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お願いです、無知でいたいんです

「先生〜、江戸の初代将軍ってだれですか?」

「は?そんなんも知らんのか!?お前そんなんでよく受験生やってんな」

「へへ、すいません。で、だれスカ?」

「いえやすさんよ。徳川家康。江戸は260年くらい続いたのよー」

「へ〜。ところで何でそんな続いたの?」

「はい?」

「いやだってさ、戦国時代に始まって、ずっと争ってばっかだったじゃん?それなのに何で江戸はそんなに続いたのかなって。」

「ん・・・と、まぁ・・・いろいろあんねん!そんなんはテストに出えへんからええんや!」


「国歌でさ、「コケ飲むっす」とか言ってない?」

「おいおい冗談は寝て言うてくれよー、『苔のむすまで』や。コケ飲んで何が楽しいねん!」

「あマジ?で、『むす』って何?蒸しちゃうの?」

「え?あぁ・・・いや、ハハさすがに蒸しはせーへんやろう」

「だよね?ってか苔ってさ、なんか神社とかにめっちゃ生えてね?あれって何でなの?」

「そりゃあ・・・そう神様に守られてんねん!そうや!蒸されへんように!そういうこっちゃ!」


「そんなことも知らないの?」

冗談っぽくであれ何であれ、

いまだにそんな言葉を子どもたちに浴びせてしまう自分がいる。


言ってしまった直後から、反省の時間が始まる。

「じゃあお前は何を知ってるっていうの?」

自分をあざ笑う声が胸のうちから聞こえる。



いま視界に入った電子レンジ。

小さな子どもはその名前を知らないかもしれない。

でも、

名前を知っているだけで、どんな仕組みでモノが温められるかくわしく知りもしない人間と、小さな彼(女)とどんな差があるんだろう?



どれだけ学んでもどれだけ知識を手にしても

自分もまた、ずっと無知であり続けるわけで。

その自覚が足らんから、

「そんなことも知らんのか?」

が自分の口から出てくるんだろう。



ソクラテスさんはほんまによう言うた。

まさに、無知の知。


おかもとはまたこうやって

「無知の知」をよく知りもしないで使いながら、

今日も日が暮れていくのであった。





最近ほんとに思う、

あ、おれ、自分のために塾やってんのやって。

自己修養のために、理想の自分になるために・・・。


子どもたちとの時間で

日々学んでいるのはむしろこちらだよね。



あ、

そしたら受講費もらうんじゃなくて払わなあかん。

どうしよ。

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