日本人は冷たい?
「日本人は冷たい」
まだ日本に住んでいた頃、20年ぐらい前に在日ペルー人から言われた言葉です。当時私はボランティアで在日外国人の生活支援を手伝っていました。日系ブラジル人や日系ペルー人の家族が多い地域で、主にその家族の方に市役所、学校、病院に付き添って、ごく簡単な通訳をしたりしていました。
そこで知り合ったペルー人女性が上記の言葉をポツリと言ったのです。正直、ちょっと嫌な気持ちになりました。ボランティアグループの方々は親切で、みんな一生懸命在日外国人の方々のことを考えて支援していましたし、私も仕事の合間の時間にできる限りのことをしていたつもりです。それで彼女に理由を聞いてみました。
「子供を連れて公園にいても、誰も話しかけてくれない。みんな知らん顔をする。」
彼女は日系ペルー人の妻として日本に住んでいた人で、日系人ではなく肌が少し黒い方でした。しかも日本語はゼロ。私は「日本語が話せないし、誰も声をかけてこないのは当然でしょ」とその時は思いました。
知らない人に声をかけるかどうか
海外在住15年(ブラジル14年とスペイン1年)と20か国を旅行した経験から考えてみると、日本以外の多くの国なら、公園で母子がぽつんといる状況では、きっと誰かが声をかけると思います。
でも、それで「日本人は皆冷たい」と言うのは早計だと思います。「知らない人に声をかける習慣があまりない」という日本人の習慣が、違う文化圏の人からは冷たいと思われる原因なのだと思います。
他の国では
ブラジルでは、初対面の人でもすぐ打ち解ける才能がある人が多いです。15分話すと、その人の人生と対人関係がほとんど分かります。
マンションのエレベーターでも沈黙はあまりなく、雑談が始まったり、知らない人でも乗り降りの際の挨拶は必ずあります。
都市にもよると思いますが、東南アジアやアメリカでも似たところがあるのではないでしょうか。
一時帰国の際に思うこと
2022年に久々に一時帰国したときのこと。浦島状態というのもあり、私は日本の習慣を少し忘れてしまっていました。
例えば、試着室で靴を脱ぐことや、ジムでは上靴を使用することなど。ブラジルに慣れすぎ、そのような日本の習慣を忘れてしまっていて、ジムの職員さんや店員さんに質問した時、露骨に嫌な顔をされました。
駅でも同じような経験があり、
「みんな怖っ!」
日本人の私でさえ、こう思ってしまいました。
「周りのお客様のご迷惑にならない様....」というアナウンスが延々と流れる電車内。ブラジル育ちの娘達と日本で電車に乗る時は、周りの人に怒られないかヒヤヒヤします。話す声の大きさ、スマホなど海外では日本ほど「マナー」に神経質ではない場合が多いので、一時帰国の際は結構そういう点に気を使います。
文化や習慣の違いに気づくこと
冒頭の言葉「日本人は冷たいのか」をもう一度考えたいと思います。
日本人としては否定したくなりますね。でも海外の雰囲気に慣れて一時帰国した時には、前述の様に「皆こわい!」と日本人の私でさえ思うことも。
その理由を考えてみると、日本人の「ウチとソト」の意識と関係あるのでは、と思うようになりました。日本人は「ウチ」の人と「ソト」の人とでは顕著に話し方や表情が変わります。海外でも似た意識はありますが、その垣根の高さが違うのだと感じています。
文化に良し悪しはありませんが、慣れというものはあります。なので、違う文化圏に出て、自分の常識が通じない経験をすることは、自国の文化や習慣を改めて考える良いきっかけになると思います。
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