言わないで欲しいのが正直な気持ちです。

今から数年前の滋賀県内で行われた子どもの貧困対策の実態調査でも、今回と同じような現象が起きました。子どもの貧困対策を考える基礎調査となる子どもの貧困の実態を各保育所・幼稚園、小中学校にアンケートをとったところ、実に半数の学校園が「うちの学校園には貧困家庭の子どもはいない」と回答していました。そしてこのような調査結果が影響したのか、滋賀県内の子どもの貧困対策は他の自治体と比べて大きな遅れをとりました。


昨日、同じヤングケアラーの実態調査についてのニュースで愛知県の調査結果が発表されましたが、そちらの見出しは「6人に1人がヤングケアラー」。それはそうですよね、愛知県は国の調査と同じで子どもたちに直接たずねて調査しているわけですからね。

「子どものことを子どもに聞く」という当たり前のことをどうして滋賀県は軽視するのかさっぱりわかりません。どちらにせよこの調査結果をもとにこれから県内のヤングケアラーの対策が考えられていくのかと考えるとそれだけで頭が痛いです。調査ですら子ども(当事者)不在なので、対策もまた大人の「やってますアピール」にならないことを願うのみです。


昨年夏に滋賀県大津市で「妹の世話つらかった」と話すヤングケアラーの兄が妹を暴行死に追いやってしまった悲しい事件があったにも関わらず、あれから半年が過ぎて、もうこの悲しい事件を忘れてしまったかのようにヤングケアラーについて本気になれない行政と実態調査には本当にガッカリです。


まあマスコミ報道を見て思わず長文つぶやきしてしまいましたが、調査結果の詳細を見てきちんと意見したいと思います。

NHKニュース(2022年3月29日)
「県内のヤングケアラーは少なくとも590人 県社会福祉協議会」
日常的に家族の世話などをしている子どもたち、いわゆる「ヤングケアラー」が県内に少なくとも590人いることが、滋賀県社会福祉協議会の調査で明らかになりました。
病気や障害のある家族の介護や年下のきょうだいの世話などをしている子どもたちは「ヤングケアラー」と呼ばれていますが、県内の実態はこれまでわかっていませんでした。
調査は、県社会福祉協議会が去年10月から12月にかけて県内すべての公立の小中高校の教員にアンケートをとる形で行われ、全体の8割余りにあたる331校から回答が得られました。
それによりますと、全体の半数近く(49.8%)が「ヤングケアラーがいる」と答え、人数はあわせて590人にのぼることがわかりました。
ケアをしていた対象は「きょうだい」が6割近く(59.4%)と最も多く、次いで「母親」が4割近く(38.9%)となっていました。
また、学校生活の状況については「精神的な不安定さがある(32.3%)」と「学校を休みがちである(31.8%)」がそれぞれ3割を超えていました。
県社会福祉協議会の谷口郁美 事務局長は、ヤングケアラーの問題は、大人が気づけなかったり、本人の自覚がなかったりして表面化せず、必要な支援につながってこなかったと分析したうえで、今後、研修会を開いて啓発を強化するとともに、子どもたちが安心できる居場所作りにも取り組んでいきたいとしています。

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幸重忠孝@ソーシャルワーカー
福祉や学校でしんどさを抱える子どもたちと常に現場で関わり続けているソーシャルワーカーです。noteでは個人として社会発信を行っていこうと考えています。NPO法人こどもソーシャルワークセンター理事長/スクールソーシャルワーカー/龍谷大学非常勤講師