深夜、もう一回だけ探しに行く

今日の日記

わたしが格ゲーのキャラだとしたら、「孤独ゲージ」と「今日充実してるわゲージ」がありまして、「孤独ゲージ」かMAXで「今日充実してるわゲージ」が0の時に発動する特殊技が『一人で渋谷に行く』です。

多分、今日なんもしてねぇからどこか行かなきゃ、と人寂しさが悪魔合体すると「できるだけ人の多いところに行かなきゃ」になるんでしょう。

これは自戒のために書いておきますが、孤独な時に一人で都会に行くのは自傷行為です。

渋谷や新宿に行くことが多いんですが、いつも着いた瞬間に分かります。
ここは寂しさを埋める場所じゃない。既に群れた人達が来る場所なんです。

孤独が際立ちまくる。
いたたまれないって神様がこの状況を見てできた言葉なんだと思う。
人の多いところを選んでやってきたのに人混みを避けてふらふら、結局最後はいつもよく分からないベンチで蟻が移動するのを見つめるだけの木偶に成り下がる。

おかげで渋谷で人の少ないところを見つけるのだけは得意になりました。PARCOの屋上、オススメです。

たま〜に私と同じことやっちゃってる人見るんですよね。あ、このひと「一人」じゃなくて「独り」なんだろうなっていう。
あとホームレスの方々が都会に集まる気持ちもわかる。単純に空き缶が集めやすいとかだけじゃないと思う。やっぱ人の気配を感じていたいんですよきっと。

でもなんか行っちゃうのは、ごく稀にとてもいい気分になるからです。
気温、湿度、風速、シャッフルで流れてくる曲、行き交う人の年齢や服装、表情、ほか目に見えない沢山の要素がパチっとはまる時があって、なんというか、多分使い方違うんですけど「集合的無意識」に入れてもらえる感覚というか、「独り」じゃなくなる時があります。

そういう時だけ世界中みんな幸せになればいいのにって思います。

わたしが都知事だったらホコ天みたいに孤独な人しか入れない区域を作りますけどね。
もしくはかわいい犬を自慢したい人とかわいい犬を愛でたい人のマッチングアプリを作りますけどね。

孤独によりヘンになってきたので終わります。


今日の感想:笹井宏之「えーえんとくちから」

2009年に26歳の若さで亡くなった夭折の歌人、笹井宏之さんの歌集。

歌集を初めて読んだんですが、正直読むのが疲れました。
なぜなら"良すぎる"ので。

短い一文からイメージされる景色が綺麗すぎて広すぎる。
心に持ってるカメラの画質が良すぎるというか、レンズが広角すぎるというか。
「透明感がある」と評される理由がよくわかります。

それでいて、次の歌を見る度に全然違う世界にすっ飛ばされるので、脳が追いつかなくなります。

歌集なので、小説とかと比べると文字数は全然少ないんですけど、込められたエネルギーはヘタな小説の比じゃないというか、文字通り命懸けで作っていたんだろうなと思います。

短歌の好きなのって、読み飛ばさなくていい所なんですよね。
小説だと本筋に関わっているところとそうじゃないところがあって、全部を100%の力で読み取ってるといつまで経っても進まないので、どうしてもさらっと読み進めないといけない場面が出てくるんですけど、短歌はそこに全部が詰まってるので、ゆっくり味わう事が出来る。

シンプルにワードの面白さを楽しんだり、広がる景色や発想にしみじみ感心したり、伝えたいメッセージを読み取ったり、ちゃんとしゃぶり尽くしてから次に行くことができるので、満足感がすごい。

あと、短歌ってもっと自由でいいんだなって思いました。
めっちゃ引用したいけど、できないから読んで欲しいです。
よかったです。

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